アニバーサリー作曲家を追う Vol.1 エクトル・ベルリオーズ
新しく始めました。
クラシック音楽では、生誕後や没後から数えて節目に当たる作曲家を
その年のアニバーサリー(メモリアルとも)作曲家と呼びます。
主にコンサートの曲目を選ぶ際の判断材料などになるわけですが、実際名前が出ても知らない作曲家がいることも。
後から決めたこととはいえ、せっかくその年のテーマになりうる作曲家だから、勉強してみてもよいのでは?と思ったのですよ。
そんなわけで、記念すべき1回目に取り上げるのは、今年で没後150年を迎えるフランスの作曲家 ベルリオーズ。
かつてはフラン紙幣の肖像画となっていたほど大きな影響を与えた作曲家です。
1.作曲家 ベルリオーズの誕生
ルイ・エクトル・ベルリオーズ(1803-1869)はロマン派楽派の作曲家。
フランス南部のラ・コート=サンタンドレにて、
開業医の長男として生まれました。
14歳の時、父親の机の引き出しからフラジオレット(今でいうリコーダーのような縦笛)を見つけ、吹くようになったのが彼の音楽の始まりのようです。
その後父親からフルートとギターを買い与えられ、本格的に楽器を嗜むようになったのですが、
当時から独学で作曲を学び始め、室内楽曲や歌曲の作曲や編曲に取り組んだと言われています。
ちなみに作曲を勉強するために最初に手にしたのが、バロック時代のフランス人作曲家 ラモーの「和声論」だったのですが、
理論の基礎を身につけていないベルリオーズには理解できず、同国の古典音楽作曲家 カテルの「和声概論」で学習したとのこと。
やはり当時の参考書にも難易度というものがあったのですね。。。
そして18歳で大学に合格し、進学したのは音楽大学・・・ではなく、なんと医学大学。
開業医の父の後を継ぐため、と予想外の進路を決意するのですがその後医療への熱は冷め、結局音楽へ興味が移っていくようになりました。
(一説によると解剖学にビビってしまったとか。気持ちはわかりますね。)
翌年には医学の道を完全に捨て、音楽一本に。パリ音楽院に入学して勉強することになるのです。
その後は今でいうコンクールのようなローマ賞に度々挑戦したり、イタリア留学などを経験して
今尚聴き継がれている名曲を生み出す名作曲家になりました。
2.音楽的影響と作品
ベルリオーズは文学の愛好家であったことから、その作品に触発されて作られた楽曲が非常に多くあります。
ざっとまとめてみたのが以下。戯曲のほか、自叙伝などもその対象のようです。
また、読み手のみならず書き手としての一面もあり、音楽評論の著者として生計を立てていたこともありました。
その中でも教育的著作である「管弦楽法」は、後世に大きな影響を与えたとのことです。
音楽の面ではベートーヴェンを崇拝していたとされており、その演奏を聴いたことが「幻想交響曲」を作るきっかけになったとすら言われています。
幻想交響曲の他多くのオーケストラ作品を残したベルリオーズですが、その多くが大きな編成を必要とするのが特徴です。
中にはそれぞれの管楽器を6本必要とする6管編成で書かれたものもあり、当時における最大級の編成を必要としていたこともありました。その経緯で非常に低い音の楽器を必要とし、コントラバスよりも低い音域の演奏ができるオクトバス(その大きさは3.45m)という楽器を開発しましたが、結局演奏できた奏者はたったひとりだったとか。
3.楽曲
最後に、ベルリオーズの有名な楽曲をご紹介します。
(曲名をクリックするとYouTubeに移行します)
大編成の管弦楽から、オペラ作品まで幅広く手がけた大作曲家、ベルリオーズ。
もし興味をお持ちいただけたら、ぜひ他の作品もチェックしてみてください。
Shino's Studio
○参考文献○
Wikipedia エクトル・ベルリオーズ
Wikipedia 幻想交響曲
Wikipedia ファウストの劫罰
Wikipedia イタリアのハロルド
Wikipedia ロメオとジュリエット
Wikipedia トロイアの人々
Wikipedia ベアトリスとベネディクト
夢音見太郎の庵
※肖像画に関しては以下サイトよりパブリックドメインのものを使用しています。