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鞍馬旅行記 ①
毎年10月22日、京都盆地北部に位置する鞍馬(くらま)で火祭が開催される。
鞍馬の火祭は、鞍馬寺の鎮守社である由岐(ゆき)神社の神事であり、京都における三大奇祭にも数えられている。
もともと由岐神社は平安時代中期頃に、朱雀天皇の詔により都の北方鎮護の為に、京都御所から遷宮される形で鞍馬の地に創建された。
その際、京からやってきた松明や神道具などを携えた行列が約1キロにも及び、鞍馬の村人は地主神である八所明神を神輿に乗せ、多くの松明を持ってこれを迎えたそうだ。
この儀式と由岐神社の主祭神・由岐明神の霊験を後世に伝える為に火祭が行われるようになった。
現在は迫力ある松明の巡行が有名であり、国内外から非常に多くの見物客が訪れる祭りである。
・・・と祭りで貰ったパンフレット等には書かれていたが、私はそれを知っていて平日の京都へ足を運んだ訳では無い。
森見登美彦作の小説「夜行」の舞台として登場するからである。
鞍馬がメインの話ではなく、火祭に関する描写も多い訳では無いが、「火」を扱う祭りは見たことが無かったので無性に行きたくなってしまった。
京都へ
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ということで、仙台から大阪へと飛んだ。
道中は常に視界良好で、観光ガイドのような機長のアナウンスもあり窓にかじりついているだけで伊丹空港に到着。
埼玉の友人二人に声を掛けており、一人は夜行バスで既に京都を通り過ぎて大阪まで来ているらしいので空港内で落ち合う。
格安の四列夜行バスで消耗し怒り心頭の友人と共に、まずは阪急で大阪梅田に向かい昼食にする。
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大阪梅田駅改札内にある、京都麺屋たけ井へ。
豚骨魚介のつけ麺で有名な店らしい。
実は先月にも大阪梅田駅に来る用事があったのだが、その時は別の店に行くことになって食べられなかったので来てみた。
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狭めのカウンターのみの店で、回転率は良さそうだった。
予想を超える衝撃はないが、無難に美味しいつけ麺だった。
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改札を一旦出て再入場し、京都河原町行きの特急に乗車。
特急という種別に追加料金なしで乗れるのは東日本の民としては不思議なところ。
京都に来るときは基本的にJR京都駅を利用しているので、阪急を利用するというのもなんだか新鮮だった。
鞍馬の火祭が始まるのは18時からだが、15時頃から既に混雑するとの情報だったので、かなり早い時間ではあるがホテルに荷物を置いて早速鞍馬へ向かう。
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とその前に、駅から15分程歩いて大極殿本舗・六角店へ。
長崎から製造技術を持ち帰り、京の町にカステラを広めた店らしい。
これまた森見登美彦作「四畳半神話大系」に登場するカステラは、ここのものらしい。
大きなカステラを一人で切り分けて食べるというのは孤独の極地ですからね。
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アニメで登場するような巨大カステラはなかったが、手頃なサイズのカステラ一本と銘菓「花背」を購入。
頻りに「金が無い」とぼやいていた友人も、カステラを購入し満足げだった。
購入したカステラは、一人で寂しく貪らずに研究室で後輩に分けて食べた。
鞍馬入り
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ホテルにカステラ等の荷物をおいて、身軽な格好に準備。
これから人混みの中を数時間歩き回る覚悟を決めた。
既に時刻は15時を回っていたので若干不安だったが、出町柳駅まで向かう京阪電車にはまだ大混雑の影は無かった。
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車内にスマホを忘れたカップルを横目に(ちゃんと駅員に届けた)、出町柳駅に到着。
森見登美彦作品では叡山電車は幻想的に書かれている気がするが、思ったより綺麗な車両が来て驚いた。
学生の頃、叡山電車は私にとって浪漫だった。
夕闇に沈む街を走り抜けていくその姿は、まるで「不思議の国」へ向かう列車のように見えた。
たまに乗ったときには、ひどく遠くへ旅をしたように感じられたものである。
まだ大混雑という訳では無いが、普段満員になることは滅多にないのであろう吊革の付いていない列車は立ち客が多かった。
実は今日本当に鞍馬の火祭が開催されるのかの確認は一切していなかったが、出町柳駅では火祭のパンフレットを配るボランティアが数名おり、遂に遥々火祭を見物しにやってきたのだという実感が湧いた。
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30分程乗車して終点の鞍馬駅に到着。
途中は観光客が乗り込んでくるような大きな駅はなかったので、出町柳からずっと乗車している客が殆どだった。
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鞍馬山には天狗が住んでいると伝えられており、駅舎や駅構内には様々な場所に天狗の飾りが掲げられている。
間違いなく混んでいるが、まだ交通規制などが行われるほどの混雑では無かった。
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駅前には立派なモニュメントが。
記念撮影をしたかったが、モニュメント前には帰りの電車の大混雑を予感させるロープが張り巡らされていた。
由岐神社・鞍馬寺
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祭りの始まりは18時と、まだ2時間以上ある。
まずは祭りを行っている由岐神社や鞍馬寺に行ってみる。
道中の家の前には今夜使うのであろう松明が置かれている。
鞍馬一帯の家は由岐神社の由岐大明神を氏神としており、各氏子の家ごとに家紋?の幕や剣鉾、屏風や甲冑など氏子の歴史を感じさせるような飾りをしている。
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鞍馬寺の山門を潜り境内に入る。
普段であれば鞍馬山に入る為に「愛山費」を納めなければならないようだが、この時はそのまま通してくれた。
山門前には今夜使うのであろう神輿が安置されていたが、この時はそんな大事なものだとは思わず写真は撮り忘れてしまった。
鞍馬寺の本堂は山の上にあるようで、その道中に由岐神社がある。
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由岐神社の拝殿は荘厳な感じで、1607年に再建されたものらしい。
一方で本殿は2023年改築のもので、そのアンバランスさが凄い神社だった。
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軽い気持ちで登ってきたが、鞍馬寺の本堂まではかなり山を登ることになる。
鞍馬駅には続々と人が集まってきているところだろうが、流石にここまで来る人は少なく落ち着いた雰囲気がある。
というか、祭りがここで行われると勘違いしているような外国人が多い様に感じる。
実際にこの近くで「祭りはどこで行われるの?」と外国人に尋ねられた。
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頑張って本堂まで登ってきたが、なんと工事中で完全に防音ネットで覆われていた。
ショックすぎて、なんか祀られている石しか写真に収めていなかった。
よく分からないが、ここは鞍馬寺の本尊が降臨した場所であり、石は経典を埋納した塚の蓋だったようだ。
本日は友人もう一人と合流する予定であり、位置情報アプリを見ると丁度叡山電車で鞍馬に向かっているところだったので、私たちも山を降りて鞍馬駅へ戻る。
②へ続く・・・