【看護師時代の話】1番辛かったこと・嬉しかったこと
そういえば病棟看護師時代の話はあまりnoteで触れていないなぁ、と感じたので綴ってみようと思う。
あまりにも辛すぎて自分でも記憶に蓋をしているところがあるのかも知れない。
看護師で1番辛かったこと
治療メインの病棟、極端に言うとまるでICUのような集中治療の行う病棟みたいにこまめな観察や看護が必要な病棟に一年目で配属された。そこでの勤務はこれまでの看護学生だった時のしんどい日々とは比べ物にならないくらい、辛い地獄の日々だった。
毎朝8時前には患者の情報を取るために出勤し、夜19時や20時近くまで残業する日々。定時で仕事が終わらないのは当たり前の世界。家に帰っても調べなければならない宿題が出されていたので勉強しなければならず、疲れもろくに取れない。勉強してこないと「何でやって来ないの?やる気あるの?」と言われ、予定していた患者を受け持たせてもらえない。休みの日も宿題をしなければならない意識が常にまとわり付いてて、気持ちも休まらなかった。
できの悪い新人だったため、指導という名の罵倒も多々あり、人格否定のようなこともたくさんされた。
言われた中で、忘れられない言葉がある。
「私が患者だったら、Shinoさんなんかに看てもらいたくない」
「そんなんだと、いつか患者殺すよ?」
気持ちが落ち込むことばかりで、ご飯が本当に美味しくなかった気がする。食べ物を全然食べる気にならなくて、お昼休憩の時間もお弁当を半分くらい残してササッと切り上げ、記録をするための時間に当てていた。
半年と経たずに体重が5kg落ちた。
その後風邪をよくひくようになって、高熱が1ヶ月に2度程出るようになり、元々あった扁桃炎が悪化してしまい、病棟を移動させてもらった後に、夏季休暇としてもらった休みに入院して、扁桃腺の摘出手術を受けた。
改めて思い返してみると、壮絶すぎる。笑ってしまう。こりゃ死にたくなるのも頷ける。学生の頃から劣等感が凄かったが、勉強熱心で仕事を真摯にこなす同期を見て、比べてしまっては辛くなっていた。
今でこそ俯瞰して思い返すことができるようになったが、毎日病棟やトイレで泣いてばかりだった。辛かったなぁ。
ADHDの診断を受けたいま、改めて思うことは看護師の業務というのは、「作業中断」の連続。ADHDの苦手なマルチタスク業務が凝縮されている。
大まかに時間でやらなければならないスケジュールは決まっていて、それに沿って動くのだが、認知症高齢者が入院している場合などは特にナースコールは鳴り止まないし、その度に作業を中断して対応しなければならない。あとは一人でトイレに行けない人などは介助しなければならないし、患者の状態に変化があった場合は医師へ報告をあげたりなど、たくさんのイレギュラーなことに臨機応変に対応しなければならない。
またそういった別件での対応中にも、途中で患者やその家族に声をかけられて、何が頼まれたりすることもある。ここで既にやるべきことが3つも重なってしまってるが、こんなことはザラである。常に優先順位を考え、順番を考えて行動して、尚且つ病棟全体でやるべきことにも参加しなければならない。タスクがどんどん増えていって、緊急性が高まれば高まるほどパニックになる。
ADHDはワーキングメモリが小さいという特徴がある。タスクはどんどんこぼれ落ちていってしまい、中断していた作業に戻っていくことができなかったり、頼まれごとを忘れてしまって患者やその家族からの信用を失ったり。酷い場合はクレームとなる。
そして業務時間内の空いた時間に基本的には看護記録を残すのだが、空いている時間など皆無に等しい。そういった時間は自分で作るのだ、とか言う人が居るが、記録なんて呑気にやっていようものなら「ナースコール鳴ってるんだけど!?」とか師長・主任クラスの看護師に怒鳴られたりもする。
その結果記録する時間などなく、業務時間が終了した後にやることになる。多いと10人以上の記録。残業が多い訳である。本当にアホらしい。まぁ私の特性以前に業務構造事体に問題があるようにも思うが。
看護師で1番嬉しかったこと
「母をあなたに看てもらえてよかったです。母は幸せだったと思います。本当にありがとうございました」
そう言ってもらえたこと。
移動した先の病棟はターミナル期の患者が多くいる部署で、簡単に言うと病気が進行してしまい、死期が近い患者が多く入院している病棟だった。そして多くの患者の臨終時に立ち会った。そこでの看護師は患者だけでなく、家族と接することも多い。色んな家族と接して感謝されることが多くあったが、その時はいつも充実感があり、嬉しかった。もちろん、動揺して嘆き悲しんでいる患者家族もいて初めのうちは私も泣くのを我慢したりなんてしていた。
それと、新卒の同期達と肩を寄せ合って慰め合い、ストレス解消のために遊びまくっていたことも印象深い。高校生に戻った青春のような日々。同じような匂いのする同期というのは居心地が良くて、集まりやすいんだろうな、と思った。
決まって病棟の違う者同士の3人とよく集まっていたが、それぞれあまり人には言えない秘密を抱えていた。旅行に行った時に夜もふけるころ、それらを打ち明けあったこと。懐かしい。楽しかった。
辛かったけれど、そういう状況である時こそ仲間の存在に救われて、人の温かさを感じたりするのかもしれない。