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【7/22】シャルル七世の命日


辞世の言葉

本日7月22日は、勝利王シャルル七世の命日です。享年58歳。

七月二二日の朝、彼は死の床に付き添う司祭に「今日は誰の祝日か」と聞いた。カトリックの暦には、毎日、その日の守護聖人が記されているのである。
「今日は、マグダラのマリアの祝日です」
「そうか。あの罪深い女の祝日に、世界一罪深い男が死ぬのだな。神の御心に感謝しよう」と言い残し、その日の午後、従容として黄泉の国に旅立った。

『フランスをつくった王-シャルル七世年代記-』

従容しょうよう】危急の時でも動揺しないでおちついている様子。

死因

なお、死因は… 1461年、足の傷(腫瘍とも)を手術する予定でしたが、息子ルイ11世による暗殺計画が発覚して手術は中止。死期を悟ったシャルル七世は自分の意志で食事を断ち、餓死を選んだともいわれています。

さらに付け加えると、シャルル七世がジャンヌ・ダルクを見殺しにしたというイングランド側の主張を信じている人は、この死に様を「ざまぁ」と考えているそうで…
シャルル七世自身も過酷な生涯を送っていて、それでも腐らずに立ち止まらなかった人なんだけどな😢 悪印象と評価がつらすぎる!😭

今朝、こちらのツイートを見かけて、そういえば命日だったなーと。

①と②だなぁ🤔
日本人が世界史データを参照するとき、一番ハードルが低いのは英語です。当然ながら、英語データは英米主観(イギリス史観)だから、イングランドの敵だったシャルル七世はネガティブに書かれやすい。そういう事情もある。

しかし、冷静に考えて、不正な裁判でジャンヌ・ダルクを火刑にしたのはイングランドなのに、「救えなかった」ことを見殺しにしたと解釈してシャルル七世を責めるのはどう考えてもおかしい。

死ぬ間際に「世界一罪深い男が死ぬのだな。神の御心に感謝しよう」と言い残した心境を考えると、とてもしんどい。

ジャンヌ火刑後のシャルル七世の動向について↓


「シャルル七世」観と推し活

推す理由はいくつかあるのだけど、長くなるので省略。
私の個人的な「シャルル七世」観について。生前のエピソードから察するに、表向きは穏やかで控えめで良識的な教養人。「王というより神学生のような人」という記述もある。
…でありながら、幼少期〜王太子時代のトラウマとコンプレックスてんこ盛りの屈折した王と解釈しています。 掘り下げ甲斐のあるキャラクターですね。

推し活で、歴史創作を執筆・翻訳しています。3つめは短編。



著書など

既刊:アレクサンドル・デュマ・フィスの未邦訳小説『トリスタン・ル・ルー』

2022年10月21日、シャルル七世即位600周年記念にリリースしました。
Kindle版(電子書籍)とペーパーバック版があります。


新刊:『十九世紀の異端科学者はかく語る』

ジョン・ラボックのエッセイ『The Pleasures of Life』第一部を書籍化しました。
訳者・序文で「ダーウィンとラボックの師弟関係」を書き下ろしています。

続刊は7月予定。


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しんの(C.Clarté)
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