『社畜を救った朝ごはん』【ショートストーリーのような詩のような何か】
広告マンの朝は早く、夜は遅い。朝食なんて食べれない。
朝は会議で、夜は接待。
しかも、僕がいるのは飲みが激しいと評判の広告業界。
接待だろうが合コンだろうが、言われることはどこでも一緒。
醜く太ったおっさんも、細くて綺麗な女の子も、僕らに言うことはみんな同じ。
「代理店なんだからもっと飲め。」
そんな生活で体はボロボロ。
脳より肝臓を動かす日々。
そんな日々の苦しみから僕を救ったのはとある朝食。
その日もやっぱり合コンだった。
平日5日を耐え凌ぎ、ようやく一息つける夜。
次の日丸々休めるし、女の子だってみんな可愛い。
さあ気合をいれて、飲んで騒いで楽しもう。
運が良ければ、ワンチャンあるかもしれない。
一次会は良いペース。
自己紹介して、飲んで、食べて、また飲んで。
二次会からは、飲んで、歌って、また飲んで。
夜はまだまだ終わらない。
三次会では状況が少し変わってく。
口説いて、飲んで、また口説き。
一組、一組いなくなる。
余ってしまった、僕と君。
どうしようかと笑いあい。
何もしないと僕は言い、向かった先は君の家。
目が覚めるとベッドの上。
隣に君の姿はない。
微かに漂う味噌汁の香り。
こんなものしか作れないけど。よかったら食べて。
恥ずかしそうに笑う君。
そして始まる1週間。
朝は早く、夜は遅い。
朝は会議で、夜は接待。
けれど今日からの僕は少しちがう。
君の朝ごはんを食べたから。