不運な出来事との向き合い方 新見正則
幸運も不運も同じようにやってくるs
幸運は短期的に、不運は長期的に対応しましょう。幸運や不運はある一定の確率で起こります。幸運だけが連続することもなければ、不運が持続することもありません。
不運な出来事のおかげで今の僕がある
僕は不運が起こると敢えて「ラッキー」と心の中で叫ぶようにしています。明らかにラッキーではないのです。でも、敢えてそう叫ぶのです。そして将来、振り返ったときに「あの不運のお陰で今がある」と思えるように行動するのです。
希望しない血管外科の専門となった僕
僕の場合、1つ目の大きな不運は一般・消化器外科の専門分野を決めるクジでした。いまから40年近く前のことです。当時、抗がん剤はなく、放射線治療も発展途中で、外科治療だけががん治療の主軸でした。拡大手術でがんを治せると思っていました。そして、それしか選択肢はありませんでした。そんな大きな手術ができる外科医になりたくて食道外科を志望しましたが、定員より一人多い申込みがあり、クジで負けて、僕は血管外科医となりました。
血管外科を究めてオックスフォードへ
本当にアンラッキーでした。しかし、挫けることなく外科医の修練を積みました。血管を扱える外科医になったことで、血管再建などの大きな外科手術ができる医師になることができました。そして、いろいろと論文を書き、それが認められて、オックスフォード大学博士課程で勉強できる奨学生に選ばれました。食道外科を選択していたらオックスフォードへの道はなかったと思います。そして、今はオックスフォード大学医学博士という肩書きでいろいろ活躍しています。
乞われて理事長職に就いたのに
2つ目の大きな不運は、三顧の礼で迎えられた公益財団法人の理事長職です。赤字続きの病院や老健、歯科技工士学校をもつ公益財団法人の再建を託されました。法政大学経営大学院でも教鞭を取っていた時期とも重なり、既得権益に蝕まれる赤字体質が即座にわかりました。その再建を順調に行っている最中、突然解任されました。そして1,500万円にものぼる賠償請求を要求され、不動産は差し押さえられ(突然に差し押さえが可能なのです)、決着は法廷に持ち込まれました。僕を解任した評議委員会に瑕疵があったことが全面的に認められ、僕の全面勝利で和解しました。
枠の中で既得権益に縛られるのはまっぴら
このことで数人を除いてほぼ全員が僕の敵だったとわかりました。黒字化へ向けた新しい変化に耐えられないのが理由です。わずかばかりの給料を貰っている人から、高給を貰っている人までいろいろですが、自分の既得権益の維持に汲々としているのです。その後、今の新見正則医院を開院し、自分の思うことを存分に行っています。本当にあんな組織のために長く働かなくて良かったと思っています。そして、知人や友人を演じている人が実は敵とわかって本当にスッキリしました。
不運な自分を幸運にできるのは自分の努力だけ
この2つはわかりやすい例ですが、そのとき短期的に見れば不運なことも、長期的視点でみればじつは幸運となることがあります。不運なできごとが現在の幸せにたどりつくために必然であったと思えるように、その後を懸命に振る舞うことが大切です。
幸運はめいいっぱい楽しんで!
一方で幸運が訪れたら、不運が訪れる前にたくさんお祝いをしましょう。そして不運がなるべく訪れないように徳を積みましょう。人に施し、人のために働き、人を助け、善き人とつながりましょう。悪い人との縁を切ることも大切です。長い目でみて、皆様の人生が幸運に恵まれることを念じています。