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大きい度量で行こう  新見正則

テレビドラマ、観ていますか? 

最近はテレビの生放送は見なくなりました。例外はニュースとスポーツです。ドラマは時々見ますが、医療系のドラマは観ません。自分の仕事とダブルので、ツッコミどころがあったり、実際とあまりにもかけ離れていると真剣に見ることができないからです。最近は料理ドラマにちょっとハマっています。「グランメゾン東京」、「シェフは名探偵」、「きのう何食べた?」などを何度も見ています。

 「きのう何食べた?」の世界観

「きのう何食べた?」は「シロさん」こと筧史朗(西島秀俊)と「ケンジ」こと矢吹賢二(内野正彰)のゲイのカップルを描く物語です。そもそもはマンガ「モーニング」(講談社)にて連載されたものですが、僕はドラマしか知りません。これが結構ハマります。何気ないゲイのカップルの会話と料理の光景が妙に楽しいのです。

 よくわからないけど、本人が幸せならOK

僕にはゲイの友人はいません。知人の範囲では何人かいます。また患者さんにもゲイのカップルは少なくありません。コロナ後遺症のゲイのカップルが来院された時、「どれぐらいの期間休めますか?」と尋ねると、相方が「僕がいつまでも面倒みますし、それだけの経済力もあるから大丈夫です」と言い放ったのが記憶に残っています。この会話を聴いた時に、「羨ましいな」と思いました。夫婦関係でのトラブルで心を病んで、体を壊して来院する患者さんも少なくありません。「そんな災いの元になる配偶者よりも、よっぽどゲイのカップルの方が幸せだ」と思うこともあります。結局は幸せならそれでいいのです。男女でもOK,男性同士でもOK,女性同士でもOK、というのが僕のスタンスです。

 僕は人としてまるごとの家内が好きです

僕と家内の関係は良い感じと思っています。そこで家内が男性だったらどうだろうと昨日は想像してみました。女性の家内が好きなのではなくて、家内のことが好きなので、性別は実はどうでもいいのかもしれないとも思いました。わが家には娘が一人います。同性であれば子供は普通にはできないので、それはちょっと寂しい思いもあります。しかし、養子を貰えば子供を得ることは可能です。科学が進歩すれば、精子と精子、卵子と卵子から、それぞれの遺伝子を持った子供ができるようになるかもしれません。

 行政の仕組みは簡単ではないですね

ゲイの実際が、「きのう何食べた?」と全く同じとは思えませんが、男性同士のカップルの現実を垣間見るには、そして考えるには良い番組だと思っています。アマゾンプライムで「きのう何食べた? Season2」を見終わりました。結婚という法的な仕組みが同性カップルでは適用されないのでいろいろと面倒なこともわかりました。遺産も年金も普通の夫婦のようには認められません。ドラマ内で養子になるという選択肢が登場しますが、「シロさんの養子になると、将来同性間の結婚が認められたときに結婚できなくなる」とケンジが答える場面があります。「そうなんだな」と思いを巡らしました。

 所詮、当事者ではない僕には理解できないけれど

結局、僕にはゲイのカップルの気持ちは理解できるようで、理解できません。所詮、自分がゲイではないのでわからないのです。でも「理解できないけど、人に迷惑を掛けないのだからOK」という自分がいます。それでいいと思っています。もっと法的に同性間のカップルを守ってあげればいいと素直に思います。

自分が理解できないからといって、全部だめなわけじゃないでしょ

僕は漢方薬を処方しています。そして難病や難症の患者さんの、特にがんの患者さんの延命治療に効果を上げています。しかし、僕は漢方の過去を敢えて捨てました。漢方の過去を勉強してもがんは治せないからです。漢方の達人からは、「過去を勉強しないのはけしからん!」と叱責されることもあります。僕には過去を重んじるのは既成概念の強制に思えます。過去を否定はしませんが、過去の勉強を捨てた治療で、既成概念を越えた方法で、僕は漢方薬や生薬を用いてがんとの共存を可能にしています。

 そんな自分の立場が「きのう何食べた?」を見ていて、既成概念に囚われたゲイへの偏見と同じように思えたので、ちょっと思いを書き下ろしました。


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