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note5 番外編🍶新酒を告げる「酒林」のDIY
こんにちは。群馬県沼田市出身で東京都内在住の阿部新子(あべ しんこ)と申します。
2021年の11月頃から、訳あって「群馬県での日本酒造り」と「東京都での飲食店従事者向け資格認定団体の広報の仕事(説明長い)」を2拠点、2本業でスタートしています。
自己紹介&決意表明もろもろのnote1はこちらからどうぞ↓↓
さて、はやいもので、もう2月に突入!今期の酒造りも佳境に入りました!暦の上では春ですが、まだまだ恐ろしく寒い今日この頃です。
今回は番外編ということで、お酒造りからちょっとだけ離れまして、新酒発売の際に欠かすことのできない「酒林」についてをレポートします!
酒屋の軒先にある”緑色”の「あるもの」
酒蔵とか酒屋、最近は居酒屋の軒下に飾られてたりとかしますよね。この緑色のたまっころが今回のレポートの主役です。
これは、酒林(さかばやし)、杉玉(すぎだま)などと呼ばれる日本酒ととてもかかわりの深いものです。単純に店先のディスプレイとして飾られている場合もありありますが、実はこれ、「新酒ができましたよ~」という看板の意味を持っているんですって!
酒林の意味とは?
酒林の歴史はすっごく古いそうなんですが、私も歴史はからっきしでして…父に聞いたりしてみますと、だいたいこんな意味があるそうです。
酒林は造り酒屋の看板です。
暮れに新酒の初しぼりができると、緑の杉の葉を球状に束ねて軒に吊るし、 お客様に出荷を知らせる合図としました。
古くは、神酒またはその瓶(カメ)を「みわ」といい、一方、大和の國の三輪神社で杉を神木とするところから、酒と杉を結びつけたものと伝えられています。
昔の酒造りは、神様が宿っていました。(今も同じかもしれませんが・・・)良い酒ができますようにと、願いを込めて杉の葉を束ねた球状の「酒林」を仕込み桶の上に掲げたといいます。
ということで、そのほかの詳しい酒林の歴史とかは、SSI広報(私の東京拠点の方のお仕事)で運営しているWEBメディア「さけぱる」に、超ピッタリな記事が上がってますのでこちらがおススメです!(ちゃっかり宣伝)
そんな酒林、もちろん、うち大利根酒造でも毎年新酒を発売する12月1日に飾ります!
が、うちの場合はこれ、すべて手作りなんです。今回は私も酒林づくりに携わりまして、これぞ究極のDO IT YOUR SELF!って感じでしたので、私の備忘録的な意味も含めまして…酒林ができるまで(大利根酒造編)
をダイジェストでお送りします~♪
酒林ができるまで ~その1 原料調達編~
酒林の原料は「杉の葉」。ということで、11月中旬、杉がたくさんあるであろう山に向かいます!田舎のポルシェと呼ばれる(ただエンジン音がうるさいだけwww)年季の入った軽トラでいざ出発!
ありがたいことに群馬県沼田市白沢地区は、少しわき道を入ればすぐに山山山です。杉の木もいっぱいありそう!
でも、だからと言って勝手に山に入って、勝手に杉の葉をもらってくるわけにはいかないので、きちんと森林組合さんに許可を取っている山まで車で10分ほど走ります。
目指すはあっちの山の方(川場方面)です。超アバウトwww
三国連峰(山がありすぎてちょっと不確定ですが…多分そうだと思う…)が良く見えますが、あんな雪山に行くのではなく手前の方の小さなお山に向かいます。
道中写真を撮るのを忘れてしまったんですが💦
間伐作業中の林道を進み、どんどん雑木林の中に入っていきます。電灯などの人工物は一切視界に入らない林の中。昼間でも少し薄暗く、もちろん人もおらず、車も通らず、鳥のさえずりしか聞こえないので、ちょっと異世界感といいますか、このまま神隠しにあうのでは?というような恐怖を感じるほどです(笑)
林の中には伐採された立派な丸太がゴロゴロと転がっているんですが、私たちの目的は散らばっている杉の葉っぱの方!落ちている杉の葉をせっせと集めて軽トラに積み込み、ガッツリ山盛り1台分!おおよそ1.5時間作業したところで終了です!
酒林ができるまで ~その2 製作編~
軽トラの荷台に乗っけっぱなしにすることおおよそ1週間。11月も末、カラカラに乾いた杉の葉を使って…改めて作業開始です!
①針金と網で作った球体を、天井からぶら下げます
②いい感じの大きさの杉の葉を網の隙間につき刺していきます
③どんどんいきます
④まだまだいきます
④上まで来ると、マリモっぽくなってきました
⑤刺せるところなくなったら、まるくカット
⑤まるで床屋での散髪www
⑥約半日で完成です✨
酒林ができるまで ~その3 つけかえ編~
完成した酒林は、12月1日の新酒発売に合わせてお店の前に掲げます。
結構重いので、上げ下げはフォークリフトが大活躍です!
12月1日の朝には、この茶色くなった酒林が約1年の役目を終えて
緑色に生まれ変わります✨
付け替えた後は、良いお酒ができますようにと、願いを込めて一度拝みます。時間になると、お店の中には新酒が並びまして、お店の前を通る人たちが、「お、新酒ができたんだな!」と気づいてもらえる、昔ながらのなんとも粋な看板の完成です!
ちなみに役目を終えた酒林は、一旦パレットの上に置かれていますが、、、その後、1年間ありがとうございましたと拝んでから、きれいに解体して、中に入っている針金と網の軸部分は来年用として再利用に、杉の葉の部分は、今回、杉を頂いてきた山の中に戻しに行きます。
究極のDIYであり、SDGsなのでは?
おおよそ半日で完成したうちの酒林は、何から何までオール手作りなので、究極のDIYでしたが、近くの自然がはぐくんだ恵みを頂き、役目を終えたら、きちんと自然に還す、という究極のSDGsでもありました…( ゚Д゚)
最近いろいろな場面でSDGsの単語を目にしますが、よくよく考えると、実家での田舎暮らしや、日本酒造りの中には、自然の恵みを頂いて自然に還していくSDGs的な”循環”の考え方が沢山あることに気が付きました。
小さいころから、自然環境についていろいろと学んできたはずでしたが、多くの人工物であふれている東京にいると、身近だった自然環境から物理的に離れると同時になんとなく気持ちも離れ、どこか人ごとになってしっていたんだなぁと実感した出来事でした。
次回のnoteは??
酒造りをはじめて、気がつけばもう4か月目!
まだまだ造りは終わりませんが、東京と群馬の行き来の生活リズムはだいぶ慣れてきました!
これからは酒造りはもちろんですが、上記のように自然環境に目を向けたりとか、少し視野を広げて、自分の地元のことを積極的に知っていきたいな~と思ったり、田舎ならではの暮らしやまちづくりについて考えていく時間を増やしていこうかなと思っています✨
とりあえず、酒造り落ち着いて、蔓延防止措置が解けたら、沼田の市街地&観光地を巡ってみます!美味しいもの食べたいし、お洒落なカフェ行きたいし、温泉はいりたいし、グランピングとかキャンプもしたい!!!そしてちゃんとnoteにまとめて発信したいと思っています~🖊
東京の仕事も、引き続き、やりたいこともやらなきゃいけないこともいっぱいあるし!
ただ、4月頃までは、まだまだ酒造り続いていきますので、次回もお酒だらけのnoteになる予定です(笑)