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新規事業の狙い目(ニッチ)はどのように考えるべきかを考えてみた


シンチャオ!
新規事業を立ち上げていると、「それは狙い目ですね」「ニッチなアイデアですね」などと一度は言われた事があるのではないでしょうか。

狙い目である必要やニッチである必要はありませんが、魅力的に映る事業と言うのは、意外性の有無が大きく影響すると考えます。

儲かるか否かの論点においては既に成功している事業の模倣が好まれますが、模倣は競争市場で戦える組織体が取れる戦い方だと考えます。

本題である、狙い目となる事業やニッチな事業は、資本力が少ない組織体が競争市場で継続して戦う事が難しいので、競争を生まない非競争市場で戦うための戦い方であると考えます。

狙い目の定義

狙い目やニッチをどのように定義するかによって、取り組む新規事業内容は当然変わります。

私なりの解釈は「客観的な意外性」です。

「そんな儲け方あるんですかっ!!」
「そんな事業があるんですかっ!!」
「そんな需要があるんですかっ!!」

これらの様な会話が意外性を表現しており、誰も気づいていないまさに"スキマ"を狙い撃ちできている状態が狙い目(ニッチ)と捉えます。

狙い目(ニッチ)な状態とは?

とは言え、そもそも論ですが、狙い目やニッチとはどういう状態なのか、ニッチの語源を調べてみました。

フクロウやワシだけに関わらず、様々な生物の誕生の語源を調べると、他の生物と争わず生き延びる為に住む場所や自己のあり方を決定して、生き続けられるスキマを見つけています。

「争わず、生き延びる為」

これがニッチの考え方の原型であり、陣地を広げる事も、成長も考えず(囚われず)に、現状維持で生き延びれる状態を構築しようとする事と捉えます。

これらは全て外的環境の要素が非常に大きく構造の穴を捉えた時に起きる事象であり、同じ発想で考えると、ニッチな狙い目となる事業やサービスとなるのではないでしょうか。

要は、競争が生まれてしまう事業のやり方(一般的なマーケ手法とか)や、競争相手と見做されてしまう(メディアに露出してベンチマークとされたりブランド毀損リスクを高めるとか)行動を取らない事で、ニッチな事業やサービスを構築できると考えます。

よくあるニッチの誤った理解と表現

狙い目(ニッチ)の語源を理解した所で、よくある表現の違いを下記に纏めました。それぞれについて簡単に補足します。

・供給数の大小
・需要数の大小
・認知の有無
・希少性の有無
・対象の選定
・他社との差異(=差別化)
・資源の集中

これらを、よくある表現に変換すると下記があります。

・ターゲット顧客が少ない/市場が小さい
・競合が少ない
・市場自体が認知されていない
・ターゲットを狭める/集中する
・他社とずらした戦略を取る
・自社の資源を集中させる

よくあるニッチの誤った例

もう少し、具体的な表現を用いて誤った例を書いておきます。

ターゲットがニッチ

一時的に提供対象を限定し、業界内でのポジション(=椅子取りゲームの最初の椅子)を取るためのやり方でしかなく、将来的に市場に対するサービス供給量(=トラクション)を増やす為の戦略にしかなり得ない。

数年後にはサービス供給先を拡大していることがほとんど。どちらかというと、ポートフォリオの拡大戦略でしかない。

ニッチすぎて上手くいかなかった/売れなかった

需要量の大小を意図していることで、単に需要がないサービスを提供しているだけであって、需要量が少ないから売れないわけではない。

戦い方が競争的な手段を取っている可能性が高く、事業/サービス選定そのものの誤りを生き残るための戦略と誤認していることが多い。

○○に特化して市場拡大する=ニッチ戦略

これが最も多い印象。「xx市場に特化している」「yyの需要に特化している」などよく聞きが、これも先述したターゲットと同じ誤りをしているのではないか。

「初期はxx市場に特化して業界認知度を取り、市場拡大を行いました」恐らく、このように語るメディアは多いのですが、市場認知を取るための顧客獲得方針と、事業を洗練させるために特化させるだけ。

特化させることが市場で生き残るためには繋がらないのではないでしょうか。

では、市場で生き残るためのニッチな戦略とはどの様に捉えるべきかについて書いていきます。

ニッチとは競争しない戦略の一つ

競争を避けるための有用な戦略として"ニッチ"が存在するので、そもそも論、競争市場について知る必要があります。

競争構造とプレイヤーを理解する 

何(顧客や市場)を、どんな道具(マーケティング方法)で、どのように活用(資源配分)している事によって競争が生まれているのか。そして、プレイヤー達の強弱、立場/状況、文化/風土の実態はどうなのか。

これらを理解する事で、競争原理が働かない市場を見つけられると思っています。

例えば、レッドオーシャンと言われるような市場では、事業者が多く存在していますが、属人性が高い状態は模倣が難しく競争市場を避けられている状態にあります。

受託業であれば飲み屋で仲良くなってアングラマーケティングで案件を獲得する、サービス業であれば個人の技術力や愛嬌でリピート顧客を獲得する、などその人にしか遂行できない資源を最大限に活用します。

過去に、撮影事業のオウンドメディアを立ち上げた際は、撮影パターンの参考となる写真を大量に自分たちで撮影してメディアにアップしていたのですが、自分たちの容姿、顔出しできる状態、すぐに撮影できるメンタルとメンバーそのものが、他社では真似できない要素になっており、コンテンツとして功を成したことがあります。

UI/UXも良いモノではありませんし、オウンドメディアの立ち上げもSEO対策も初心者でしたが、ユーザーの購買意思決定に最も重要な「どんな写真を撮ってくれるのだろう」という不安要素を払拭できたので、オウンドから月間数百万円までは受注をできるようになりました。

こういった、事業やサービスのオペレーションの中に眠っている属人的な要素を発見する事が大切です。

競争市場にいるプレイヤーの領地には侵入しない

競争市場にいるプレイヤーと同じ土俵に上がることは避けたいです。同じ土俵に上る事は領地の奪い合いの始まりです。

競争市場における4つの地位分類を活用する考えるとわかりやすいです。(著書:競争しない戦略論より引用)

ニッチャーの土俵である、経営資源に独自性があり経営資源力が弱い範囲内で事業を行い、リーダーやチャレンジャーが取れない領地を構築することが大切です。

例えば、大手の保険会社は保険の販売レディを採用していることで、経営資源の大半が固定費になります。それに対して、大同生命は税理士との連携を開拓することで、固定費を抱えずしても顧客開拓に成功しました。

ここで誤ってはいけないのが、ターゲットを絞る事と経営資源の逆を突く事は全く違います。

大手の生命保険会社は、固定費である経営資源(人員)の流動性は低く、別の手段(チャネル)を活用すると、人件費が負債に変換されてしまうので、効率的な経営はできず、やりたくてもできません。自社でやるべき事ではないのです。

つまり、大手企業やリーダー企業の社内会議で「それ、自社でやる意味あるっけ?」という会話が飛び交っている想像がつけば、ニッチャーが取るべき戦略として筋が良いと思います。

競争しない為のニッチ戦略以外の戦略

競争市場においてリーダー企業が取る基本的な戦略は下記になりますが、真っ向から勝負を仕掛けると非常に厳しいので、勝負を仕掛けるのではなく、勝負を避けるべく戦略が必要になります。

その戦略の一つが、前項で述べていたニッチ戦略になりますが、ニッチ戦略以外にも、競争を避ける戦略が2つあるので紹介します。

※先述したニッチ戦略の考え方含め、次に記載する戦略は著書「競争しない競争戦略」を参考・引用している部分が多く、詳しく読みたい方は読んでみてください。

同質化対策

ニッチ戦略は経営資源が足枷になる市場を狙いましたが、同質化対策は、既存事業の資産(顧客や技術)が負債になる領域を狙います。

例えば、転職会議などの人材メディアを成功報酬モデルで運営していたリブセンスは、事業や市場で見ると最大手のリクルートが存在する競争市場ですが、マネタイズの方法で隙間を狙い打ちし成功したメディアです。

リクルートは月額固定性のマネタイズで販売していたので、突然の成功報酬モデルへの切り替えはできかねる状況でした。(突然帰ると、今までのは何やってんとなる)リブセンスは、同じマネタイズの領地には侵入せずに、別のマネタイズ軸で行う戦略で功を成しました。

協調戦略

協調戦略では、リーダー企業と手を組むかパートナー的な立場で事業を行います。最近であれば、建設領域のシステム開発を展開するArentが、建設大手からシステム受託を行いながら、協業の座組みで建設業界特化型のシステムを開発しています。

引用元

他にも最近上場された株式会社テクノロジーズはディップと協力して、人材派遣の管理システムSaaSを開発・販売しています。

引用元

この協調戦略は、ここ最近多く、スタートアップであればラクスルが大手企業と合弁設立したり、元を辿ると大手とスタートアップの共創的な意味合いに近いのではないかと思います。

それでは最後に、ニッチ戦略と類似されるブルーオーシャン戦略について書いていきます。

ブルーオーシャンVSニッチ

概念的にはニッチ戦略によって創出できる/した市場がブルーオーシャンにななれる/なったという理解しています。

ブルーオーシャン

・ブルーオーシャンの考え方は競争市場で重要な要素となる、低価格もしくは差別化を実現するための要素(リソース)に工夫が必要な考え方。どのようなビジネスモデルに対してどの経営資源を保有し運用していくのが重要になる。

・既に存在する市場で競争しない構造を作り出し、新たな市場をレッドオーシャンの市場の中に創出してしまう考え方

ニッチ

・ニッチの考え方は、競争市場で独自の指標で真似されないゲームを行うこと。ブルーオーシャン市場を創出するために、どのようなニッチ戦略を取るのかという議論に着地できる。

以上がブルーオーシャンと狙い目(ニッチ)の概念差異と考えます。新規事業では狙い目となるような事業(ニッチな戦略を取れる事業)やサービスを行う方が成功確度が高くなりがちと思われますが、そもそも成長を目指さない前提の中でないと、成立しないのではないでしょうか。

最後に

競争市場に晒されている間は、リーダー企業(業界内大手企業)との札束の殴り合いに終始してしまうので、基本的になニッチ方針を取るのであれば、事業拡大できないものと考えるのが吉な気がしました。

また、競争市場では勝者も敗者も弊害出ることから、属人性を至極高めていくことが、個人で事業を行う上で必要なのではないでしょうか。以上です。

勝者:サービス品質の低下、マネジメンコストの増大、社員の満足度低下
敗者:事業撤退、解雇、投資コストの未回収

参照:競争しない競争戦略


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