ハワイで「あなたはどうしたいの?」と聞かれてハッとした話
世界でビジネスするには考え方の多様性を受け入れる
こんにちは、新杵堂の田口和寿です。
私はこれまで、世界中の皆さんに和菓子を届けたいという夢を抱き続けてきました。そして、その挑戦を続けている中で、気づいたことがいくつもあります。その中でも特に大きな気づきが、「考え方の多様性」を受け入れることの大切さです。
最初は「和菓子で世界を驚かせたい」という一心で突っ走っていましたが、実際にはそう簡単にいかない現実が待っていました。
アメリカに進出する中で、現地の文化や人々の考え方、ビジネスのやり方が日本とは全く違うことに、正直なところ、最初は戸惑いを感じました。でも、そこで立ち止まっていては前に進めない。むしろ、その違いを「受け入れて、活かしていく」という姿勢が、ビジネスを広げる鍵になるんだと実感しました。
アメリカでの挑戦と多様性への目覚め
特に印象的だったのは、アメリカでの交渉の現場です。
言葉の壁、文化の違い、ビジネススタイルのギャップ…これらは本当に大きな挑戦でした。
日本では、まず商品の特長や背景をじっくり説明するのが普通ですが、アメリカでは「結論を先に」「シンプルでわかりやすく」というスタイルが求められます。頭ではわかっていても、実際にやってみると難しい。商品を売る時も「現場で一緒に売る」という新しいスタイルに最初はとまどいを感じました。
その中で最も大切だったのは、現地のビジネスパートナーとの信頼関係をどう築くかでした。いくら良い商品を作っても、パートナーとの協力がなければ、ビジネスは成功しません。彼らの文化や考え方を理解し、そしてその中に自分をどう溶け込ませるかが大きな鍵でした。
振り返ると、これはまさに「日本の常識は、世界の非常識」という言葉が現実になった瞬間でした。
日本では当たり前と思っていたやり方が、世界では通じないことがたくさんありました。特にアメリカでは、日本的な細やかさや慎重さが通じないことが多々あります。でも、それをネガティブに捉えるのではなく、むしろ違う視点を持つことで、新しいチャンスが広がっていくのだと感じました。
仲間とともに成長する
アメリカでの挑戦を通じてもう一つ実感したのは、「自分一人では決して成功できない」ということです。
現地のスタッフやビジネスパートナーとの信頼関係があってこそ、和菓子が広がっていくと感じました。特にアメリカでは、スタッフ一人ひとりの意見が尊重され、彼らが自主的に動くことが求められます。
そして、ハワイのビジネスパートナーたちと交流する中で、彼らはただの仕事仲間ではなく、共にビジネスを成長させていく「仲間」だと感じるようになりました。彼らと一緒に働き、時には食事を共にし、彼らの生活に触れることで、より深い信頼関係を築くことができたのです。
実際に、「田口のためならもっと頑張ろう」と思ってくれるパートナーが増えたとき、これが本当の意味でのビジネスの成功なんだと強く感じました。
自分の幸せが会社のためになる
もう一つの大きな気づきは、「自分が幸せに働けることが、最終的に会社の成長につながる」ということです。
日本では通常、ビジネスパートナーとの交渉の場では、「売り場はここです」「こういう勤務形態でお願いします」など、さまざまな条件を先にお話させていただきます。
しかし、ハワイでの交渉では、まず最初に
「田口さん、あなたはどうしたいんですか?」と聞かれました。
正直、この質問には驚きました。でも、これこそがアメリカのビジネススタイル。自分が幸せになることが、最終的にお客様の幸せにもつながり、それが会社の成長につながるという考え方でした。
現地では、自分のライフスタイルを大切にしながら、仕事を楽しんでいる姿を目の当たりにしました。例えば、朝はサーフィンを楽しんでから出社し、夜までしっかり働くというスタイルです。日本では、仕事が生活の中心という考え方が一般的ですが、アメリカでは「自分の幸せ」がまず第一にあり、その上で仕事に全力を尽くすというスタイルが根付いています。
打ち合わせの最後に、ビジネスパートナーから「Let’s enjoy with me!」と言われたときは、こんな世界があるのかと驚きを隠せませんでした。
仕事はもちろん楽ではありません、でもカラダはきついけど心はハッピー、そんなスタイルが印象に残りました。
この考え方は、私にとって大きな発見でした。
社員が自分の幸せを追求できる環境を整えることで、彼らのやる気やパフォーマンスが向上し、それが会社の成長に繋がるのです。今では、私たちもこの考えを取り入れ、社員一人ひとりが自分の意見を持ち、幸せに働ける環境づくりに力を入れています。
英語の流暢さより大事なこと
もう一つ私が感じたことは、英語が完璧でなくても大丈夫だということです。私は英語が決して得意ではありませんが、それでもアメリカでのビジネスはうまくいっています。それはなぜか?
理由はシンプルで、流暢な英語よりも、一生懸命に伝えようとする姿勢と共感する気持ちが、信頼を築くからです。
実際、現地のパートナーからも「田口さん、あなたの英語は完璧じゃないけど、気持ちが伝わってくる。それが大事なんだ」と言われたことがあります。結局、大切なのは言葉の流暢さではなく、どれだけ真剣に相手に向き合い、心を込めて伝えるかです。
成長のカギは多様な人材とAI
これからのビジネスの成長には、多様な人材と最新のテクノロジーを活用することが重要です。特に、AIの導入によって業務の効率化が進み、人間がよりクリエイティブな部分に集中できるようになっています。多くのパートナーはAIを活用して発注を行い、業務の負担を軽減していますが、それでも人間の感性や現場でのコミュニケーションは欠かせません。
特に、国際的なビジネスを展開する中で、多様なバックグラウンドを持つ人材を受け入れることが必要です。現地の文化や習慣に適応しつつ、共にビジネスを成長させていくためには、さまざまな国籍や価値観を持つ社員との協力が不可欠なのです。
私は「考え方の多様性を受け入れ、社員一人ひとりが幸せに働ける環境を作る」ことが、会社の成長につながると強く感じています。
これからも新杵堂は、挑戦を恐れず、変化を楽しみながら、成長を続けていきたいと思っています。
新杵堂グループ代表
田口和寿
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