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【お題拝借】先見性の磨き方 (23歳・大学院生)
川崎市にお住まいの23歳のAIを研究している大学院生Oさんから頂いたお題を紹介します。
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後楽園ホールでボクシング観戦後、知り合いのボクサーの祝勝を兼ねて実施しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1738281410-XdPy4UlxebN8ZKIzrBMcjDo9.jpg?width=1200)
「未来を予見するAIの開発」をしています。
AIは過去のデータを基にした予測に強みを持つ一方、現時点ではブラック スワンなど未知の出来事を推測することは出来ません。また、予測が誤った方向に用いられる可能性や、バイアスの問題など倫理面での問題も存在しています。
そこで今回は、Nさんから頂いたお題「AIでブラックスワンなど未知の出来事を推測する」を拝借して、「先見性の磨き方」を「未来を輝かせるツール」に変えたいと思います。
【私ならこう考える】
「先見性」と問いて、
私の頭に真っ先に浮ぶのは、
「経営者に求められる重要な資質」です。
ちなみに、
「先見」の意味を広辞苑(第6版)で調べてみると次のように出ています。
【先見】事があらわれる前に見ぬくこと。さきを見通すこと。「-性」。
私が、「事があらわれる前に見ぬきたい」と真剣に考えるようになったのは、自分が事業会社のCEOに就任し、
事業展開に対する最終責任を負う立場になった時からです。
その当時の私は無邪気にも
『中長期的視点から対処すべき重要課題(イシュー)を見ぬき、
それを先送りせず“手を打つこと”が出来る経営者』 を目指していましが、
自分にその能力が無いことを気付くのに時間は掛かりませんでした。
しかし不思議なモノで、
「どうしたら先が見えるようになるのか?」
とアンテナを立て続けていると
そのヒントが意図せずアンテナに引っ掛かるようになってきました。
引っ掛かってきたヒント(その1)
1つ目のヒントは、
大手広告代理店から紹介された音楽プロデューサーとの出会いから
生まれました。
時は25年前、安室奈美恵 絶頂期のころ。
私「この子が当たるか、当たらないか、原石からどうやって判断するん
ですか?」
彼「例えば、片木さんが今、沖縄アクターズスクール時代のまだ何者でも無い安室奈美恵の素の写真を見ながら、彼女が歌っているデモテープを聴いたとします。 写真とデモテープ、この2つの判断材料から、この子が売れるかどうか、片木さんに判断できますか?」
私「出来ないと思います」
彼「私も判断できません。ただ、それが分かる人が世の中にはいるん
です」。
「私たちがはじめに手がける仕事は、それが分かる人を探すことなの
です」。と。
この音楽プロデューサーから教えてもらった話は私にとって
「目から鱗もの」でした。
今でも何かのカベにぶつかった時にこの話に立ち返るようにしています。
引っ掛かってきたヒント(その2)
2つ目のヒントは、
当時、世界的ベストセラーとなった
書籍「ビジョナリーカンパニー②」(著者:ジェームズ・C・コリンズ)
との出会いから生まれました。
「(企業であろうが、企業以外の組織であろうが)組織は同じ問題に直面
している。
容赦なく不確実性が高まっているなかで最高の成果を出すにはどうしたら
いいのか、という問題だ。(中略)
本書では、偉大な組織について学ぶための旅に読者の皆さんにも参加して
いただく。
道中、批判精神を忘れずに何事にも疑問を持ってほしい。
そしてデータを直視してほしい。何か有意義な発見があれば、偉大な組織構築に向けて実際に適用してみることだ。
単に変化に受動的になって反応する組織ではなく、
変化を自ら引き起こす組織だ。
偉大なマネジメント思想家が言ったように、
未来を予想する最高の方法(ひょっとしたら唯一の方法)は、
自ら未来を創造することなのだ。」
私は、次の4つの点を今も大事にしています。
「何事にも疑問」
「データを直視」
「実際に適用」
「変化に受動的な組織ではなく、自ら変化を引き起こす組織」
引っ掛かってきたヒント(その3)
3つ目のヒントは、
当時、経営関係の専門誌に掲載されていた
アメリカの※MIT教授のインタビュー記事との出会いから生まれました。
※MITは世界の科学技術をリードする工科大学でノーベル賞受賞者96名(2023年時点)を輩出しています。
【MIT教授のコメントより】
私は、生徒に“最先端のこと”を教えない。
4年間で直ぐに陳腐化してしまうからです。
もし必要なら自分で調べなさい、と指導しています。
私は、新しい技術や理論を生み出す為の“生み出し方”を
具体的ケースを使って徹底的に指導しています。
【生み出し方】
《第一ステップ》
解決すべき具体的な問題や未解決の課題を明確にする。
《第二ステップ》
当該テーマに関する現時点での知識や技術や研究の限界点を確認する。
《第三ステップ》
まだ誰も気付いていない異分野の知識や新しい視点との組み合わせを十分に考察した上で、
問題や課題を解決するための新しいアイデアや仮説を生み出す。
【第四ステップ】
仮説が妥当かどうかをテストして、必要に応じて仮説を修正し、
精度を高める。
以上。
私は「生み出し方」を学ぶことも知ることもないまま経営者になったことに
気付くと同時に、MITの学生を羨ましく思いました。
引っ掛かってきたヒント(その4)
4つ目のヒントは、
3つ目のMIT教授のコメントを知った後、
ノーベル生理・医学賞受賞者の利根川進さんと、ジャーナリスト立花隆さんとの対談との出会いから生まれました。
【利根川進さんのコメントより】
私は出身の京都大学から何度も「京大に戻って京大で研究を続けて欲しい」との申し出を受けているがお断りしている。
理由は研究者が研究できる期間は極めて短いので、日本に戻って無意味な 時間を過ごしたくないからです。
あるテーマについて研究しようと考えた時、アメリカでは、
そのテーマについて
〇〇ではすでに7合目まで進んでいる
△△ではすでに8合目まで進んでいる
といった(口コミで広がる)生きた最新情報を確認することができるが、
日本にいてはそれを確認することは出来ない。
その為、日本の研究者は戦略を立てることが無いまま
「手を出してはいけない、手を出すべきではないムダな研究をスタートしてしまい、
多くの有能な研究者が研究人生を棒に振っている。
以上。
私はこの利根川進さんのコメントに接した時、
前出のMIT教授が述べた
《第二ステップ》
当該テーマに関する現時点での知識や技術や研究の限界点を確認する。
は先を見るために取るべき欠かせないステップであることを改めて
認識しました。
さて、
先の事を見抜こうと悪戦苦闘してきた私の経験を長々と述べてきましたが、こうした経験が、
経営者の皆さんを手助けする仕事で役立つことになろうとは当時 夢にも思いませんでした。
しかし、
その役割を担っている以上、私が当時 音楽プロデューサーから受けた
「目から鱗もの」のインパクトを今の経営者の皆さんに提供できたら
と考えています。
日本の経営者の皆さんの輝く未来のために!