
【お題拝借】足るを知る(53歳・大学教授)
53歳 大学教授 廣瀬陽子さんから拝借したお題を紹介します。


ほとんど売れませんでしたが昨年トランプ氏の停戦発言から急に売れてきました、と苦笑い。

一部の報道で、ウクライナのゼレンスキー大統領は、「NATO加盟と引き換えに、ウクライナの領土の一部を一時的にロシアに割譲し、外交的に奪還する」と伝えられているが、ウクライナのNATO加盟はロシアのプーチンは絶対に飲めない話だし、NATOサイドにとってもウクライナの加盟を認めるのは極めて難しい判断となる。
そこで今回は、廣瀬陽子さんから頂いたお題「ウクライナの領土の一部を一時的にロシアに割譲」を拝借して、「足るを知る」を「未来を輝かせるツール」に変えたいと思います。
【私ならこう考える】
「足るを知る」から私は、
20年前、奈良の薬師寺に管主の法話(タイトルは「人の世の真理」)を聞きに行ったことを思い出しました。
そこで今回は、管主の法話から話を始めたいと思います。
管主の法話
安田管主(当時)は法話の中で1つの道歌を取り上げて“人の世の真理”について法話しました。
道歌(どうか)とは、「道徳、教訓など人の生き方を分かり易く説いた短歌で、その多くは江戸時代に流行した「作者:未詳」の作品です。
その道歌は、
『千両箱 富士の山ほど積んだとて 冥土の土産に なりはすまいぞ』
(作者:未詳)
【現代訳】
「この世で、千両箱を富士山の高さほど持っていたって、あの世には持っていけないよ」
という歌です。
「これは俺のものだ」。
「俺は もっと上の地位を もっと沢山のお金を 手にいれるんだ」。
と頑張ったところで手に入れたモノ全ては借物だよ。
所詮 80年のレンタル だよ。
と“人の世の真理”を説いた歌です。
鈴木孝夫の民話
「20年前」と言うキーワードから私は、
20年ほど前に読んで印象に残った本のことを思い出しました。
それは鈴木孝夫さんの著書
「人にはどれだけの物が必要か」(中央文庫)です。
鈴木氏がモスクワ留学中に読んだトルストイの民話「人にはどれほどの土地がいるのか」に触発されて書いた民話です。
【人にはどれだけの物が必要か】
ロシアの田舎にパホームという貧しい小作人がいた。
ためた金で土地を買うと、暮らし向きがよくなった。
近隣との境界争いに嫌気がさして広い土地を買うと、暮らしはさらによくなったが、慣れるとまだ狭いと感じた。
「よく肥えた土地をいくらでも安く買える」という評判を聞いて近境の地パシキールに出向くと、村長が言った。「一日歩いた分だけの土地を1000ルーブルで譲りましょう。ただし、日没までに戻らなければダメです」
パホームは時を忘れて遠くまで歩き、刻限に気づいて半狂乱で帰着するなり、血を吐いて死んだ。下男が穴を掘って彼を埋めた。
きっかりその穴の大きさだけの土地が、彼に必要な土地のすべてだった。
以上
人間の欲望と節度を主題にして短い文章の中で、
“足るを知る”を説いた民話です。
私にとっての「足るを知る」
奈良で道歌を知り、鈴木氏の民話を知った20年前の頃、
私は自分が起こした事業を精算して、
手持ちのお金も収入もゼロの状態で、
仕事に対する気力を失ってプータローをしていた時期で
強制的に「足るを知る」にリセットされた時期でした。
そして私は
今でも20年前に遭遇した
「千両箱を富士山の高さほど」の話と
「人にはどれだけの物が必要か」の話が
脳裏から離れることがありません。
今でも無意識のうちに
“足るを知る”の本質を探し求めているのかもしれません。
アナタの輝く未来のために!