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影のあるオンナが好きだった男の話。

春先に出会って最近では週の半分を俺の部屋で過ごす、七つ年下の彼女。

昨日も近所の居酒屋で飲んで二人ベロンベロンに酔っ払って、そのまま俺の部屋のベッドに倒れ込んで一緒に寝てしまった。

俺の仕事は朝が早いから、大抵は先に起きてしばらく彼女の寝顔を見てる。

正直言って初めての恋人も、そのあと恋仲になった女も全部俺より年上だった。

30代になって初めて年下の女に縁があった訳だけど、なんでこの子、俺と付き合ってんだろう。

窓辺でタバコを燻らせながら、そんなことを考えていると彼女が目を覚まして俺の姿を探す。

「おはよう。」

「おはよう。昨日もよく飲んだね。」

「あのさ。」

「ん?」

「昭和の女って影があると思わないか?」

「んーー急に何?例えば誰?」

「山口百恵とかさ、あんなに若いうちに成功してるのに影があるだろう?」

「うん、まぁ確かに。」

「多分な、日本人って根本的に”影のあるオンナ”が好きなんだと俺、思うんだよね。」

「・・・へー。私って影ありのオンナなの?(笑)」

「・・・お前は違うかもな。」

「自分ではよくわからないや。ねぇ、そんなことより。」

「そんなことより?」

「もう一回、一緒に寝ようよ。」



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コロナ陽性に身悶えながらの、淡い回顧録。

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