将棋界下半期の流れ(藤井聡太二冠正念場の夏以降)
名人戦を終え、渡辺名人が防衛を果たし、またマイナビ女子オープン・女流王位戦でそれぞれ西山朋佳女流三冠・里見香奈女流四冠がタイトルを堅持した。里見香奈女流四冠は、これで清水市代女流七段の記録を抜いて、単独トップの44期となった。
正直言って、将棋界の上半期における動向はこれにて完了し、続いて下半期へと移ると言ってよいだろう。女流タイトル戦は2人が保持しているわけなので、今年度内、この2人の間を誰が割って入ることができるのか、はたまたこの2人が堅持し続けるのかが注目すべき所である。
対して、渡辺明名人は王将戦・棋王戦・名人戦に続き、棋聖戦の挑戦者ともなっている。今年はこれで打ち止めで、今期の叡王戦・王座戦・竜王戦のタイトル戦に出る目はないので、次は来年の王将戦から登場してくることになる。棋聖戦の相手はもちろん、藤井聡太二冠だ。現棋士の中で、タイトルを一番多く持っている渡辺明名人は「最強の相手」とも言うべき存在だ。そんな藤井聡太二冠は続いて、王位戦のタイトル戦で豊島将之竜王を挑戦者に迎え撃つ。2人の対戦成績豊島将之竜王から6-1と、はるかに豊島将之竜王の方が勝ちをおさめている。藤井聡太二冠にとっては、正に「最恐の相手」だ。「最強と最恐」、この2人の挑戦を退けることができるかが、今後の棋界を占うターニングポイントとなろう。
また、ここからのタイトル戦は藤井聡太二冠が上記の通り、棋聖戦と王位戦(叡王戦と竜王戦のタイトル戦に出る可能性も残す)、豊島将之竜王は王位戦と叡王戦と竜王戦、永瀬拓矢王座は王座戦(竜王戦のタイトル戦に出る可能性も残す)といったところだ。この3人が入れ替わり立ち替わり、タイトル戦へと登場する下半期となる。またその間に王将戦の二次予選からの王将リーグ、棋王戦本戦、それぞれのクラスにおける順位戦なども順次行われる。今は渡辺明名人を含め4人でタイトルを保持している中、このバランスを崩し、タイトル制覇へと突き進むのは誰か、はたまた現状が維持されるのか、について今後も注目していきたい。
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