胸キュンを補充する。〜顎木あくみさん『わたしの幸せな結婚』〜
こんにちは。桜小路いをりです。
秋を通り越して冬のように寒い日もありますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
こう寒いと、ニットのふんわり柔らかな温かさが恋しくなります。
「SPY×FAMILY」に出てくるフォージャー家のペットのボンド君に、もふもふしたい今日この頃。
今回は、そんな人肌恋しい季節に胸キュンを補充する、大好きなシリーズ本のご紹介です。
その名も、顎木あくみさんの『わたしの幸せな結婚』シリーズ。
コミカライズもされていて、さらにアニメ化、実写映画化もされるので、ご存知の方も多いのかな? と思います。
シリーズの始めの方から追っていた私は、こうして推し本が有名になって嬉しいです。
やっぱり原作も知ってほしい!
あの素敵な文章を、活字でしか味わえないキュンキュンとワクワクとドキドキを、皆さんに知っていただきたい!
その想いから、こうして文字を打っています。
『わたしの幸せな結婚』は、大正時代を舞台にした、王道のシンデレラストーリー。
実家で虐げられて育ったヒロインの美世が、冷酷で無慈悲な軍人として知られる清霞の婚約者になるところから、物語は始まります。
最初は美世に冷たく接する清霞。しかし、美世の健気さや心根の優しさに触れるうちに、徐々に心を開いていきます。「婚約」という形から始まったふたりの淡い恋模様を描く物語です。
恋愛モノではありますが、実はファンタジー要素もあります。
異能と呼ばれる不思議な能力や怪異のこと、それにまつわる事件なども絡み合い、ドキドキハラハラ感もあって、本当に大好き。
シリーズを読み進めていくと、美世ちゃんと清霞さんの距離感も段々縮まってきて、その雰囲気にもキュンとしてしまいます。
この物語で描かれるのは、ふたりが色々な障害を乗り越えながら、段々と絆を深めていく姿です。
特に見どころなのは、美世ちゃんの成長でした。最初は自己評価が低く、清霞さんに対して謝罪の言葉ばかり述べていた彼女が、自分の想いを口にするようになったり、自発的に行動するようになったり。
そんな小さいけれど確かな心情の変化が、顎木あくみさんの繊細でしなやかな文章で綴られています。
また、当初は清霞さんの冷たい雰囲気に、(作中の美世ちゃんと一緒に)おろおろしていたのですが、読み返してみると、その言動に優しさが滲み出ているように感じるから不思議です。
軍人さんだからなのか、一本芯の通った雰囲気があったり、確かな優しさを持っているからこそ言葉に厳しさが現れる、という感じでしょうか。
美世ちゃんとの絆が強くなるにつれて、段々と清霞さんの言動にも人間らしい温かさが増していくところもポイント。
そして、それを文章で表すことができる顎木あくみさん、本当に素敵です。
そして、題名に「幸せな」と入っていることで、「何があろうとハッピーエンドになる」という安心感があります。
世知辛く一筋縄ではないかない、この令和の世の中を強く生き抜くためには、やはり(?)胸キュンを補充することで心を平和にすることも大切なのではないかな。
……なんて、きっちり新刊でシリーズを揃えている自分への、盛大な言い訳ですが。
以前、他の記事でもちらりと書きましたが、表紙のイラストが大好き過ぎて、この前ファミマの印刷機でブロマイドを買ってきました。もちろん全種類のL版を。
真面目に、特にお気に入りの1巻目と4巻目のイラストだけは2L版を買い足そうか迷っています。(私は完全にオタク属性なので、「迷っている」ということは買います。たぶん)
どこか物悲しい秋に「胸キュンを補充したい!」という方は、ぜひ手に取ってみてください。