鋸山に行って来たよ-19
これまでのお話
ロープウェイを下りてからホッと一息。
売店には炭入りの真っ黒アイスクリーム、「地獄アイスクリーム」のポスターがでかでかと貼られている。興味はあるけどまだ寒いんだよね。
乗り場からすぐの展望台は人が多かったので上へと向かうと広いスペースに数人のみ。ゆったりスペースで何にも邪魔されない絶景を堪能。
海って広―い
お空は青―い
爽かーい
パノラマ景色を撮影していてもついマウント富士に焦点を合わせちゃう私はシンプルジャパニーズ。
鋸山山頂標識を先に見つけてもちろん私もそれをバックに撮影したいと思うものの、ここだけ人が集まりなかなか空かない。焦らず皆が撮り終わるのを待つと誰もいなくなった状態で撮影成功。やったね。
飽きない風景、ずっと眺めていたいけどしばらくするとロープウェイが次のお客さんを連れてくるだろう。その前に日本寺へと向かおう。
整備された道の先はなだらかで歩きやすい。その先は道が狭くなり石ころが出てくるけど、人がおらず、お天気が良いという好条件を前にそんなことはさほど気にならない。
「この壁の模様と山の削られた岩肌が似ている」
昨夜、お寿司屋さんからほろ酔いで帰ってくる途中の家の外構塀を見ながらたぁがそんなことを言っていた。表面は平らと言うよりちょっとした繊細な凹凸がある。
山頂付近の廃墟的な建物の外壁も同じような模様をしていた。
ってことはこれが房州石(ぼうしゅういし)なのかな。
ずっしりと重くて長年にわたって使えそうな頑丈さが伝わってくる。
ルンルンお散歩気分で歩いていたら日本寺入り口に到着。そこにはデカ文字で「地獄のぞき」とある。お寺の入り口にがでかでかとこんなことが書いてあるだけで観光ムードぷんぷんになっちゃうよ。
今日は日本寺を楽しむ気満々なので入場料700円を支払うと境内案内図とパンフレットをいただいた。
「御朱印はここでもらうんですか」
受付に御朱印が貼ってあったので聞いてみる。
「御朱印は大仏傍の社務所でいただけます」
ムムム、大仏。
予備知識はハイキングコースだけ。日本寺については有名な百尺観音しか知識がなかったけど、その言葉を聞いて宗教建造物や絵、御像好きな私のアンテナが反応する。
早速案内図で各所を確認。
フムフムフム・・・・・・。
このまま山頂を進めば百尺観音や地獄のぞきがある。大仏は下っていく必要があるみたい。
まずは大仏様を拝みたいので階段を下って行こう。
昨日、痛めた左膝は上り下り坂では何も問題ないのに階段を下る時だけど痛みが走る。今日はこの後もハイキングがあるから、一段一段両足を使って痛みに耐えながらゆっくり降りて行く。
鋸山の正式名称は乾坤山(けんこんざん)で、日本寺も乾坤山日本寺と言う。
乾坤、一般では聞き慣れない言葉だけど気学もしくは易占いやられている方にはお馴染みのワードだろう。
筮竹を用いた易占いは64卦を用いて事の深い気を読む。気学では乾は六白金星を指し、坤は二黒土星を意味する。
私の気学星は本命月命共に六白金星(6-6)であるけど、気を読む際には6-2(六白金星-二黒土星)に変換することがあるので、乾坤ともに私にとって関連のある卦なのである。
そんなこと知らずに訪れた鋸山。
すべては用意されている。
この時にここに来たのも何か意味があるんだろう。そう思うだけで簡単に感慨深くなる単純な私。
他に日本寺は約1300年前、聖武天皇の勅詔を受けて、行基菩薩によって開かれた関東最古の勅願所である。登山者の過失による山火事が原因で今もなお復興中であるらしい。
下る、下る、どんどん下る。
「こんなに下ったら後で戻らないといけないのに」
「ね」
よく口にする私の文句にたぁの返事は聞き飽きたとばかりに素っ気ない。
道は迷路にように分かれそのまま下っていくことも、ちょっと登って近くの御像などを楽しむことも出来る。
折角、お金払ったんだから全部見たい。
今日もげんきんな私である。
階段を下ると道は二手に分かれたので上り階段へと進むとちょろちょろと水が流れる滝があった。地図を確認すると不動滝と書いてある。
不動明王様に縁を感じる身としてはしっかりと拝見したい。
滝の上には小さいながらも睨みを利かせた不動明王様が滝を守られていた。
そのまま意識が求める方へと目を動かすと目立たない隠れた場所に石仏様がいた。
そして道の脇には首がない石仏様がおり、顔の代わりに花が供えられている。なんだかそれが静寂な平和を示しているようで美しく思えた。
顔を上げるとその先にも至る場所に石仏様が祀られていそうなので、下り階段へと戻らずにまっすぐ進むことにしよう。
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