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伊豆天城山でハイキング-30

広い敷地の明かりが灯った一つの建物にたくさんの車が止まっていたので私たちも同様に停車。
そこはレセプションで、チェックインを済ませようと列ができていた。


受付は二つ。ささと別々に並びしばらくすると彼女の番なった。隣から見ているとなんだか手順はのんびり。ほかのスタッフと確認しながらのやりとりで終わる気配がなく、後から始まった私の受付のほうが先に終わった。

 何気なく女性に嬉しいプランを選んだおかげで、無印良品の基礎化粧品ミニセットをもらえ、かわいい浴衣の中から好きな柄を選ぶことができた。男性用の浴衣はすでに部屋に置いてあると言う。

「なんだか時間がかかったね」

「うん。名札をみたら研修中って書いてあった」

そういうことだったのか。ほんのりイラついてもそれを隠せる彼女は大人だ。


本日、お世話になるルネッサ赤沢はコテージ型ホテル。私とたぁは二人利用、ささ家族は三人利用のせいか互いの部屋は駐車場を挟んで少し離れている。

「今日は混んでいて、駐車は難しいかもしれないから別の人に頼んだら?」

「ううん、大丈夫」

私の提案はららのやる気に打ち消された。

ここでもささの援助の元、しっかりと時間をかけて安全に停車。

文句は口にしない。

だってどんな運転であったにせよ、運転してくれた人がいたからこそ、ここにたどり着けたんだから。

夕食は18時か19時のいずれかで選べ、「夕食前にお風呂に入りたい」という皆の希望で今日も後者が選ばれた。

何かと時間がかかり、すでに18時近い。とりあえず荷物を降ろしてお風呂に向かおうじゃないか。


部屋に入ってみると一晩だけではもったいないほどの広いリビング、その先にベッドがある。

あっ、ダブルじゃない・・・・・・。

昨日も別々のベッドに寝たから今日は同じベッドで寝たかったのに。
でも仕方がない。多分、予約の段階でそのことはわかっていたはずだ。
清潔感あふれる部屋にはトイレと浴室がある。
とりあえずなんでも確認したい私は浴室のドアを開けて中を見てみると、バスタブはなくシャワーのみだ。
広い温泉浴場があれば部屋の小さな浴室は使うことはないから、なんら問題はない。

仕事と趣味とWIFI命のたぁさんのためにパスワード案内を探してみるけどどこにも見当たらない。浴場と受付、それにレストランは同じ建物にあるから後で聞いてみることにしよう。


お風呂の準備と浴衣を持って、先ほどの建物へと戻る。

あんなに混んでいたレセプションはガラガラだ。

「WIFIのパスワードを教えてもらえますか」

「お部屋の中に案内があると思うのですが」

「見つけられなかったんです」

「さようですか。パスワードはこれと同じものです」

スタッフは受付横の案内を指さし、教えてくれた。どうやら施設内WIFIのパスワードはすべて同じようだ。番号をスマホでパチリ。これでネットが使えるね。


「18時55分にここで待ち合わせね」

「わかった」

温泉浴場は地下一階、レストランは受付と同じ一階にあるのでレセプション前のソファで待ち合わせることにした。


施設は大きく、チェックインの時も混雑していたらから、お風呂の混みあいも覚悟していたけど、脱衣所には誰もいない。

あれっ?

お風呂を覗いてみる。

おぉ、ここにも誰もいないっ!

早い夕食を選んだ人たちは夕食を堪能中で、私たちと同じ時間に来た人たちは部屋で一休みしているのかもしれない。

いずれにしても幸い、万歳っ!

贅沢な時間を楽しませてもらいましょう。

ささっと服を脱いで広い浴場に向かい、汚れをしっかりと落として内湯にざぶーん。

気持ちぃぃぃぃぃ。

久々の一人時間。

みんなでワイワイ入るお風呂もいいけど、静かに浸かりながらしみじみ今日を振り返りつつ、お湯で体を癒してもらって、焦った気持ちもイラついた思いも解放しながら、良い思い出だけを残す作業をするのは至福の時だ。

ちょっとするとささとららがやってきた。

「独占だよぉ~」

「やったぁ~」

嬉しいよね。


着替えのことを考えるとお風呂を楽しめる時間は40分もないから、お湯だけ浸かってのんびりしたいけど、サウナを利用できるのは午後だけで午前中は閉まってしまう。
体を芯までしっかり温めるのにサウナは最適だから入っておきたいと一人向かう。

高温サウナにも関わらず、数分経っても汗が全然出てこない。トイレのことを気にしてハイキング中にあまり水を飲まず、その後もちゃんと補給していなかったからかもしれない。調子こいて、お風呂でぶっ倒れるのも嫌なので、お水をたっぷりと補給してからもう一度サウナとお風呂を楽しんだ
おかげでおめめをぐるぐる回すことなく、ひろーい浴場でぜいたくな時間を過ごさせてもらった。


今日の昼食はゆっくりとした時間を取れずに昨日、スーパーで購入したパンとスープを口にしただけ。

おいしい宿のお食事を頂くことにしましょうか。


二人を脱衣所に残してたぁと待ち合わせをしているソファに行くと、真っ白いお肌を桜色に染めて浴衣に身を包んだぼーっとした顔の彼が座っている。

その顔を見たら幸せ感じちゃう。

いつも私と一緒にいてくれてありがとう。



主な登場人物:
私-のん、夫-たぁ、
姉-ささ、姉の夫-れん
姪っ子-らら、甥っ子-ぼう



これまでのお話



【無空真実よりお知らせ】

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

昨年、12月25日にAmazon Kindleより二冊の電子書籍を出版いたしました。

長年にわたり心の深い場所に重たいしこりがあり、一時は「もう真から笑うことはできないんじゃないか」と思ったほど。
だけど日々の生活や旅行を通じ、一筋の光が現れてちょっとずつ自分を取り戻し続け、今回の旅は私に人生の節目を与えてくれた。

神話の土地から届くエネルギーを通して、私は一体、何を体験できて、何を知れるんだろう。

準備は整った、さぁ旅にでよう。

人生を模索しながら生きている二人の旅をどうぞお楽しみください。



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