人事視点から見るHRサービスの導入の決め手
はじめに
元々仕事・プライベート関係なく、色々なサービスを自分で触ってみるのが好きで、人事総務系のサービス導入担当をすることが多いこともあり、最近よくリリース前やリリース直後のHRサービスの壁打ちをさせて機会が増えてきたので、改めて言語化してみました。
勿論、サービス導入の選定ポイントは人によって全然異なるかと思うので、あくまでも一例として参考にして頂ければと思います。
また今回は人事向けのHRサービスの選び方ではなく、どちらかと言えば営業やCSがいかにHRサービスを導入してもらうか、継続してもらうか、に焦点を当てています。
過去導入したサービス例
労務系業務に従事することが多かったので、入退社管理サービスや勤怠管理サービスが多いですが、それ以外にも採用媒体サービスやドキュメント共有サービス、各種HRサービス、業務効率化サービス等、幅広く導入したり触ったりしています。
DMM時代には当時、従業員数1,000名以上規模の会社での導入事例が少ない中でSmartHRの導入を担当させて頂き、サービス選定から導入・運用開始まではほぼ1人で行ったので、特に参考になるかもしれません。
導入理由
まずサービス導入にあたって、そもそも社内で課題が出てきて課題解決のために導入をする場合(「課題解決型」とする)と、課題にはなっていないけれども、導入すれば間違いなく業務効率やデータ化ができて、その分の工数を別のより本質的な業務に当てられる場合(「業務改善型」とする)に大きく分けられるかと思います。
各々基本的なフローは変わらないものの、特に決済プロセスにおいて大きな違いが出てくるので、その辺は後述します。
情報収集・比較
課題解決型でも業務改善型でも、まず最初に重要なのは情報収集・比較ですね。既にどういうサービスを導入したいかは決まっている前提でお話をします。
最近はBOXILのようなSaaSサービス比較サイトもたくさんあり便利なので、まずは比較サイトを複数見て、更にGoogleでもキーワードで検索を掛けて、対象となりそうなサービスを5〜10個ほどピックアップします。
そして比較サイトには比較ポイントが表になってまとめられている事が多いので、複数の比較サイトを見て、比較ポイントを抽出してまとめ、自分オリジナルの比較シートを作成し、それを元に無料体験ができる場合には無料体験で実際に確認をしてみて、問い合わせフェーズに移行します。
問い合わせ
問い合わせ方法も各社違いがあるかと思います。
「無料体験アカウント発行にあたりフォーム送信が必要な場合」「料金(特に上位プラン)が掲載されておらずフォーム送信が必要な場合」「資料ダウンロードにフォーム送信が必要な場合」などなど。
そしてよくフォーム送信後に電話が掛かってくるケースがありますが(弊社もそのパターンですが笑)、個人的には資料ダウンロードのタイミングでの電話は、まだ自分の中では情報収集フェーズで確度も高くない中で電話は結構ウザいので、その後のサービス採用率がかなり下がります笑
電話ではなくてメールで資料と提案をしてくれる程度がちょうど良きですね。むしろこの段階では提案もいらないです。
また無料体験アカウント発行直後に説明アポを入れてくるケースですが、個人的にはこれは結構有効かなと思います。
と言うのも、複数サービスを同時比較したいので各サービスのアカウントを作成するのですが、サービスを触っているうちに大体どれか1〜2つのサービスをいじるだけになり、その他のサービスは触らなくなってしまうことが多いのですが、アポを入れられてしまうと、触らざるを得ないからです。
選定の決め手
これは契約金額や会社規模によっても違うのですが、大きく分けて「サービスUI/UX」「営業」「将来性」の3つのポイントを見ています。
①サービスUI/UX
サービス自体の使いやすさ等ですね。
これは人事目線から見たサービスの使いやすさは勿論のこと、HRサービスの場合は全従業員が利用するサービスが多いので、従業員目線でのサービスの使いやすさも含まれます。
これはサービス内のUIの良さだけでなく、日常よく利用するサービス(Slack、Chatwork、LINE等)と連携できるかもとても大きなUXの要素になります。
特にHRサービスは導入から運用・普及までが非常に大変なので、新しいサービスを使ってもらうというよりは、普段利用しているサービスに組み込むような形の方が普及しやすいです。
そのため、いかに日常に馴染めるか?溶け込めるか?は非常に大きなポイントとなります。
またデザインが明らかに一昔前のデザインのサービスに関しては、明らかに導入意欲が落ちます。
②営業
ここで先ほどの「課題解決型」と「業務改善型」が出てきます。
「課題解決型」の場合、予め解決すべきポイントが見えていて、予算も与えられていることが多いので、いかに予算内で課題を解決できるか?が全てです。
なので営業資料に関しても、課題をどのように解決できるのかがまとまっている資料が非常に助かります。
一方で「業務改善型」の場合、元々ない予算を捻出しないといけないことが多いので、業務効率化によってどの程度の工数削減ができるかと、削減できた時間を利用してどんな新しいことに挑戦するか?が大事になってきます。
よって、営業資料には費用対効果や工数削減した分の時間の使い方までまとまっていると決済がおりやすいので、そこまでヒアリングして一緒に考えて資料に落とし込んでくれる営業の方だと非常に助かります。
また決済フローですが、一定規模以上の大きさの企業であれば、担当者から課長や部長、担当役員、社長等が決済フローに入ってくるかと思いますが、基本的に中身をちゃんと見ているのはせいぜい部長か担当役員までです。
そして意外と思っている以上に担当者の発言権が強い場合があるので、早く商談を決めたいがあまりに、担当者を蔑ろにして決裁者アポを急ぐ営業の場合、担当者NGでサービス不採用になる場合も多々あります。
あくまでも営業の方は担当者の味方となって、担当者がそのサービスを導入することで社内の皆から称えられる姿をイメージして、一緒に決裁者を説得しましょう!というスタンスの方が成功しやすいです。
あと短時間でのたび重なる電話は本当に嫌になるのでやめてください笑
③将来性
昔のサービスをパッケージ売りしていた時代とは違い、SaaSサービスはスタートアップによるプロダクトが多いこともあって、サービス導入のタイミングでは色々と痒いところに手が届かない状態のことも多いです。
しかしある程度それは分かった上でサービスを導入しているので、むしろ今後サービス改善スピードが速そうか?とか、会社のミッション・ビジョンに共感性が高く、優秀なエンジニアが集まって来そうか?といったことの方が重要だったりします。
なので営業の際にPdMやエンジニアの方が同席してくれたり、導入後も定期的にCSにPdM・エンジニアが同席してMTGを行ってくれるサービス(もしくは営業やCSの方が技術に明るいサービス)は導入率や継続率が上がる傾向にあると思います。
例えばDMMにSmartHRを導入した際には、プロダクト責任者の方が同席してくださったり、導入後も週1くらいのペースでMTGを開いて、プロダクト改善点をBacklogで進捗管理しながら一緒にサービスを作っていった感が非常に強かったので、DMMでも利用し続けていますし、転職後のPOLでもSmartHRを導入させてもらっています。
逆に某社のHR管理サービスを検討した際には、当時某NoSQLをDBに導入して、分散DB管理システムなので従業員数が多くても負荷に耐えられますと売り文句にしていたのですが、デモを見せてもらったところ、確かに従業員データの集計等は速かったのですが、一方で従業員毎の個別データの参照が非常に遅く、これってまさに列指向DBの特徴で、行の検索に対するチューニングができてないやん・・・となり(当時の話で今はまた全然違うのかもしれませんが)、結局導入を見送りました。
最後に
以上、完全に個人主観の選定基準でしたが、簡単にまとめてみました。
単純にサービス好きなのと、世の中がもっと便利なサービスで溢れて欲しいので、サービスのレビューを一緒にして欲しい!という方は是非ご連絡ください!
またPOLでは営業やCS、エンジニアの採用を行っているので、こちらも興味がある方は是非ご応募ください!
今後のnote発信のモチベーションに繋がるのでサポート頂けるととても嬉しいです!