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アブダビを牽引するALDAR社2024年上半期決算分析

はじめに
2024年上半期、Aldar Propertiesは著しい成長を遂げ、その財務実績は過去最高を記録しました。同社は、UAE市場での強力な販売、国際展開の拡大、および持続可能な開発への取り組みにより、業界内でのリーダーシップを強固なものにしています。本記事では、2024年上半期におけるAldar Propertiesの財務結果を詳細に分析し、今後の展望と戦略的な成長計画について探ります。

1. 全体的な業績概要

売上高と純利益

2024年上半期、Aldar Propertiesは売上高10.9億AEDを達成し、前年同期比で73%の増加を記録しました。これは、同社の強力な販売活動と新規プロジェクトの成功によるものです。
特にUAE市場における売上高は12.9億AEDに達し、前年同期比で22%増加しました。この売上の79%は、外国人および居住外国人に対する販売によるものであり、Aldarの国際的な魅力を反映しています。
純利益は、前年同期比で57%増加し、3.3億AEDに達しました。この成長は、効率的なコスト管理、資産の最適化、および高い売上成長率によって支えられました。

EBITDAと利益率

EBITDA(利払い・税金・償却前利益)は、前年同期比で61%増加し、3.9億AEDを記録しました。これにより、Aldar Propertiesは過去最高の利益率を達成し、成長軌道に乗っていることを示しています。利益率の改善は、売上の増加に加えて、コスト効率の向上、事業の多様化、および新規プロジェクトの成功によるものです。

グループ全体の販売と受注残高

2024年上半期におけるグループ全体の販売額は14.0億AEDに達し、前年同期比で21%の増加を記録しました。また、受注残高は39.0億AEDとなり、同社が今後も持続可能な成長を続けるための強力な基盤を構築しています。この受注残高は、過去のプロジェクトに加えて、新たなプロジェクトの成功が大きく寄与しています。

2. セグメント別業績分析

Aldar Propertiesの事業は主に「Aldar Development」と「Aldar Investment」に分かれています。これらのセグメントは、それぞれ異なる市場ニーズに応じた戦略的なビジネスモデルを展開しており、同社の総合的な成長を支えています。

2.1 Aldar Development

Aldar Developmentは、同社の開発部門であり、UAEおよび国際市場での不動産開発プロジェクトを手掛けています。2024年上半期、このセグメントの売上高は7.5億AEDに達し、前年同期比で94%増加しました。これは、主に新規プロジェクトの立ち上げと既存プロジェクトの進展によるものです。

主なプロジェクトと成果

アブダビでのプロジェクト: 2024年上半期には、アブダビで4つの新しいプロジェクトが立ち上げられました。これには、Saadiyat GroveやYas Placeなどが含まれます。これらのプロジェクトは、商業施設、住宅、リテールスペースなど多岐にわたり、Aldarのポートフォリオをさらに強化しています。

ドバイでの進展: ドバイでも1つのプロジェクトが立ち上げられ、同社のプレゼンスがさらに拡大しました。特に、Dubai Internet CityでのFalak Towerの取得は、商業用不動産市場でのAldarの影響力を示しています。

国際展開: London Square(LSQ)では、2024年上半期に7つの土地を取得し、総開発額(GDV)は10億ポンドを超えました。このような国際展開は、Aldarの成長戦略の一環として、重要な役割を果たしています。

2.2 Aldar Investment

Aldar Investmentは、同社の投資部門であり、持続可能な収益源を提供するために、多様な資産ポートフォリオを管理しています。2024年上半期、Aldar Investmentは3.2億AEDの収益を記録し、前年同期比で30%の増加を達成しました。

資産管理と収益成長

主要資産: Aldar Investmentのポートフォリオには、商業用不動産、住宅、リテールスペース、および物流施設が含まれています。これらの資産は、安定した収益を生み出すとともに、同社の全体的な財務パフォーマンスを支えています。

調整済みEBITDA: 調整済みEBITDAは1.3億AEDに達し、前年同期比で27%増加しました。これは、収益性の高い資産の取得と、既存資産のパフォーマンス向上によるものです。

アセットマネジメント: 総資産運用額(AUM)は370億AEDに達しており、これも前年同期比で大きな増加を示しています。特に、商業用不動産とリテールセクターでの強力なパフォーマンスが、この成長を牽引しました。

3. 持続可能性と社会的貢献

Aldar Propertiesは、持続可能な開発と社会的責任に対する取り組みを強化しています。2024年上半期には、同社のすべての新規開発プロジェクトがFitwell認証を取得し、100%がPearl 3またはそれ以上の評価を達成しました。特に、Yas Sustainable CityはPearl 5の評価を受けており、持続可能な都市開発の新しいモデルとして注目されています。

持続可能なエネルギー利用

同社は、新しい開発プロジェクトにおけるエネルギー使用指数(EUI)を32%改善しました。これは、環境負荷を低減し、持続可能な建築技術を導入するための取り組みの一環です。また、既存の資産についても、LEED認証を取得するための取り組みが進められています。

社会的価値の創造

Aldarは、地域社会への貢献も重要な使命としています。2024年上半期には、シェイク・ザイード住宅プログラムとの提携により、低所得世帯の住宅改善プロジェクトを実施しました。また、UAE国内の大学生に対して奨学金プログラムを提供し、将来のリーダー育成にも積極的に取り組んでいます。

4. 今後の展望と戦略

Aldar Propertiesは、今後も持続可能な成長を目指して戦略を展開していきます。特に、以下の分野に注力する計画です。

4.1 国際市場へのさらなる進出

Aldarは、エジプトとイギリスでのプレゼンスを強化するため、積極的に土地を取得し、新規プロジェクトを展開しています。特に、エジプトではSODICとの協力により、主要な開発プロジェクトが進行中です。また、イギリスでは、London Squareの新たなプロジェクトにより、さらなる成長が期待されています。これにより、Aldarは国内外でのプレゼンスをさらに拡大し、多様な市場ニーズに対応することで、持続可能な収益基盤を強化することを目指しています。

4.2 新規セグメントへの進出と多角化

Aldar Propertiesは、従来の不動産開発および投資以外のセグメントへの進出を検討しています。具体的には、以下のような新規事業分野での成長が見込まれています。

物流と産業施設: Aldarは、UAEおよび他の地域での物流および産業施設の開発に注力しています。これには、ドバイとアブダビにおける複数のグレードA物流施設の建設が含まれています。これらの施設は、特に電子商取引や第三者物流(3PL)に対応した高需要市場をターゲットにしており、将来的な収益の柱となることが期待されています。

スタッフおよび学生向け宿泊施設: Aldarは、成長著しい教育市場に対応するため、スタッフおよび学生向けの宿泊施設の開発にも着手しています。これにより、UAE内外での教育関連の資産を拡充し、Aldarのポートフォリオに新たな収益源を追加します。

シニアリビングおよびコリビング: 高齢化社会のニーズに応えるため、Aldarはシニアリビング(高齢者向け住居)およびコリビング(共住型住宅)の開発を計画しています。これにより、新たな顧客層を取り込み、さらなる市場の多様化を図ることができます。

4.3 技術革新とデジタル化

Aldar Propertiesは、デジタル化と技術革新を通じて、顧客体験の向上と業務効率の改善を目指しています。同社は、以下の領域で技術革新を推進しています。

スマートシティ開発: Aldarは、持続可能でスマートな都市開発プロジェクトを通じて、デジタル技術を活用したインフラの整備を進めています。これには、エネルギー管理システムやスマートビルディング技術の導入が含まれており、住民に快適で効率的な生活環境を提供します。

デジタルプラットフォームの拡充: 同社は、顧客向けのデジタルプラットフォームを強化し、オンラインでの物件検索、購入、契約手続きの利便性を向上させています。また、物件管理やサービスリクエストのデジタル化も進めており、顧客との接点を増やすことで、サービスの質を向上させています。

4.4 資本再配置と資産の最適化

Aldarは、既存の資産ポートフォリオを継続的に評価し、非コア資産の売却や新規高収益資産への再投資を行っています。これにより、資産の価値を最大化し、株主価値の向上を図っています。

リサイクルと最適化: Aldarは、非コア資産の売却から得られた資本を、新たな成長機会や高収益プロジェクトに再投資することで、資本効率を高めています。この戦略は、長期的な成長と安定した収益性の確保に寄与しています。

公開または非公開での資産の現金化: Aldarは、資産ポートフォリオの一部を公開市場での売却または非公開での取引を通じて現金化することを検討しています。これにより、資本の流動性を高め、新たな成長機会に迅速に対応することが可能となります。

5. 戦略的パートナーシップと共同事業

Aldar Propertiesは、戦略的パートナーシップを通じて事業を拡大し、新たな市場機会を開拓しています。2024年上半期には、以下のような重要なパートナーシップが発表されました。

5.1 Mubadalaとの共同事業

Aldarは、アブダビのAl Maryah Islandにおける2棟のグレードAオフィスタワーの開発で、Mubadalaと共同事業を展開しています。このプロジェクトは、金融地区に位置し、総貸出面積98,000平方メートルを誇るもので、完成後には同地区のランドマークとなることが期待されています。

5.2 DP Worldとの戦略的提携

Aldarは、DP Worldと提携して、ドバイのNational Industries Park (NIP) におけるグレードAの物流パークを開発することを発表しました。このプロジェクトは、LEED認証を受けた3棟のモジュール型物流ビルから構成され、電子商取引やリテールセクター向けの高品質な倉庫スペースを提供します。

5.3 教育および施設管理分野での拡大

Aldarは、教育および施設管理分野での事業拡大のために、複数の企業と戦略的提携を行っています。特に、Kent CollegeやVirginia International Private Schoolの買収により、UAE内外での教育施設の提供を強化し、施設管理サービスの提供範囲を広げています。

6. リスク管理とガバナンス

Aldar Propertiesは、成長を持続させるために、リスク管理とガバナンスの強化に取り組んでいます。同社は、以下のような主要なリスクに対処するための戦略を採用しています。

6.1 市場リスク

不動産市場は、経済状況や政策変更に敏感に反応するため、市場リスクが常に存在します。Aldarは、市場の変動に対して柔軟に対応するため、ポートフォリオを多様化し、異なる市場やセグメントへの投資を行っています。また、顧客基盤を多様化することで、リスクを分散させる戦略を取っています。

6.2 規制リスク

Aldarは、各市場の規制に従って事業を展開しており、規制リスクに対する対応策を講じています。これには、法令遵守の強化や規制環境の変化に迅速に対応するための内部プロセスの整備が含まれます。特に、UAE国内外での事業拡大に伴い、規制リスクの管理がますます重要となっています。

6.3 ガバナンスの強化

Aldarは、企業ガバナンスの強化を重要視しており、透明性の高い経営を実践しています。取締役会および経営陣は、株主価値の最大化を目指し、倫理的かつ法令遵守の観点から事業運営を行っています。また、ガバナンスの強化により、リスク管理の効率性が向上し、事業の安定性が保たれています。

7. 結論

2024年上半期のAldar Propertiesの決算は、同社の強力な成長軌道を示しており、UAEおよび国際市場でのプレゼンスの拡大が顕著です。売上高、純利益、およびEBITDAのすべてが過去最高を記録しており、Aldarの持続可能な成長への取り組みが功を奏していることが分かります。

今後、Aldarは新規市場への進出、および技術革新を通じて、さらに成長を加速させる計画です。また、戦略的パートナーシップを活用することで、新たな事業分野での成功を目指し、株主価値の向上に努めています。
Aldar Propertiesは、これからも業界のリーダーとして、革新的なプロジェクトを推進し、グローバルなプレゼンスを拡大し続けることが期待されます。

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