第23話 「工芸の五月」を楽しむ
(松本市民タイムス リレーコラム 2017年6月21日掲載分)
5月終わりの週末、毎年恒例の「クラフトフェア松本」が開催されました。
30年以上前からほぼ毎年、僕は木工やものづくりに対する憧れを抱きつつ見に行っています。
以前から全国より数万人が集まる大きなイベントになっていて、並行した開催の「工芸の五月」もあり街のあちこちで様々な作家さんの作品が見られます。
物作りをする一員として、沢山の人が工芸に関心を寄せる機会があるのは本当に素晴らしいことだと思うし、松本に住んでいて良かったと誇らしく思っています。
一方、イベントというのはこうやって長く続くほど運営の舵取りも難しくなってくるのだろうなと想像もします。
「すごく盛り上がってていいね!」と嬉しく思う反面、歳を取ったせいか人混みに疲れてしまったりする場面もあったり。今年も土曜の朝から意気込んで見に行ったのですがやはり2時間程でリタイヤしてしまいました。
フェアが始まった1985年当初は、地元の製作家の交流が主目的だったと聞きます。
それが10年後には300組を超える製作家が集まるようになり、翌年からは選抜制になったそうです。バブルの時代が終わり、実直にものづくりに取り組む人が増えてきたタイミングだったのかもしれません。
そうやって作家が増え、また手作りの品物を生活に取り込んで楽しむ人も増えてきて、最近のあがたの森は人気の商品を手に入れたい人が集中しています。のんびりと作者と話しをしたりじっくり見て回るには少々忙しい雰囲気も感じます。
一方あがたの森会場以外では本町を中心に「商店と工芸」、縄手通りでは「水辺のマルシェ」、伊勢町で「せせらぎ市」、六九商店街で「クラフトストリート」、中町・蔵シック館で「信州の手仕事展」と、素敵な催しがあちこちで開催されています。僕自身もあがたの森を観た後で土日の2日間とも街なかを散策していたのですが、商店の軒先や駐車場で木工などの作品をゆったりと見ることが出来良い時間を過ごしました。素敵な作品と出会って購入したり、夜には「5月の宵祭」でおいしいおつまみとお酒を頂きながら音楽演奏を楽しんだりしました。企画の皆さんありがとうございます。
これからもこういった流れが盛り上がって、あがたの森一極集中ではなく市内各地で工芸相乗り企画が膨らんできたら素晴らしいなと思います。いずれ僕もどこかに展示出来たらと夢想しつつ。
来年は是非、皆さんも工芸の五月イベントに参加してみて下さい。