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「100%デジタル」で会社を立て直す(2/2)

前回はこちら

ややシニカルに書きましたが、まとめると:

1)デジタル変革は全社横断、部門横断の取組になるので、経営がスポンサーシップを発揮しないと絶対に進まない

2)一方で経営はデジタルに疎いケースが多く、ROIやコストといった表層的な議論のみに終始してしまい、「顧客体験の最良化」という観点が置き去りにされやすい

3)結果、当初目的に沿った部門横断的な投資がされず、サイロ化されたデジタルの残骸が社内に積み重なり、顧客体験は改善されない

というケースがあまりに多い、ということです。それが故、関係者の意気込みとは裏腹に、「おもてなし at scale」を実現できる会社が非常に少ないのだと思います。

また、「100%デジタル」化が果たせず、部分最適で中途半端なデジタル化を進めることは、実は却って全体の問題を悪化させるケースが多いと体験上感じています。グランドデザインなく部門単位でデジタル化を進めると、連携できないデータやシステムが社内に乱立することになり、それらの結合や連携のための手数や費用が余計にかかる分、むしろ何もしない方がマシだったりするからです。

最悪のケースだと、マーケ部門が雇ったベンダーと情シス部門が雇ったベンダーが、それぞれの発注者の意向を受けた代理戦争を戦わされ、多くの犠牲者を出しながら全員が負ける、という悲惨な状況すら発生します。


突き詰めると、「おもてなし at scale」を実現するためには、「顧客体験最良化」の観点から経営がグランドデザインを描き、部門横断で果断なデジタル投資を行い、ぶれず・ひるまずPDCAを回し、成果を追求し続けること、に尽きると思います。

それを阻むのが経営層のデジタル・リテラシーの低さであるのならば、リテラシーが高く顧客体験目線でデジタルを語れる経営を「持ってくれば」いい--。

それが、くじらキャピタルの発想であり、「100%デジタル」という思想に至った背景です。

くじらキャピタルは、デジタルを熟知するオーナーとして、デジタル変革を主導します。クライアント企業のデジタル化ではなく、自分が所有する自分の会社のデジタル化です。「クライアントマター」ではなく、文字通り「我がこと」としてデジタル変革を主導するのです。

そして「すべては最終消費者の最高の体験のため」という思想に基づきグランドデザインを描き、Day1から例外なく社内システムやデータ基盤の統合・整備を進めます。自分が株主なので、社内調整に無駄な時間をかけません。結果、管理業務は最小限、顧客体験は最大となるシステムを最短で構築できると信じています。

さらに、これも非常に重要な点ですが、くじらキャピタルは支配株主であり、その投下資本はEXIT時に回収できればよいので、途中のランニング・フィーで儲けることを考えなくていいのです。

すなわち、顧客との知識格差をマネタイズしながら月次・四半期のフィーで利益を上げる必要がなく、よく分からない中間指標に逃げる必要もなく、端的に自分が所有する企業の「ボトムライン(当期純利益)に効果があったかどうか」だけを自らの存在意義とすることができる。

業務フローが改善しようとしまいと、中間指標がどうなろうと、最終消費者がハッピーになり実際の利益拡大につながらない限り、EXITでリターンを確保することができず、ファンドとしては1円も儲からない。従って、クライアントを騙しても意味がなく、知識格差をマネタイズする意味もない。

利益を実現させない限り絶対に報われないという構造、言うなれば「究極の成果報酬」の構造をファンドという形式であれば実現できるのではないか。これが、くじらキャピタル創業のもう一つの背景です。


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