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社交不安障がい者が旅をする。#20
バンコクに来て1週間が経つ。
ベトナム滞在中にタイからの旅人と仲良くなって以来、飲食店の店員さんなどと会話する以外で、誰かと話すことをしていなかった。
「誰かとラフな会話がしたいな」
同じように、新たなつながりを求める人と繋がりたいという気持ちが強くなっていた。
日本にいた頃、よくmeetupに参加していた。
カフェやバーで、様々な国からやってきた人とおしゃべりするという催しだ。
こういったイベントに参加する人の目的は主に3つ考えられる。
出会いを求めているか、英語を話す機会が欲しいか、ビジネスの勧誘がしたいかの3つだ。
僕の場合は、前者2つが当てはまっていた。
学生時代、場面緘黙を患いクラスメイトとまともに話せなかった僕に、その頃の「つながり」は皆無だ。
会社員時代も、当時の同僚たちとも仲は良かったが、浅い付き合いで僕にとってはつまらない人間関係だった。
そんな僕にとって、短期消費型の出会いの機会であるこのようなイベントは、都合が良かった。
もちろん、長期の付き合いとなる友人もできた。
それに僕の英語スキルは、meetupで生の英会話をしていたから伸びたと言ってもいい。
そんなわけで、meetupの価値を信頼している僕は、「meetup」アプリから現在地をバンコクに設定してイベントを検索した。
すると、様々なイベントが開催されるようだったので、僕好みの雰囲気を感じるものに参加してみようというわけだ。
午前11時。
バスを降りて少し歩くと、会場に到着した。
そこはビーガン向けのレストランだった。
店内に入ると、既に目の前の席を6人くらいで囲んでいた。
どうやら会場はここで間違いないようだ。
僕に気づいた主催者らしき人が、早速自己紹介をしてくれる。
いかにもコミュ力の高そうな人だ。
僕の方も自己紹介をして適当に席に腰を下ろす。
近場に座っていたおばちゃんと、流れで話し始めた。
参加者は皆、英語が堪能だった。
イギリス出身でタイに住んでいるおばちゃんや、タイ出身だが20年くらいアメリカに住んでいたおばちゃんとあれこれ雑談した。
少しすると、料理を注文するために席を立った。
列に並んで待っていると、ドイツ出身のお兄さんと前後の位置関係になり、自己紹介をした。
注文し終え、席に戻る。
そのまま、もう少し話しやすい位置に陣取ろうと、奥の方の席に移動した。
すると、先ほど話したドイツのお兄さんが隣になった。
話してみると、彼はいわゆるノマドワーカーのようだ。
フリーランスでwebマーケティング系の仕事をしているとのことだった。
タイにはトータル半年滞在する予定で、今は1ヶ月が過ぎたところだとも教えてくれた。
他の参加者とも話していると、多くは場所に縛られずに自由に働くノマドワーカーだった。
ただのバックパッカーの僕は、自由なライフスタイルを確立している彼らと話し大きな刺激をもらった。
「自分の理想のライフスタイルを実現して、自分のやりたいことで誰かに価値を提供したい。
その方が自分のパフォーマンスも最大限発揮できるし、相手にも最大限の愛を届けられる気がする」
だから、僕もその生き方を実現するという決心がより強くなった。
その後もおしゃべりをしていると、対面に座っていたお姉さん3人組が離脱した。
少しするとカナダ出身の、これまたノマドワーカーのお姉さんがやって来た。
彼女はマシンガンのように早口の英語を浴びせてくる。
聞き取るのに苦労しながらも会話を成り立たせていた。
「Your English is very good. 」
言語に関する話になった時、そんなことも言ってもらえた。
ネイティブにお墨付きをもらったようで、より自信がついた。
.
イベント終了後の帰り道。
久しぶりに色々な人と英語で話せたし楽しかったなと充実感に浸っていた。
同時に、やっぱり僕は
自分が話す:相手の話を聞く=3:7
くらいが一番心地いいなと思った。
別に面白い話ができるわけでもないし、人を笑わせる才能があるわけでもない。
でも、相手の話を聞いてそれを広げてあげるコミュニケーションが、自分らしさだなと再認識した。
(追記)
既に1週間ほどタイに滞在し、2回目のワクチン接種のため更に1週間ほどタイにいる予定だ。
中国、ベトナム、カンボジア滞在は短期間で、行きたい場所ややりたいことをやっていると、あっという間に時間が過ぎた。
それはそれで充実感があったし、中国で親戚と一緒に過ごせた時間は本当に幸せだった。
ここに来て、なんだか自分が100%満たされていない気がする。
「時間」に余白ができたことで、ある意味忙しない旅が覆い隠していた「本当に欲しいもの」と向き合っているのかもしれない。
1人で旅をしている僕に欠けているもの、それは「人とのつながり」だと感じる。
同じ旅人とおしゃべりしたり、現地の言葉を覚えて日常生活の基本的なやり取りをした。
それでも、それは「心」のつながりではないから本質的に僕が求めているものは得られない。
改めて、僕は「人とのつながり」という価値観を大事にしたいのだなと理解した。