![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/161107340/rectangle_large_type_2_0c088a55cb63e32d29931fc15bbb39d5.jpg?width=1200)
社交不安障がい者が旅をする。#19
バンコク滞在6日目。
観光名所として最も有名であろうThe Grand Palace やワット・ポーを見に行こうと早めに宿を出た。
前者は15:30で閉館してしまうため、今日見にいこうと決めていたのだ。
バスに乗ること1時間。
昼間でもバンコクの道路は混雑してるんだななどと思いながら、目的地に到着した。
泊まっている宿が観光地から少し離れた場所にあるせいか、その辺りで観光客を見かけることは少なかった。
だが、さすがはバンコク随一の観光地。
至る所にヨーロッパから来たであろう人々が見受けられる。
周りから聞こえてくる会話は、中国語や日本語、韓国語で行なわれているのが分かった。
500バーツ払いチケットを購入する。
敷地内に入ると、いきなり神々しい建物が出迎えてくれた。
カンボジアにも王宮など黄金で染め上げられた宮殿を見たが、ここにもそれに通ずる建築物があった。
壁画なんかを見てみても、人間と人外の顔をした悪魔(?)のような生き物が描かれている。
「カンボジアでも見たな」
国は違えど、お互いの文化には似ている点も多い。
敷地内はそれなりに広く、豪華な建築物が盛りだくさんだ。
しかし、500バーツ払った割にはあっけらかんと見終わってしまった。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/161084765/picture_pc_c419fcd74fa2b35aa0e25cba298a6799.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/161149917/picture_pc_abef32590199d632389c05ec94bf6cd8.jpg?width=1200)
.
The Grand Palace を出た僕は、ついでに近場にあるワット・ポーに向かった。
この寺院は、巨大な涅槃仏で有名だ。
中に入ると、これまた大小様々な仏陀の像が出迎えてくれた。
カンボジアでもそうだったが、とにかく仏陀の像が大量に置かれている。
それぞれ、瞑想していたり、立ち姿だったりと、バリエーション豊かだ。
さらに、アユタヤ王朝に関わる巨塔も寺院には多く建っている。
そんな見応えのある敷地内を奥へと歩いていくと、ついに横たわる仏陀の巨像と対面した。
近くで見ると想像以上に大きい。
頭の出っ張った装飾なんか、天井にぶつかっていそうだ。
どうやってこんなものを作りあげたんだろうという疑問が湧いてくる。
それだけ、この国の人々が仏教を信仰しているんだということも感じられた。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/161084838/picture_pc_78bbc3eb9eccf493d609d87c9f9a43c7.jpg?width=1200)
.
午後4時。
折角なので、ワット・ポーから電車で数駅のところにあるもう一つの寺院も訪れてみることにした。
そこは最近話題の「インスタ映えスポット」とのことだった。
最寄り駅に到着し、寺院に向かって歩き始める。
Google Maps先生の案内に従って進んでいくと、地元の中学校が姿を表した。
「どうりで学生をよく見かけるわけだ」
どこかの探検隊が来ていそうな見た目の制服を着た彼らは、学校のグラウンドでクラブ活動に励んだり、友達と屋台メシを買って談笑している。
それは、日本で学生時代を過ごした僕からしても、充実した学生生活を謳歌しているように見えた。
学校を通り過ぎるといよいよ目的の寺院に到着した。
「ワット・パークナム」
寺院の最上階の部屋の美しさから、インスタでちょくちょくこの場所を背景にした投稿を見かけた。
実際に行ってみると、最上階の部屋に辿り着くまでにも仏陀の像が展示されていた。
だが、周りにいた若い観光客達はそんなものには目もくれず、早くお目当てのものを見せてくれと言った風だ。
映える写真を撮り、SNSに投稿して満足するためだけにここに来るのは、なんだか寺院への冒涜な気もする。
誰かに自慢するために歴史ある場所が利用されているようで、モヤモヤした気持ちになった。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/161086902/picture_pc_4f73f2713c9af28296897660f36be2b2.jpg?width=1200)
.
宿の最寄り駅まで帰ってきた。
ここから泊まっているホテルまで、30分ほど歩かなければならない。
夕飯を食べておらず何か腹に入れたいと思ったので、飲食店を探しながら歩いていた。
すると、半屋内の一軒のお店が目に入った。
壁に分かりやすくメニューが張り出され、どれも60バーツや70バーツくらいで提供しされている。
立地といい、見たの目ローカル感といい、観光客が来るような店ではないのは明らかだった。
だが、寧ろそんな店でこそメシを食べたいと思った僕は意を決して店に入った。
店員のお姉さんにサワディークラップと挨拶し、ジェスチャーで1人ですと伝える。
お姉さんは何か言ってくるが全く理解できない。
とりあえず頷いていると、席を案内してくれた。
しばらく待っていると、何も注文していないのにタイっぽい(?)ラーメンが出てきた。
恐らく先ほどのやり取りは、これ以外のメニューないよということを僕に伝えてくれたのだろう。
しかし、出てきたラーメンを口にするとさっぱりとした味わいで、とても食べやすい。
数分で完食してしまった。
「タイ語でHow muchはどう言うんだろう」
1人で訪れたタイのローカルレストラン。
店員さんとそれっぽいコミュニケーションを取りたくなった。
それは、郷に入れば郷に従えという、僕が旅の中で大事にしたいことでもある。
「タオライ クラップ?」
席を立って先ほどのお姉さんにそう聞くと、何か言ってくれた。
恐らく値段を答えてくれたのだろう。
しかし、タイ語で数字をどう言うか分からない僕は、How much と聞いたところで無駄だった。
結局、500バーツ札を渡して、お釣りをもらった。
言葉のキャッチボールとまではいかなかった。
だが、自分が発した音節が、お姉さんには「言葉」として伝わっていた。
「これだから、自分にとって縁の深い英語と中国語はもっと極めたいんだよな」
言語って面白い。
確かに、ジェスチャーでもコミュニケーションは取れる。
だけど、言葉を介して目の前の相手と繋がることの楽しさをもっと味わいたいと思った。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/161086998/picture_pc_cf66b251fde08508a836c6bae2a8cf9e.jpg?width=1200)