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社交不安障がい者が旅をする。#3
上海に来て3日目の朝、この日もすっきりとしない天気の中、街に繰り出した。
とりあえず、宿からほど近くにある『静安寺』に向かうことにした。
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しばらく歩くと、目的の場所に辿り着いた。
しかし、微信(WeChat)からの入場予約ができず、中に入るのは諦めた。
予約時に、電話番号の入力を求められるのだが、持っている番号ではダメだと言われてしまう。
最近の中国は、どこに入るのにもオンライン上での予約が必要なようだ。
中国国内で使える電話番号を持っていない外国人には、観光しづらくなってしまったなと思った。
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お昼、腹をすかして立ち寄ったのは、街角にあるレストランだった。
注文の仕方を聞くと、席のQRをスマホでスキャンするらしい。
よく分からず手間取っていると、微信でスキャンするんだよと教えてくれた。
メニューを眺め、注文した気になっていると、「下单」と書かれたボタンをタップしないと、注文したことにはならないようだった。
「なるほど、こうやるのか。」
相手からしたら、なんだこの世間知らずは、と思われただろう。
手取り足取り教えてもらってしまったが、この国で生き抜く術を1つ、学んだ気がした。(頼んだ料理もめちゃうま!)
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午後、世博会博物馆(万博博物館)に向かった。
館内に入ると早速、過去の万博の歴史に関する展示が並んでいる。
そもそも万博は、1851年、産業革命を経たイギリスが、その技術力を人々に示すために始まった催しだ。
その時代から、現代まで脈々と続く歴史を辿るのはなかなかに面白かった。
今の僕たちの生活は、偉大な先人たちの発明によって成り立っている。
飛行機が発明されなければ、今こうやって世界を旅するなんて、簡単にはできなかったかも知れない。
そもそも自分も日本に生まれていなかったかも。
そう考えると、人類の叡智に感嘆せずにはいられなかった。
そうして生活はどんどん便利になり、不可能が可能になり、人間は物質的な豊かさを手にした。
これからの人類に求められるのは何か、「幸せ」について再度、見つめ直す時期に来ているとも感じた。
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世博会博物馆からの帰り。
何か腹に入れようとぶらぶらしていると、建物の一角にある店が気になった。
角を曲がってみると、客引きの女性に声をかけられた。
見た目からして大学生のバイトのようだ。
おすすめの料理を紹介してくれているようだが、いまいち聞き取れない。
少し気まずかったので、その店に入ることにした。
夕飯時なのだろうが、店内はがらんとしていた。
テーブルに貼られたQRを読み取り、注文をする。
早速、昼食で学んだネットでの注文の仕方が活かされた。
頼んだのは、「米线」。
一昨日の夜に食べたラーメンは21元で格安だったが、こちらは35元。
でも具材は断然こちらがしっかりとしている。
質と値段はちゃんと比例しているんなと思った。
まあ、一昨年のラーメンも十分美味かったのだが。
店を出ると、呼び込みの彼女と再度顔を合わせた。
「你满足了吗? 下雨没事儿吗?(美味しかった?雨降ってるけど大丈夫?)」
雨の中尚も1人店先に立っていた上、こちらを気遣ってくれる彼女に、咄嗟に気の利いた返答がでない。
僕は、愛想笑いを返してその場を立ち去るしかなかった。
「ああいう時って、なんて言えば良かったのかな?」
「谢谢はちょっと違う気がするしな」
歩きながら、先ほどお茶を濁すことしかできなかった自分を不甲斐なく思った。
いや、なんて言えばいいか分からないは、嘘だ。
我满足了,谢你啊!とか、受け答えを考えるのにちょっと時間はかかっても、いくらでも言いようはあったはずだ。
悔しさと情けなさの中、泥臭くてもしっかりとコミュニケーションを取ろうと誓った。
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