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社交不安障がい者が旅をする。#12

体調を回復させることに集中するため、一日宿からほとんど出ずに、ゆったりと過ごした。

思えば、ここまで忙しかった。
ゆっくりする時間は確かにあったが、僕個人の感覚では「なんか忙しないな」と感じていた。
だから、体調を戻しつつゆっくり1日を過ごせたのはよかった。

夕方、バックパッカー向けの安レストランがあるとの情報を入手し、早速行ってみた。

目的のレストランの前まで来ると、客引きのお姉さんに声をかけられた。
元々このレストランに行くつもりだったので、そのまま引き込まれるように入った。

メニューを見ると、どれも安価で食べられるものだった。
チャーハンなんて1ドルで提供されている。
僕は、お腹に優しいものをと思い、ベトナム風スープと春巻きを注文した。

それぞれ2.5ドル、1.5ドルくらいだったが、出てきた料理はそれなりにボリュームがあった。
前日はほとんど何も食べていなかったので、スプーンとフォークが進んだ。

会計を済ませ、店を出ようとすると、客引きのお姉さんが話しかけてきた。

「Tastes good.(美味しかったよ)」
「Thanks. Where are you from?(ありがとう。どこ出身?)」
「China.(中国)」
「Really, your English is very good.(まじで?英語上手だね)」
「Thank you. I’ll come again.(ありがとう、また来るね)」

日本から来たというと、舐められそうな気がして、いつもChinaと答えていたが、この時のその癖が出てしまった。
だが、気さくな客引きの彼女との会話に、心が安らぐ気がした。

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