「アフリカ」に日本人は何人?海外在留邦人数調査統計を読んでみる。
前回の記事では世界に住んでいる日本人の数「在留邦人数」を外務省が発行する「海外在留邦人数調査統計」から読み解いてみました。
今回は私が住む南アフリカやアフリカ大陸に絞ってみてみようと思います。
今回も参考にする資料はこちら。
外務省「海外在留邦人数調査統計」平成30年度版
南アフリカは?
在留邦人数(長期滞在者と永住者の数)は南アフリカは1505人で前年比36人、2.5%増となっていました。
この数値だけ見たときピンとはこないですよね。アメリカで40万人、中国で12万人と聞くと、やっぱりアフリカはまだまだ少ないなと感じるかもしれません。が、これは世界全体でも44番目の多さ。
すぐ上にはデンマーク、ハンガリー、ポーランド、トルコとヨーロッパ諸国の名も。
この統計では滞在者の身分や目的も見ることができます。
(南アフリカには大使館の他、在ケープタウン日本総領事館があり、それぞれで数値が提出されています。)
まず、「永住者」。
南アフリカは永住者だけで288人います。ケープタウン近郊には120人が滞在しているそうで、ほかの168人は国内いろいろと分かれているのでしょう。プレトリア・ヨハネスブルグ・ダーバンが多いかと思います。
次に「学生・研究者・教師」も見てみます。
南ア全体には20人(内、ケープタウン13人)でした。ケープタウン大学はアフリカ地域ではトップクラスの大学で、こちらに留学している日本人にも会ったことがあります。ちなみにケープタウン大学以外にもステレンボッシュ大学も有名です。
そして「民間企業関係者」。
民間企業関係者は655人(内、ケープタウンは29人)。
「学生・研究者・教師」とは逆にケープタウンはだいぶ少ないですね。
ケープタウンに所在する日系企業は主に小売・運輸・漁業があるようです。
南アフリカで民間企業が集まるのは断然ヨハネスブルグになります。昨年に大使館に招待いただいたときに聞いた話でもほとんどの方がヨハネスブルグで働いていると話していました。治安などの悪名や悪い話が根深いですが、地域や生活の仕方で事業も生活も問題はかなり抑えられるようです。
そして、もう一つ注目なのはダーバン。あまりなじみのない都市だと思いますが、ケープタウンと並ぶ大都市。観光資源もありますが、特徴は大きな港を持っていること。貨物取扱量は世界9位でアフリカでは最大の港湾です。そして、ここにはTOYOTAのアフリカ地域の主力工場があります。ダーバンに住む日本人の多くはTOYOTAや関連会社の駐在員なんだとか。
アフリカ地域全体では?
さて、視点を広げてアフリカ地域で見てみます。
まずは在留邦人数。
南アフリカ(1505人)
エジプト(988人)
ケニア(728人)
モロッコ(362人)
ガーナ(361人)
ウガンダ(311人)
タンザニア(306人)…
となっていました。
アフリカ諸国の数値を見ていて気付くのは政府関係者数の比率の高さ。
ちなみに政府関係者には、在外公館職員の他、独立行政法人や国連機関・国際機関職員が含まれます。
そして、その比率は南アフリカ(9%)・エジプト(16%)・ケニア(36%)・モロッコ(27%)という数値ですが、それ以外の多くの国で40%以上という高いものでした。やはり開発の続くアフリカ地域ならではの数値ということでしょうか。
この比率を見たとき、ある国が出てきました。それがナイジェリアです。数値は在留邦人全体の26%が政府関係者となっています。あまり今までなじみは無かったのですが、近年、人口増加やGDP成長率予測からビジネスチャンスがあると言われています。
実は石油輸出などが強く、GDPでは南アフリカを何年も超えています。しかし、近年の原油相場による経済の失速やイスラム過激派の影響、貧困格差、インフラ整備などまだまだ解決すべき問題が残っているようです。参考記事
それもあってか、成長の期待があっても諸問題が壁となり、手を出しにくいようで在留邦人は141人となっています。
さて、アフリカ地域のビジネス的な面となる民間企業に関わる数字はどうでしょう。下記は民間企業関係者の在留邦人数です。
南アフリカ(665人)
エジプト(199人)
ケニア(189人)
ガーナ(65人)
ウガンダ(56人)
モザンビーク(55人)
タンザニア(51人)
民間企業関係者の人数は南アフリカは先に触れた通り、665人でダントツです。エジプト、ケニアと続きそれ以降はガクッと人数が減り100人未満でした。
政府関係者の人数も多かったケニアですが、やはり東アフリカ地区の要として企業関係者も集まっていることが特徴の一つではないでしょうか。
同じことはガーナにも言えることで、西アジアの拠点として機能していることから企業関係者も多いのだと思います。
最後に日系企業数からも見てみます。
南アフリカは282社と多く、3分の1が製造業というのが特徴です。エジプト・モロッコは50社ほどあり、こちらも半分近くを製造業が占めています。ナイジェリアは総数は40社ですが、同じく製造業は多め。
先ほどまでに上げたケニアやガーナはというと、こちらも50社近く。比率は製造よりも小売業が高くなっています。小売りの内容というのも調べてみると興味深い傾向が見えてきそうですね。
そのほかの国は日系企業数数は30社未満多くは一桁台でした。また、業種もバラついていて、まだ特徴らしいものは見られませんでした。
まとめ
今回は南アフリカ、そしてアフリカ地域に焦点を当ててみてみました。
アフリカに興味がある方ならすでに知られていることでしたが、まだまだ各拠点となる国に人が集まっていることが具体的に数値として出ていました。
エジプトやモロッコはヨーロッパ向けの製造を、南アフリカはアフリカ地域と自動車など一部は日本を含むアジアに向けての製造拠点になっているようです。ケニアはアジアから東アフリカ地域へのモノの行き来の拠点として小売りが伸びているのでしょうか。
今回は私が住む南アフリカは少し取り上げましたが、他の国の、特にビジネス面で掘り下げるのも面白そうだなと感じました。興味深い記事などを見かけたときには取り上げたいなと思います。
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