フォトグラファーのためのアメリカビザ攻略ガイド:ある写真家の経験から
こんにちは。
東京とニューヨークで広告カメラマンとして活動し、現在はニュージーランドのウェリントンを拠点にしている丸山です。
最近、新しいビザを取得でき、しばらくはビザの心配をせずに制作活動に集中できるようになりました。20年間、ビザの問題が常に私につきまとい、本業に集中できない時期があったり、一つの場所に腰を据えて長期的なプロジェクトに取り組むことが難しかったり、無駄にお金を浪費してしまったりしました。このような私の失敗も、誰かの役に立てれば意味があるのかもしれません。これを機に、私の経験を皆さんに共有したいと思います。
私はこれまでアメリカとニュージーランドで、エンジニア、起業家、アーティストなど、さまざまな肩書きでビザを取得してきました。ビザ取得は確かに複雑で、コストや時間もかかる面倒な作業です。しかし、私の経験から言えることは、どなたにもビザ取得の可能性はあるということです。アメリカには多様なビザが用意されており、皆さんの条件に合ったビザが見つかる可能性は十分にあります。
この記事では、主にフォトグラファーの視点からお話ししますが、他の職種の方にも参考になる情報が含まれているはずです。アメリカでの活動に興味のある方々にとって、何かしらの指針となれば幸いです。
アメリカで活動する魅力
アメリカで活動することの魅力について、私の経験を交えてお話しします。
グローバルな機会: ニューヨークを拠点に、世界規模のプロジェクトや国際的なネットワークにアクセスできます。
クリエイティブな環境: 多様な文化が交わり、新しいアイデアが生まれやすい環境です。
高い報酬の可能性: 同様の仕事でも、より高い報酬を得られる機会があります。
充実したアートマーケット: 写真やアート作品の市場が発達しています。
外貨獲得のメリット: 現在の円安傾向はドル収入に有利ですが、為替は予測不可能です。私自身、1ドル75円台の極端な円高も経験しました。為替を気にしすぎるよりも、自分の仕事に集中することが大切だと考えています。
私自身、ワールドワイドな広告キャンペーンに携わり、ニューヨークのギャラリーで作品を展示できたことは、日本にいては実現困難だったでしょう。もちろん、日本に残っていても素晴らしい機会があったかもしれません。しかし、新しい環境に飛び込むことで、予想外の成長や可能性を見出せることもあります。それぞれの選択には、独自の価値があるのだと思います。
アメリカのビザオプション
主要なビザオプションについて、私の経験も交えながら紹介します。
1. O-1ビザ:卓越した才能を持つ個人向け
特徴: 芸術、科学、教育、ビジネス、スポーツなどの分野で卓越した能力を持つ個人向け
適している人: 業界で高い評価を受けているフォトグラファー
注意点: 賞の受賞歴、メディア掲載、高額報酬の証明など、顕著な実績が必要
私の経験: アメリカではこのビザを取得しませんでしたが、ニュージーランドで類似のタレントビザを取得しました。私の場合、特別に華々しいキャリアがなくても取得できましたが、国や時期によって基準が異なる可能性があります。アメリカでは他の方の推薦状を書く機会が何度かありました。
2. E-2投資家ビザ:起業家向け
特徴: 自身で事業を立ち上げる起業家向け
適している人: 写真スタジオを開業したい方
メリット:
条件次第で、日本人従業員にもビザを提供可能
ビジネスが継続する限り、ビザの更新が可能
注意点: 相当額の投資が必要、アメリカで雇用を創出する必要あり
私の経験: アメリカ滞在中、いくつかのビザオプションがありましたが、私の状況と目標を考慮した結果、このビザが最適だと判断し取得しました。日本人従業員へのビザ提供可能性は非常に有益で、H-1Bビザが抽選制で不確実な中、日本人人材の確保に大きな助けとなりました。
3. H-1Bビザ:専門職向け就労ビザ
特徴: 雇用主がスポンサーとなる就労ビザ
適している人: 大手スタジオや企業に雇用されるフォトグラファー
注意点: 年間の発給数に制限があり、抽選制
私の経験: 最初はエンジニアとしてこのビザでアメリカに渡りました。
4. J-1交換訪問者ビザ:文化交流プログラム参加者向け
特徴: 文化交流プログラムやインターンシップに参加する人向け
適している人: アシスタントフォトグラファーとして経験を積みたい若手、文化交流を目的とする方
注意点: 通常、滞在期間が限定されており、プログラムによって条件が異なる
私の経験: 自身の会社で何人かのJ-1ビザホルダーをインターンとして受け入れました。
5. F-1学生ビザ:留学生向け
特徴: アメリカの教育機関で学ぶための留学生向け
適している人: 写真や関連分野を学びたい方
利点: 卒業後のOPT(Optional Practical Training:実務研修)で就労経験が可能。これはキャリアをスタートさせる絶好の機会となります。
注意点:
OPTの期間は通常1年間ですが、専攻分野によって異なります。
STEM(科学・技術・工学・数学)分野の場合は最大3年間のOPTが認められますが、一般的に写真やアート分野は含まれません。
OPT中は専攻分野に関連する仕事に就く必要があります。
私の経験: 自身の会社でF-1ビザのインターン学生やOPT参加者を受け入れた経験があります。
6. その他のビザオプション
Iビザ: メディア関係者向け。私は当初アメリカに行く際にこのビザを検討しましたが、アメリカ企業の仕事ができない制限があり断念しました。
P3ビザ: アーティストやエンターテイナー向けとされています。写真家の場合、短期の写真展の開催、ワークショップの実施、文化交流プログラムへの参加、あるいは特定のアートプロジェクトのための滞在などに適している可能性があります。ただし、商業的な活動には制限がある場合があるため、適用条件を十分に確認する必要があります。
B1/B2ビザ: 観光やビジネス目的の短期滞在用です。このビザでの就労は一般的に制限されていますが、ネットワーキングや市場調査などの活動は可能とされています。ただし、具体的にどのような活動が許可されるかは、その時々の規定によって異なる可能性があります。活動を計画する際は、最新の規定を十分に確認することが重要です。
まとめと注意点
私が初めてビザを取得してからだいぶ時間が経ちました。この経験を基に情報を共有していますが、ビザ規則は定期的に更新され、個々の状況によって適用が異なる場合があります。アメリカでの活動を検討する際は、以下の点が重要となります:
最新の公式情報の確認
自身の状況に適したビザの選択
十分な時間をかけた調査
ビザの選択は、キャリアステージ、目標、財政状況など、個人の事情により大きく異なります。プロセスが複雑で専門的な知識が必要となることが多いため、信頼できる移民弁護士に相談することを強くお勧めします。
追加情報
この記事では、私の経験に基づいたビザの概要をお伝えしました。機会があれば、以下のような内容について、より詳細な情報を別の記事で共有したいと考えています:
ビザ取得の具体的なプロセス
アメリカでの活動基盤の作り方
ギャラリーでの作品展示までの道のり
アメリカでの活動は、多くのフォトグラファーやクリエイターにとって新たな可能性を開く機会となるでしょう。それぞれの目標や状況に応じて、最適な道を見つけていく過程は、きっと価値ある経験になるはずです。
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