Shinichi Maruyama / 丸山 晋一

千葉大画像工学科、amana、博報堂フォトクリエイティブを経てNYに移住。広告の仕事に…

Shinichi Maruyama / 丸山 晋一

千葉大画像工学科、amana、博報堂フォトクリエイティブを経てNYに移住。広告の仕事に携わりながらアート制作開始。NY Bruce Silverstein Gallery所属。現在ニュージーランド在住。https://www.shinichimaruyama.com

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1枚の写真を制作するのに3年もかかってしまった、その記録。 "Light Sculpture"

丸山です。 先日、ウェリントンのビクトリア大学で「Light Sculpture」プロジェクトを紹介する機会を得ました。技術的な内容が多かったのですが、思いのほか好評でしたので、内容を一部整理して、こちらでもご紹介したいと思います。 水を撮ることの難しさ、面白さを感じていただければ幸いです。 Light SculptureHave You Ever Really Seen a Rainbow?  As I zoomed in, I realized what was t

    • 写真展:プリント/額装(フレーミング)サービスまとめ

      こんにちは。丸山です。 昨年、日本とニューヨークの計4カ所で写真展を開催しました。 展示場所や条件が異なるため、複数の展示方法を用いることになりました。 海外在住の私にとって、遠隔でプリントやフレームを手配するのは予想以上に時間がかかりました。 フレーム業者を探す中で気づいたのは、この業界にはまだ職人気質も残っているということです。ウェブサイトのないサービスもあり、ネット上では見つけられない素晴らしいフレーム業者がまだ多く存在するのではないかと感じました。 これらのま

      • フォトグラファーのためのアメリカビザ攻略ガイド:ある写真家の経験から

        こんにちは。 東京とニューヨークで広告カメラマンとして活動し、現在はニュージーランドのウェリントンを拠点にしている丸山です。 最近、新しいビザを取得でき、しばらくはビザの心配をせずに制作活動に集中できるようになりました。20年間、ビザの問題が常に私につきまとい、本業に集中できない時期があったり、一つの場所に腰を据えて長期的なプロジェクトに取り組むことが難しかったり、無駄にお金を浪費してしまったりしました。このような私の失敗も、誰かの役に立てれば意味があるのかもしれません。こ

        • 商品写真、美術館の壁に。15年越しのプロジェクト、実現。

          こんにちは。 切り抜き写真もアートになるのではないかと考えている丸山です。 2023年、長野県の『シンビズム5』というプロジェクトに参加する機会を得て、故郷の高遠美術館で作品を展示することができました。 学芸員の方々と展示構成を相談する中で、2014年に制作した 『Japanese Beer』シリーズの展示を提案しました。 これまで展示機会がなく、ニューヨークのギャラリーでも評価されなかったこのシリーズでしたが、今回、学芸員の方々が興味を示してくださり、展示が実現しまし

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          一枚、10万円かかったフルオンチェーンNFTが、4千円でできた。

          こんにちは、丸山です。 半年前まで、イーサリアムに記録されたフルオンチェーンNFTが持続性において最も優れていると考えていました。 しかし、現在ではビットコインのチェーン上にフルオンチェーンNFTを刻むことができます。 イーサリアムでデータをオンチェーンに記録するコストは、1枚あたり100,000円だったのに対し、ビットコインNFT(Ordinals)では4,000円です。 一点もののアート作品の場合、Ordinalsが良さそうです。 こちらはイーサリアムのフルオンチェ

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          AIを使って、ホップに囲まれた"Japanese Beer, 2014" の広告写真を制作してみた

          こんにちは、丸山です。 商品商業写真が、将来AIで生成されるようになるのか考えてみました。 AI画像生成と広告写真最近は広告の仕事をする機会がないのですが、長年広告写真に携わり、広告写真を題材にした作品を制作してきたこともあり、このテーマに興味があります。 以前、Still Lifeの写真をAIで制作してみました。 AIの可能性は感じていましたが、著作権などの問題から、実際の広告写真に使われることはしばらくないだろうと思っていました。 アドビ、「Adobe Firef

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          ポールダンサーはストリッパーなのか、アスリートなのか?

          昨今、男性アーティストが女性の性的魅力をテーマにした作品を発表できるのか? そんなことを考えている丸山です。 高尚なコンセプトでもなんでもなく、多くの男性が10代の頃から持っているであろう感情をベースに表現したいだけなんですが、現在では難しいようです。 これは、2018年にポールダンサーを撮影した作品です。 制作当時、NYのギャラリーからは、"今のアートの世界では、こういうテーマは人気がない。女性が女性を撮影する、もしくは、男性も自分の裸を撮影するくらいのガッツを見せる

          ポールダンサーはストリッパーなのか、アスリートなのか?

          ビールと酒税とSDGs 

          こんにちは。 ビールも作品の被写体になるんじゃないかと考えている、写真家の丸山です。 ビール、発泡酒、新ジャンル、ノンアルコールビールそのものの価格は、税抜きであまり変わらないことをご存知でしょうか? 実は、ノンアルコールビールが一番高かったりすることもあるんです。 そして、2026年にはすべての税率が同じになります。 私の作品に、2014年制作の”Japanese Beer"があります。 撮影の翌年である2015年、国連サミットで「我々の世界を変革する:持続可能な開

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          "Japanese Beer" 2014年発売された114種類、すべてのビールを味わう。

          こんにちは。 ビールを作品の被写体に選んだ写真家の丸山です。 2014年、大手ビール会社のすべてのビールを購入しました。おそらく。 その数114種類。 それらを撮影したあと、ジャパンビアソムリエ協会の山上昌弘氏とスタッフ全員で利きビールをしてみました。 ビールのソムリエって存在するんですね。この時初めて知りました。 ビール好きの私ですが、さすがにテイスティングが30種を超えるころには、、、 ビール、発泡酒、ノンアルコールビールと、各社様々な商品を開発販売しています。そ

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          ARを使って作品を”ジャケ買い”してもらおう

          切りぬき写真も作品になるのか? そんなことを考えているフォトグラファーの丸山です。 日本の広告写真をテーマにした"Japanese Beer"という作品があります。 今回東京で初めて展示します。 2014年の冬、日本で購入可能な大手ビール会社の全てのビールをグラスに注いで撮影しました。 作品の見た目はほとんど同じ、展示会場で商品がわかるようにするためにARを試すことにしました。 ビジュアル的には、液体という商品自体にあまり差がなく、パッケージ形状も同じなので、パッケージ

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          "Japanese Beer" 2014年発売分、ぜんぶ 買って、撮って、飲んでみた。

          こんにちは。商品の切りぬき写真を壁に飾っても、いいんじゃないかと思っている丸山です。 私は、東京とニューヨークで商品撮影の仕事をしながら、ギャラリーで作品を発表しはじめた。 そして、広告写真を作品のテーマにすることを思いついたのだ。 撮影の難易度が高い ”ビールの切り抜き”。 よく仕事で撮影していた被写体でもある。 そして私はビール好き。 日本の消費文化、豊かな食文化も表現できると考えた。 海外で生活し仕事をしていると、日本のあらゆる商品の種類の多さにも改めて気付か

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          AIでなんでも画像が作れる時代に、あえて真夜中に虹を撮るためにニュージーランドで30時間挑戦した話

          こんにちは、私は人知れず密かに存在している美を探して、写真を撮ることに情熱をかけているフォトグラファーの丸山と申します。 みなさん、真夜中にも虹が見られることを知っていますか? 太陽光だけでなく月の光によっても虹が出現するんです。 私はこの事実を知り、ニュージーランドの滝にかかる「月光虹」を撮影するプロジェクトを思いつきました。 みんなが寝ている間にも、山の中にひっそりと美が存在しているなんて、なんかいいですよね。 ニュージーランドには数多くの滝があり、それらを巡るだけで

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          写真の言語化そしてまた写真 - AIの進化を確認しつつ、人が創る意味を考える

          久しぶりにMidjourneyを使ってみると、/describeという新機能があることに気がつきました。 画像をテキストに変換してくれる機能です。 先日のGPT-4の新機能もそうでしたが、画像をテキスト化する機能は様々な用途に使えそうです。それを視覚障がい者向けのアプリに応用するという発想は素晴らしいですね。 早速、私の作品で試してみました。 ”Water Sculpture” 水を空中に放って、水の表面張力、重力によって、創り出される形を捉えた作品です。 さらにビー

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          「NUDE 」 その1 - 女性のフォルムと動きの美しさを一枚の写真で表現する試み

          10年前に制作した「NUDE 」という作品があります。 今年、初めて日本のギャラリーで発表する機会を得ました。 Shinichi Maruyama "Photographs 2006-2021" Blitz Gallery  2023/5/11-7/30 改めて、この作品を紹介したいと思います。 女性は美しいですよね。 その姿と動きの美しさを一枚の写真に収めようとしたのがこの作品です。 「NUDE 」は長時間露光で撮影されたとよく勘違いされますが、実は一瞬を捉えた多数

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          AIを使ってNSFWな画像を作成することについて。 Not Safe For Work(職場で見るには適さない)

          私はNUDEをテーマにした作品も制作しているので、AIが制作活動にどのような影響を与えるのか、興味があります。 最近、AI画像に関する法律の話題も多いのですが、NSFW画像は”悪”という前提で議論されている印象があります。 ヌードや性をテーマにした作品は、重要で、素晴らしいと思っているので、なにが問題とされているのか整理してみました。 (AI画像に作品的価値があるかどうかは今回考慮していません) 著作権、肖像権、倫理観などの問題を分けて考える必要がありそうです。 NSFW

          ¥100

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          Still Life写真をAIで制作してみる

          Midjourneyで制作してみました。 これをポートフォリオと言っていいのかわかりませんが、10年前なら何ヶ月もかりそうな作品が30分ほどで作れます。 30年前のフィルム時代なら、ほぼ制作不可能ですね。 AI画像の商品を差し替えて広告が作られる未来が来るのでしょうか。 もしかして、もうすでに作られていますか?

          Still Life写真をAIで制作してみる