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第24節 ウルブズvsアーセナル マルティネッリの退場よりも懸念すべきは...

最初に

まず両軍のスタメン及びシステムを。
ウルブズは[3-4-3]で、GKジョゼ・サー 3CBが左からロマン・サイス、コナー・コーディー、マクシミリアン・キルマン WBは左がマルサウ右がネウソン・セメド CHがルベン・ネヴェス、レアンデル・デンドンゲル 3トップが左からダニエル・ポデンセ、ラウール・ヒメネス、フランシスコ・トリンカオ。前線の3トップはポデンセとトリンカオがシャドーのように振る舞っていたので[3-4-2-1]と言って良いかもしれません。

アーセナルは[4-2-3-1]で、GKアーロン・ラムズデール 4バックが左にキーラン・ティアニー、ガブリエウ、ベン・ホワイト、セドリック ボランチ(CH)にトーマス、グラニト・ジャカ 2列目に左からガブリエウ・マルティネッリ、マルティン・ウーデゴール、ブカヨ・サカ そして1トップにアレクサンドル・ラカゼット。

試合の鍵となるのはウルブズのピッチの幅を使ったビルドアップに対してアーセナルがどう対応するのか、そして冨安不在の右サイドをウルブズが押し込むことが出来るか。

前半

ハイプレスという選択を採ったアーセナル

3CBが幅を取ってじっくりビルドアップするウルブズに対して、アーセナルはハイプレスで対処することを選びました。
幅を取ってビルドアップする際に気を付けなければいけないのは相手に高い位置で奪われてしまわないこと。選手間の距離が遠いし、サイドの選手は比較的高い位置を取るのでショートカウンターのリスクが高くなります。
アーセナルにとって、ハイプレスを仕掛けるというのは理には適っていました。
ハイプレスで来ることが分かっているウルブズは、最終ラインからの組み立ての際にボールを供給する選手をフリーにさせたい。そしてどうしたかというと、CHのルベン・ネヴェスをDFライン辺りまで下げてフリーにさせ、中央からサイドへボールを供給。サイドの高い位置でWBがボールを持てるようにしました。

アーセナルの2ボランチ両脇のスペースでウルブズのWBボールを受ける。
じっくりではありながら確実に攻め上がることが出来ていました。その目的はアタッキングサードの中央での数的有利を作ることです。

サイドの高い位置でWBがボールを持ち、アーセナルのCHのうち1人をサイドに奪いに来させる。
するとCBの2人とその中央で待ち構えるCHのもう1人の3人に対して、ウルブズはCHと前線の3人で数的に上回っている状況を作れます。
そのスペースにウルブズはクロスを放り込んで得点しようという試み。
真ん中に絞って待ち構えている3トップや、CHのデンドンゲルが中央に走り込んでくる。となると、アーセナルの最終ラインは誰をマークすれば良いのかわからなくなってしまいます。

アーセナルのDF4人は相手に対して背を向けて帰陣しています。ウルブズは3人が走り込んでいますが、もしここでトリンカオを潰さなかったら失点の可能性は高かったかと。

前半33分のパーティーのイエローの場面はアーセナルの守備が対応できていないことが分かるシーンでした。ボールを持っているトリンカオの前方には3人が敵陣へ走り込んでいっています。イエローをある程度覚悟して潰しにいったパーティーの選択は間違ってはいませんでした。チームの守備がそれを招いたのはともかく。

前半アディショナルタイムにジャカもイエローを貰っていますが、これもジャカの悪い部分が出たというよりは仕方が無かった所が大きいと考えています。

フリーのポデンセのサイドチェンジからフリーのセメドへ。最終的にセメドはシュートを外しましたが「惜しくも」枠を捉えきれませんでした。


アーセナルに中央を使わせない守備

ウルブズは守備時に[5-2-3]の守備ラインを敷きました。狙いとしてはアーセナルトーマスやジャカから縦にのトップ下のウーデゴールやラカゼットへ最短でボール渡されたくないということ。ウルブズの3トップが中央へのパスコースを消し、もしパスコースを作られてもウーデゴールはがっちりマークされている。

アーセナルの攻撃パターンである「中央で時間を稼ぎながらボールを持って、その隙にSHが中央へ走り込んで…」や「SBが裏を取って…」というのは難しそうにみえました。

それに守備時はパーティーがCBのラインまで下がるので、ウーデゴールはスペースを埋める為にボランチの位置まで下がらなくてはいけない。
奪ってからのカウンターという形に持っていけなかったのはそこにあります。

アーセナルがセットプレーから先制

前半24分、セドリックのインターセプトからのショートカウンターの流れでアーセナルがCKの機会を得る。キッカーはマルティネッリ。こぼれ球をガブリエウが足で押し込みアーセナルが先制しました。
が、その後もアーセナルは押し込まれクロスを放り込まれるという展開は変わりませんでした。
前半を通して押し込まれる展開だったアーセナルでしたが、CH陣の奮闘もあり1-0のリードで折り返します。

後半

後半からのアーセナルの守備

後半はアーセナル・ウルブズ共に交代無し。
アーセナルは守備時なパーティーをCB2人の間まで下げて、空いたCHのスペースをウーデゴールが下がって埋める[5-4-1]のシステムに変更。
中央で数的有利を作られる展開だった、1点リードしていることを考えると良い選択だったかと思います。

マルティネッリの退場

さあ、アーセナルはウルブズに対して守りきれるか?いやいやそんな弱気でどうす、もう1点取ろうじゃないか。
という所で68分のマルティネッリの退場です。
CHのパーティーとジャカはすでにイエローを1枚貰っている状況でした。更にはCBガブリエウもイエローを1枚貰っていました。

マルティネッリの退場激の流れは、
マルティネッリが相手タッチライン際でプレッシャーを受けてウルブズのスローイング→スローワーを手で押し倒す→ウルブズはスローイングから速いカウンター→猛追したマルティネッリはチキーニョを後ろから倒してしまう
でした。
「スローワーを妨害する行為」と「後ろからチャージして倒した」の2つでイエロー2枚の退場という訳でしたが、マルティネッリからしたら自分のボールロストから招いたカウンターを「自分でどうにかしなきゃ」という焦りはあったかもしれません。自分の後ろの選手がイエローを貰っているのもその感情に拍車をかけたのかもしれません。
でもスローワーを手で押し倒して妨害するのは余計でした。

因みにマルティネッリの退場の時点で、
ボール支配率 ウルブズ52%対アーセナル48%
シュート数 ウルブズ8本対アーセナル11本
という拮抗した展開でしたので、尚更マルティネッリの退場が惜しく感じます。

最後に

アーセナルは確かにカードを貰う回数は多いです。ただ、選手たちの悪癖というよりハイプレス・ショートカウンターという彼らの戦い方をすればそりゃあカードも貰いますよね…という気がします。
ではどうしたらカードを貰わないように戦えるか?というのは分かりませんけども。アルテタ監督含めコーチ陣もその問いに対するハッキリとした答えは持ってないでしょうし。
結果は10人のアーセナルが粘って勝ちきりました。
懸念すべきはマルティネッリの退場もそうですが「アーセナルのピッチ上での戦略」のどこかに問題点があるのでは?という点です。また、それがマルティネッリの退場を含めアーセナルがカードを多く貰う原因という気がします。


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