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なぜ私は「シン・エヴァンゲリオン」という「ネーム」に惹かれるのか、という話。
世間の賑わいからだいぶ遅ればせながらになりましたが、庵野監督の「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を観てきました。
「観るまでは誰の感想もレビューも目に入れるものか」ということで、公開から約2週間ほどになりますが、全力で「断エヴァ」してました。
SNSを観る時間を意識的に減らして、仮にこの目に留まってしまったものがあった時には「あとで読む」で即ブックマークしておいた感じです。
鑑賞後、最初に読みたいと思ってとっておいたブロガーで精神科医の「シロクマ先生」の記事を読みました。
ちゃんと畳めていて、この記事に書かれている通り本当に「ありがとう」と言うに足りる作品だったと思う。今はただ「ありがとう」を言いたい。 / 他103件のコメント https://t.co/JxOUoy5NsL “ありがとう、シン・エヴァンゲリオン - シロクマの屑籠” https://t.co/ZrWwfWl1cQ
— タナカシンゴ (@Shingo_tna) March 21, 2021
シロクマ先生がおっしゃっている、
とにかく「ありがとう」と言うに足りる作品だった、というのは偉そうですが本当に同感でした。
ごちゃごちゃになってしまった仕事を最後までやり切るのは本当に本当に大変なことです。
だからこそ、しっかり畳み切った庵野監督には「大変お疲れ様でした」「今までありがとうございます」と心から申し上げたい。
そして、最後までやり切る大切さを改めて教えてくれた監督およびスタッフの方々への畏敬の念が尽きません。
「自分にとってシン・エヴァンゲリオンとはなんだったのか?」
この整理にはもうしばらく時間がかかりそうですが、余韻に浸りながらゆっくり考えていきたいと思っています。
前置きはこの辺りにしておいて、
この記事では、なぜ私は「シン・エヴァンゲリオン」という名前に惹かれるのか、について書いていきたいと思います。
では結論からいきましょう。
私が「シン・エヴァンゲリオン」という「ネーム」に惹かれるのは、
・「濁音」が、男性を気持ち良くさせ、興奮させる「発音構造」になっていて、男性にとって濁音は「快楽」そのものだから
・形容詞的に付く「シン」というのは、その音そのものが滞っていた世情に吹き込む一陣の風だから
この辺りが理由になると思います。
以降はこれに至った論拠です。
私は「エヴァンゲリオン」という「ネーム」について、
一度見聞きしたら死ぬまで頭から離れない「ダースベイダー」と並んで「良いネーム」だと思っています。
「良いネームとは一体何か?」
こう聞かれたら「覚えやすく思い出しやすい」と私は答えるでしょう。
つまり「覚えやすく・思い出しやすい」が「良いネームの定義」だと思っているのです。
これがなぜかと言えば「覚えやすく・思い出しやすい」ということは、人であれば人生の、商品やサービスであれば事業の「チャンスの拡張」につながるからです。
これはたとえを用いるまでもないと思います。
ではなぜ「エヴァンゲリオン」は覚えやすく・思い出しやすいのか?
この回答になるであろうことが「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」という本の中に示されていました。
この本によれば、
「濁音」というのは、とにもかくにも「オトナ子ども」が好き好む音なのだといいます。
詳しくは、
・「濁音四音」と呼ばれる「B、G、D、Z」というのは「膨張+放出+振動」の「発音構造」になっている
・この発音構造が、男性の生殖行為における意識の質を刺激しつつ、力強さ、膨張感、飛び散る賑やかさがエンターテイメントの興奮を引き起こす
ということ。
つまり「濁音」というのは「発音構造で、男性が好きになる」ようにできているということです。
たしかに、男子が好む「特撮モノ」や「アニメ」は「濁音」だらけ。
ゴジラ、ガメラ、ガンダム、デビルマン、ギャラドス、ドランゴンボール、キングダム、進撃の巨人、呪術廻戦、仮面ライダーエグゼイド、バガボンド、ワールドトリガー、ブルーアイズホワイトドラゴン、ジャンゴフェット、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー。
私が大好きだった「チャドウィック・ボーズマン」も濁音で一杯。
チェルシーの黄金期を支えた「ディディエ・ドログバ」は濁音率60%です。
「機動戦士ガンダム」に出てくるネームを適当に並べてみます。
ガンダム、ガンタンク、Zガンダム、ZZガンダム、ガンキャノン、ザク、ドム、ジム、ズゴック、ゲルググ、ビームライフル、ハイパーバズーカ、ビームジャベリン、ビームサーベル、キュベレイ、ジオン軍。
おそらく、このガンダムワールドでは「濁音なし」の言葉を探す方が難しいのではないでしょうか。
このように考えると、ガンダムがいつまでも男性たちを釘付けにするのは、その「物語」と「フィギュア」だけではなく、「濁音」という説があってもなんら可笑しな話ではありません。
そして、「エヴァンゲリオン」もまさに「濁音」がいい感じに取り入れられているネームなのです。
作中でも頻繁に使われ、私たちにも馴染みのある「エヴァンゲリオン」の略称「エヴァ」。
略しても「濁音」です。
「エヴァンゲリオン」
「エヴァンゲリオン」
「エヴァンゲリオン」
「エヴァンゲリオン」
「エヴァンゲリオン」
「エヴァンゲリオン」
と唱えているだけでも、気持ち良くなってくるのは「濁音」が持っている「発音構造」の仕業でした。
つまり、男性にとって濁音は「快楽」そのもの。
「気持ちがいい」ことは忘れたくありませんから、いつまでたっても忘れないし、思い出しやすい、というこなのだと思います。
そして、形容詞的についている「シン」も、覚えやすさと思い出しやすさに一役買っています。
「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」の中から参考になりそうなところを引用してみます。
「新撰組」には、見廻組(みまわりぐみ)というライバルがいたが、見廻組がまったく注目されていなかったのは、名前の響きが悪かったせいではないか、というこれまた鋭い指摘もあった。
風の質の「S」を効果的に使ったシンセングミは、ことばの音そのものが、滞っていた世情に吹き込む一陣の風である。
当時の庶民には、どんなに爽やかに感じられたことだろう。
先頭のSHは光拡散効果もあり、まさに、闇を切り開く正義の光のイメージ。
組のGuでグッと締めて、最後のMiは愛の音。
宝塚のレビューのような、見事な出来映えである。女たちも相当もてたはずである。
実際には、鬱積した下級侍の集団であり、一時期は殺戮集団でもあった。
それなのに、後世にずっとエンターテイメントの素材として愛され続けているのは、新撰組の何によるところが大きいと思う。
これをG音の名前にでもしていたら、当時の男たちには気に入られても、後々悪党イメージに変わっていたのではないだろうか。
これを参考にして、
・風の質の「S」が使われた「シン」というのは、その音そのものが滞っていた世情に吹き込む一陣の風
・度々の緊急事態宣言の発令で停滞ムードが漂う今の社会にとって、光拡散効果で闇を切り開く正義の光のイメージを持つ「シン」という言葉ほど、爽やかに感じられるものはない
というような考えを持つようになりました。
思うに、「シン」は、今という社会状況だからこそ余計に響く言葉だったのではないかということです。
何事も「出すタイミング」というのはやはり重要。
では、最後に結論をもう一度。
私が「シン・エヴァンゲリオン」というネームに惹かれるのは、
・「濁音」が、男性を気持ち良くさせ、興奮させる「発音構造」になっていて、男性にとって濁音は「快楽」そのものだから
・形容詞的に付く「シン」というのは、その音そのものが滞っていた世情に吹き込む一陣の風だから
この辺りが理由になると思います。
「エヴァンゲリオンの意味」については以下の記事に詳しくまとめられています。
福音(Evangelion エウアンゲリオンあるいはユーアンゲリオン)は、ギリシャ語 εὐαγγέλιον, euangelion に由来する言葉で「良い(euエウ- 、"good")知らせ(-angelion アンゲリオン、"message".)」を意味する。これを英語に直訳すると、good news となる。
つまり、マラトンの戦いの勝利の伝令のような戦争の勝利や出産など、喜ばしいことを伝える手紙などを指した。
イエス・キリストの十字架刑と復活(紀元後30年頃)の後、イエスの弟子(使徒)たちは「神の国(支配)が到来した」というイエスのメッセージを世界に広げるために布教を始めたが、これを弟子たちは「良い知らせ」と呼んだのである。
四福音書中最初に書かれたマルコ福音書はその冒頭を「イエス・キリストの良い知らせの初め」で書き出している。
このように「良いネーム」にはほとんどの場合、「納得感のある意味」があります。
しかし、ネームを「覚えやすく・思い出しやすくする」のは、「濁音」の例でわかるように、「意味」よりも「語感」の方がその役割を大きく担っている、ということなのでしょう。
エヴァ好きの人はもちろん、そうでない方にとっても本記事が何かしらの参考になれば幸いです。
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何かの参考になれば幸いです。
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