
【ミカタをつくる広報の力学】 #25 パブリシティについて考える
今回は、今更ですが「パブリシティ」について改めて考えてみたいと思います。
PR=パブリシティと思っている人、結構多いのではないでしょうか。
PRの中のパブリシティの位置づけや種類についても解説していきます。
※初めての方は、「#00 イントロダクション」をお読みいただくと、コンセプトがわかりやすいかと思います。
PRとパブリシティは別物
まず最初に言います。PR=パブリシティではありません。
PRはパブリックリレーションズの頭文字なので、訳すなら「社会との関係構築」が正しい解釈です。
もう少し噛み砕くと、「自社のことを社会にいる多くの人に知らせて理解してもらい良い関係を築くこと」。そして「社会にいる多くの人に知らせる」ために、「メディアを使って情報を発信」するのです。
そのメディアには、テレビや新聞のマスメディアもあれば、社内報やホームページといった自社メディアもあり、ジニ・ディートリッヒ氏によれば、PRのメディアは「PESO」という4種類に分類されます。
P(ペイドメディア)
広告費を支払ってメディア枠を購入して掲載する記事。
E(アーンドメディア)
メディアが任意で扱う、いわゆるオーガニック記事。
S(シェアードメディア)
SNSなど個人が情報をシェアすることで拡散する記事。
O(オウンドメディア)
ホームページなど企業自身が運営しているメディア。
これらのメディアを活用して情報を発信し、社会との関係構築を目指すわけですが、マスメディアなどの力を借りて発信する「ペイド」と「アーンド」が「パブリシティ」と呼ばれます。
つまり「パブリシティ」というのは、「PRにおける情報発信手段の一つで、有料・無料にかかわらず他のメディアを介して行われるもの」と定義できます。
パブリシティの種類
パブリシティには、無料のフリーパブリシティと有料のペイドパブリシティがあります。
広告主が発信したい情報を自由に掲載できるのが、枠を購入する広告(純広告)ですが、無料に近づくほどメディア側の意向が強くなり、好きな情報を流せなくなります。
以下に紹介するのは、純広告以外すべてパブリシティです。
後ろにいくほどメディア側の意向が強くなります。
・純広告(広告費)
広告費を支払って枠を購入し、掲載情報は広告主が制作する。
・記事広告(広告費+制作費)
枠代と制作費を支払って、記事をメディア側に制作してもらう。メディアに支払う金額は純広告よりも高くなる。
・タイアップ記事(制作費)
制作実費のみ負担し、メディアと共同して記事を制作する。
・フリーパブリシティ(無料)
ネタを持ち込み、メディア側の意向で記事を制作する。
・オーガニック(無料)
リリースや記者発表などから、メディアが自発的に記事を制作する。
上手なパブリシティとは
皆さんが日頃目指しているのはオーガニックやフリーパブリシティなどの無料のものだと思いますが、パブリシティの中には純広告よりも高額な費用のかかる記事広告もあります。
有料・無料の違いは「情報をコントロール出来るか否か」ですが、純広告と記事広告の違いは「読者が広告と意識するか否か」です。つまり記事広告が純広告よりも高いのは、「広告と意識されずに情報をコントロールできる」からなのでしょう。
取材が大がかりで多くの予算が必要な記事は、記者が面白いと思っても予算が取れない場合がありますが、そういうときには実費を負担してタイアップ記事を提案することで掲載にこぎつける可能性も出てきます。
もちろん前回ご紹介したような旬のネタでオーガニックを勝ち取る方法もありますし、狙いを付けて持ち込み提案をするという方法もあります。
上手なパブリシティというのは、ネタとメディアとタイミングがピッタリ合った状態を言うのだと思います。それぞれの相性を考えながらいろいろ試してみると良いでしょう。
おわりに
今回は広報基礎講座のような感じで、今更ながらパブリシティについて解説しました。前回が季節ネタの話だったので、記事展開についての追っかけコラムです。
PRメディアはいろいろと複雑なので、「PESOモデル」についてはまた改めてお話ししますね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
共感してもらえましたら、スキやフォローをいただけると励みになります。
ではまた次回お会いしましょう。