メガネ初恋【毎週ショートショートnote】
潮の香り、目が覚めるとあなたがいた。
「おい、大丈夫かい?」
「ここはどこですか?」
「ここは海水浴場だよ。君は倒れたんだよ」
「あなたは?」
「僕はライフセーバーだ」
「ライフセーバー?」
金髪に染めた髪、黒ぶちのメガネ、ちょっとマッチョな身体、レモンの香り。
「そうだよ」
「あ、ありがとうございます」
「大丈夫だよ。これが仕事だからね」
レモンの香りがふわっと香った。
そんな出来事があって3年。
横断歩道の向こうに、黒ぶちメガネをかけたあなた。
ーメガネ初恋レモン
わたしはつぶやいた、横断歩道を渡ってくるあなたを待ちながら。
「あの……いつぞやはありがとうございます」
「君は……誰だっけ?」
「3年前、海で助けてくれた……」
「ああ、あのときの。元気だったかい?」
「はい!元気です!」
変わらないあのレモンの香り。
続けて告白しようと思ったとき、彼の薬指に光る指輪が目に入った。
「ほ、本当にありがとうございました!」
わたしは点滅している信号を走った。
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※ひねりも何もなしです。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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