呪いの臭み【毎週ショートショートnote】
僕は彼女と一緒に新しくできたレストランに来た。
ここは『ハイファンタジー×イタリアン』がコンセプトのレストラン『ドラゴンクック』という店だ。
席に案内され、メニューを見ていた。
「いろいろあるなあ。何にする?」
「私は魔王のドリアにしようかしら。勇者のスパゲティーっていうのもあるわね」
「じゃあ俺は魔法使いのピザにするかな」
「すいませーん」
魔術師の格好をした店員がやってきた。
「魔王のドリアと魔法使いのピザを一つずつお願いします」
「魔法使いのピザには呪いはかけますか?」
「えっ?の、呪い?」
「はい。ゴルゴンゾーラとトリュフをかける『呪いの臭み』になっています」
「そういうことですね。じゃあ、呪いかけちゃってください」
「はい。では、少々お待ちください」
ピザがテーブルにやってきた。濃厚な芳醇さが空間を覆った。
「おおお、呪いがかかってるね」
僕は魔法使いのピザを一口食べた。
「おおお、鼻が!鼻が!」
『呪いの臭み』はひどく美味しかった。
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※やはりオチって難しいですね。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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