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動きと安定のバランス:ジョイントバイジョイント理論入門


はじめに

みなさん、こんにちは!
パーソナルトレーナー育成者のしんちゃんです。

今回は、私たちパーソナルトレーナーが絶対に知っておく必要のある重要な概念をお話していきます。

その名も「ジョイントバイジョイント理論」について。

初めてお聞きする方もいらっしゃるかと思います。このジョイントバイジョイント理論(以下『JBJ理論』と省略)を理解することで、クライアントの身体評価がより効果的になります。

今回はJBJ理論の概要から特徴について説明していきます。


①Joint By Joint Theory

1、理論の重要性

JBJ理論とは、身体の各関節には『ある特定の役割がある』という考え方です。大きく分けると、身体の関節を「安定性」「可動性」に分類することができます。

この概念に基づいてトレーニングを行うことで、効率的な動作を促進させ、怪我のリスクを減らすことが可能になります。具体的には、可動性が必要な関節は柔軟性や動きを高めるエクササイズを行い、安定性が必要な関節は筋力強化や安定性トレーニングを行います。

また、この理論を把握することで、お客様の不調を見つけることも容易になってきます。例えば腰の痛みのあるお客様の原因が、実は足首にある、といった感じです。

詳しい話は後ほど解説するので、まずは2つの役割から見ていきましょう。

2、可動性(モビリティ)関節について


可動性(モビリティ)とは、関節が全範囲で自由に動く能力です。これは柔軟性と動的なコントロールを組み合わせた概念であり、スポーツや日常生活におけるパフォーマンス向上に欠かせません。

可動性が高いと、動作がスムーズで効率的になり、怪我のリスクが低減します。特に股関節や肩関節、足首などの可動性が重要な関節は、日常的な活動やスポーツにおいて多くの負荷がかかるため、適切なトレーニングが必要です。可動性関節には下記が挙げられます。

・足関節(距腿関節)
・股関節
・胸椎
・肩関節(肩甲上腕関節)
・手関節(橈骨手根関節)

モビリティ関節一覧

3、安定性(スタビリティ)関節

安定性(スタビリティ)とは、関節が正しい位置で保持され、外力に対して適切に抵抗できる能力を指します。これは特定の関節が動かないことだけを意味するのではなく、動きの中で関節の位置を制御することで、適切に力を発揮することが含まれます。

安定性が高いと、効率的な力の伝達が可能になり、パフォーマンスが向上するとともに、怪我のリスクが低減します。膝や腰、肩などの安定性が重要な関節は、日常の動作や運動中に大きな影響を与えます。安定性関節には下記が挙げられます。

・足部(距骨下関節)
・膝関節(脛骨大腿関節)
・腰椎
・頚椎
・肩甲骨(肩甲胸郭関節)
・肘関節(腕尺関節)

スタビリティ関節一覧
互いのバランスが大切になってきます。

②活用方法

4、役割の放棄から起こる『代償動作』

先ほど説明した通り、各関節には主要な役割を持っている特徴があります。
ではここでみなさんに考えていただきたいです。

各関節の役割がバラバラになってしまったらどうなるのか?

例えば、モビリティ関節である「股関節」が動きをサボってしまったとします。そうすると、その前後にある『安定性』を担うスタビリティ関節が、動き出してしまうという現象が起こり始めます。この現象を『代償動作』と言います。

代償動作とは、本来働くべき関節の仕事を、別の関節が担ってしまうことを指します。この現象には大きなデメリットが挙げられます。それが『怪我』になります。

・安定すべき関節が動いてしまう
・動くべき関節が固まってしまう

このバランスが崩れた状態というのが、最も怪我をしやすい状態となってしまいます。

5、JBJ理論に基づいた仮説立て

ジョイントバイジョイント理論を活用することで、トレーナーはクライアントの動作不良に対して効果的な仮説を立てることができます。例えば、スクワット中に腰が丸まってしまうお客様がいるとします。この場合、腰椎の安定性が不足していることが考えられますが、原因はそれだけではありません。

ジョイントバイジョイント理論に基づくと、腰椎が安定性を失う原因として、股関節や胸椎の可動性が不足している可能性があります。股関節の動きが制限されていると、腰部が代償的に動きすぎてしまうことがあるからです。また、胸椎の可動性が低い場合も、腰椎に過度の負担がかかることがあります。

したがって、この理論を使って仮説を立てることで、まずは股関節と胸椎の可動性を評価し、必要なエクササイズやストレッチを取り入れることが重要です。例えば、股関節の可動域を広げるためのヒップモビリティエクササイズや、胸椎の動きを改善するためのツイストエクササイズを導入することが考えられます。

このように、ジョイントバイジョイント理論を活用することで、クライアントの動作不良の根本原因を特定し、効果的なトレーニングプランを提供することが可能になります。

仮説と立証が大切です。

まとめ

今回は、ジョイントバイジョイント理論(JBJ理論)について解説してきました。JBJ理論は、各関節の特定の役割(可動性と安定性)を理解し、効率的な動作を促進し怪我のリスクを減らすための重要な概念です。

この理論に基づくと、動作不良の根本原因を特定しやすくなります。JBJ理論を用いて仮説を立て、適切なエクササイズを導入することで、クライアントのパフォーマンス向上と怪我予防に繋がります。トレーナーとして、JBJ理論を理解し実践することで、より効果的な指導が可能になるでしょう。

質問や相談があればお気軽にご連絡ください!

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