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デザイナーが繋ぐ新規事業の成長ストーリー

この記事は PLAID Design Advent Calendar 2024 の16日目の記事です。

こんにちは。プレイドでデザイナーをしております、megこと渡部と申します。「KARTE Blocks」というプロダクトを担当しています。

UIデザイナーとは何か?役割や必要なスキルとは?こういったテーマは各メディアでよく取り上げられています。私も魅力的な記事に触れるたびに、その表現力にいつも感心しています
しかし今回は、私が新規事業の中で実際にやってきたことを、逆に「具体的に」お伝えしたいと思います。「あるある!」と共感していただいたり、何かの参考にしていただければ幸いです。

プロダクトリニューアルへの背景

現在、私たちはプロダクトのリニューアルプロジェクトを進めています。私が参画した当時から、この構想は始まりました。まずそこまでの背景を簡単にお伝えします。

プロダクトは変わる必要があった

私がKARTE Blocksチームに参画したのは2022年5月。正式にリリースして約半年後でした。
当時KARTE Blocksは一定の価値を実感いただいていました。同時に、ユーザーの根本的な課題を捉え始めたタイミングでもありました。当時のメンバーが作り上げたプロダクトを、次のステップへ進めるバトンを受け取ったと感じました。

KARTE Blocksとは
既存のサイトにタグを設置するだけで、ウェブサイト上のコンテンツを容易に変更でき、仮説検証やパーソナライズによるパフォーマンスの向上やデータによる課題発見までをシームレスに、直感的に実施できる、ウェブサイト改善プラットフォームです。

私たちの次のステップ

サイト改善活動は、サイトを作って終わりではありません。細かな改修を重ね、効果を確認して、新しい示唆を得て次のアイデアを実行−−。いわゆるPDCAサイクルを回し続けます。
私たちは、誰もが安心して継続的にサイト改善に取り組めるプラットフォームを提供し、そして、そのプロセスをサイト改善の担当者自身が楽しみながら進めることで、エンドユーザーにより良い体験を届けられる世界を目指しています。
ちょっと脱線しますが、少し前に「なぜ、クリエイティブな人はメンタルが強いのか?」という本を読みました。多くのエビデンスと実験結果を基に、クリエイティブな行動がどのようにメンタルヘルスを改善するか、ということが解説されていています。そこには、「ポジティブ感情」と「活性」の状態が、「熱中」や「没頭」という「仕事のやりがい」につながる、といったことが書かれていました。みんなで掲げたミッション・ビジョンに通ずるものがあるなと感じ、ポジティブ感情の後押しをプロダクトができれば嬉しいなと、より思うようになりました。

「なぜ、クリエイティブな人はメンタルが強いのか?」


現在のKARTE Blocksは、アイデアを形にしてサイト改善の歯車を力強く回すには十分な力を発揮してくれます。新しい効果計測の機能も去年をリリースし、よりシームレスにご利用いただけるようになりました。
しかし、もっと安心して、継続してご利用いただくためには、構造をシンプルにする必要がありました。それが、冒頭に触れたリニューアルプロジェクトの一番の目的です。
リニューアルの構想を始めたのは私が参画して1ヶ月後のことでした。そこから約2年半一体何をしてきたのか?次の章以降で、プロダクトとチームのフェーズに合わせて、泥臭くも臨機応変に挑んだデザイナーの軌跡についてつらつらと語っていきます。リニューアルについての詳細な内容は、また別の機会にお届けする予定です。

過去のフェーズとそれぞれの取り組みを振り返る

フェーズ1:デザイン第一稿時代。〜ヒアリングとコンセプトとミッションとビジョンと〜

このフェーズでは、リリース当初のコンセプトを見直し、PdMが中心となり、チーム全体で新しい「コンセプト」「ミッション」「ビジョン」を定めた期間でした。

右も左も分からないデザイナー(私)がやったこと
チームに参画した時の私は産休・育休明けでした。状況がよくわからないままに、何やらチームは複雑なことを話している、一度話し合った事も各自で少しずつ認識が違いそう、という状況を感じ取りました。それに、メンバーからはたくさんやりたいことのアイデアが出てきます。鼻息が荒かった印象です。そういうところがチームの好きなところです。
まず、私は議論を視覚化するためのプロトタイプ制作に集中しました。目的は、(1)議論の土台となるデザインを用意し、メンバーのアイデアを集約することと、(2)自分自身がプロダクトを理解することでした。このプロトタイプを「デザイン第一稿※」と呼び、以降の構想のベースとなりました。
※実際はコードネームがありますがここでは控えます。
※ この先も出てくる「デザイン第○稿」は、1画面ではありません。複数の画面、機能を繋ぎ込んで作ったプロトタイプをご想像ください。
※ この記事で出てくる「プロトタイプ」は、デザインデータをつなぎ合わせて作ったものです。

PLAID Design Advent Calendar 2024 の2日目のGUCCIさんの記事「ベンチャー転職4ヶ月目のリアル:デザイナーとしての学びを振り返る」でも、プレイドのデザイナーは作りながら考えるということについて解説してくれています。なんだか当時の動きを肯定してくれたみたいで嬉しかったです。

右と左がどっちかわかり始めたデザイナー(私)が次に作ったデザイン
プロダクトのリニューアルを、いきなりよくわからないデザインだけを頼りに始めるには根拠が乏しすぎます。提供価値・コンセプトを検証し精度を高める必要がありました。ユーザーは何を求めているのか?本当に自分たちが叶えたい未来は、このやり方で実現するのか?などを探るために。同時にこの段階は、自分たちの思いを確認するフェーズでもあったと思います。
PdMが立てた複数の問いと仮説、そこにFigmaで作ったプロトタイプを添えて、ユーザーヒアリングを実施しました。この時のプロトタイプは、デザイン第一稿をたたき台として社内で議論して進化させた「デザイン第二稿」です。ヒアリング時にテキストの質問に加えてプロトタイプをお見せすることで、活用イメージを持ってもらえるか、などを教えていただきました。
ヒアリングの結果は、現在のコアバリューや開発ロードマップの根拠となるなど、原点となっています。加えて、プロトタイプに対していただいた共感の声は、大きな励みになり、自信を深めることとなりました。

フェーズ2:デザイン休戦時代。〜大量!コミュニケーションツールの制作〜

KARTE Blocksにまつわるデザインの一部

方向性が定まったので実装したいです、検証したいです、想いを届けたいです。仲間がもっともっと必要でした。投資してもらうために社内の理解も必要でした。
共感してもらうためのコミュニケーションツールが必要なフェーズでした。チームのもう一人のデザイナーnissyさんと手分けをして制作していきました。

nissyさんのアドベントカレンダーの記事も公開されております。ぜひ読んでみてください!
3名のプロダクトデザイナーが語る「制作プロセスと越境」

UIデザインの筆を置いて、挑んだ制作物たち

様々な媒体のコミュニケーションツールを勢いよく作っていきました。公式サイト、LP、パンフレット、ブログサイト、営業資料、登壇資料、広告バナー、イベントブースクリエイティブ、などなど。
Illustratorで紙媒体を、Kyenoteで登壇資料を、Adobe Animatorでアニメーションを、Adobe Dimensionでイベントブースの3Dイメージを、と言った具合にツールをコロコロと持ち替え、必要なデザインを手掛けていきました。

特に、サイトやパンフレットの中の説明文やメッセージを考える機会があり、それがとても良い経験でした。議論の土台となるデザインを作っておきながら、まだまだ理解度には伸び代があったんだなと感じました。

事業に属するデザイナーはなんでもやるべき?

私はグラフィカルなデザインが得意ではありません。社内にはとても優秀なコミュニケーションデザイナーがおりますが、当時はリソースやスピードの観点でチーム内で制作する必要がありました。
「プロダクトデザイナーはなんでもできるべき!」という論調を見ると、若干息苦しくなります。ですが、目的のために主体的に動くのは自然なことだとすると、もっとシンプルに捉えられるかなと思います。単なるべき論にせず、コトに向かえば自ずと興味の幅は広がりそうです。

自分が苦手な事なら人に頼るのも一手ですが、わたしは、人に頼るためにデザインをしてるような感覚になることがあります。ユーザーの声を教えてくれるのはカスタマーサクセスのメンバーです。実装をしてくれる神の手はエンジニアです。思いをユーザー一人一人に合わせて伝えて検証してくれるのはセールスのメンバーです。

境目

人と人、物と人を繋ぐ力がデザインにはあり、逆にその境目を意識しておかないと、そこでUXが取りこぼされてしまう可能性があるなと考えています。デザイナーが全工程に関わり姿形を変えやすい状態にあるのは、ユーザー体験を最適化するための責任を負う覚悟の表れかなとも思います。

フェーズ3:大・新機能リリース時代からの、構造修正の決断

仲間集めが成功し、開発体制がより強化されました。2023年12月に5つの新機能をリリースできました。デザインは、2人のデザイナーで機能単位で分担して進めました。
この時期、特に印象的だったのは、エンジニアの実装力とスピード感です。たくさんリリースノートやリリースブログを発信でき、チームの実行力を改めて実感できました。こうした連携の中で、次の構造修正への足がかりが生まれました。
このフェーズは、新規事業における開発とデザインの連携を象徴する時期だったと思います。蓄積された経験を基に、根本の課題に挑んでいきます。

フェーズ4:1→10の基盤づくり、の入り口

現在、リニューアルプロジェクトの開発の真っ只中にいます。私は主にデザインの修正やデリバリー活動のサポートを担当し、エンジニアやビジネスメンバーと密に連携しながら進行しています。その中で、自然とプロジェクト全体のハブとして進行管理や仕様の調整にも携わるようになりました。

構造修正プロジェクトにおいてのデザインの役割

仕様とデザインを模索した時の落書き

プロジェクトを進める中でデザインは以下のような目的を意識して作りました。

  • 画面や機能の定義、要件決めの議論のたたきとなる
    構造を修正するとなると、多方の画面・機能に影響を与えることになります。仕様策定の過程では、すべての関連機能を机上に並べ、全体像を見ながら仕様を固めていきました。
    この段階から、実装を見据えた詳細なデザインが必要で、多くのパターンを検討し、議論を重ねながら画面を作り上げていきました。

  • チームの認識を合わせ、納得感を高めるデザインの役割
    現在の活動は一言で言えば「プロダクトの新しい基盤づくり」です。KARTE Blocksをより多くの方にご活用いただくために必要な機能や改修は、今後の先にまた別途控えています。
    デザインの役割は単なる「見た目」だけでなく、メンバーそれぞれの思考を引き出し、方向性を示すことにも及びます。「基盤づくり」という意識も、デザインを使い何度も確認して擦り合わせていきました。
    具体的にはプロトタイプと、それを触るためのシナリオです。メンバーには完成度80%くらいのデザインで作ったプロトタイプを触ってもらい、それぞれの活動に落とし込む準備を進めてもらいました。

  • 初期リリース段階のデザインデータとサポートサイトの挿絵
    実装に向けたデザインデータを作成しました。
    仕様策定用に使用していたFigmaのデザインファイルが非常に大きくなっていたため、実装用のデザインデータは別ファイルとして作成しました。それもページ数は10を超え、進行中の現在も新たなデザイン対応を行っています。
    また、サポートサイトの更新作業も並行して進めています。まだ実装前のため画面キャプチャが取れない部分が多いため、既存の画像を整理しつつ、管理画面のキャプチャや仕様説明用の挿絵をFigmaで作成しています。デザインが変わったらFigmaで更新できます。この整理のおかげで今後もキャプチャの修正が容易になりそうです。


2人のデザイナーが力を合わせるために、自然と生み出した新しい協業スタイル

チームには2人のデザイナーがいます。基本的には1つのプロジェクトを1人で担当していますが、お互いにお互いのデザインに対してフィードバックし合っています。リニューアルプロジェクトにおいても同様にフィードバックして欲しいと考えていましたし、nissyさんも一緒にやりたいと手を上げてくれました。仕様の把握が難しいプロジェクトだったというのもあり、2人で一緒にデザインを進めることになりました。
最初に画面ごとの担当を決めつつ、毎日30分のミーティングを設定して、常にコンテキストから共有し合える状態にしました。当時は相談が多すぎてその都度ミーティングを設定するのが大変だったので、あらかじめ時間を確保しておこう、というズボラな私らしい工夫です。
こうして常にお互いの作業状況を把握できたため、途中で担当画面を交代するという大胆な方法も取り入れることができました。この経験を通じて、新しい協業スタイルが自然と生まれ、お互いを信頼しながら効率よく進める方法を見つけられたのは、非常に大きな収穫でした。

メッセージ「心、ご安全に」

私はちょっと人よりメンタルが弱いと自覚しています。勝手に落ち込みがちなので、そうならないような呪文をいくつか持っています。

未来で過去は変えられる
一番よく言い聞かせてます。今の判断が直近間違えだったとしても、未来の良い判断につながれば結果、良い、というスタンスのことです。デザインは正解がないことが多いです。デザイン自体もそうだし、進め方ももっといいやり方があったのでは、、、なんて落ち込みがちです。今正解が出せなかったとしても、絶対に何かに繋がります。そう思って気を楽にさせようとしています。

プロダクト開発は短距離走ではなく長距離走だと思っています。事業なので、結果は当然大事です。ビジネス的な目標があるから、私たちの活動があります。ですが、ずっと全速力で走り続けても持たないし、目の前だけに旗を置くとその後迷子になってしまいます。今の活動が苦しくても、その先にプロダクトの未来があるんだと思うと尊い活動で、力尽きずに頑張れる気がします。

最後に

実は、今回記事にするために振り返ったことで、初めて、デザイナーとしてのお仕事を実感しました。これまでの流れはPdMが中心となり、チーム総力戦で進めてきました。各自の力強い推進力の中で、私自身はただデザインや目の前の玉拾いをこなしてるだけ、と勝手に後ろめたく感じていましたが、私もみんなと協業してこれまでやってきたんだな、ということを改めて実感しました。
背中を預けあえるチームメンバーに感謝です。多くの仲間とともに築き上げたこれまでの軌跡を振り返りつつ、今後もユーザーに新しい価値を届けられるよう挑戦を続けます。

お読みいただきありがとうございました🐱


PLAID Design Advent Calendar 2024 17日目は、Mao Sugayaさんによる、「イラストで伝えるプレイドの16MindPolicy for Biz」です。 お楽しみに!!

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