見出し画像

【読書】ロケットを理解するための10のポイント

昨今民間でのロケット打ち上げや宇宙旅行、そして自衛隊でも宇宙隊ができるなど宇宙はビジネスや国防の面でも大きなテーマになってきています。

自分の仕事は宇宙とは関連ないですが、回転機械エンジニアなので何か宇宙関連の技術に将来関わることができないかと思っています。

かつて大学時代は宇宙工学や宇宙物理学をやりたくて転学部を考えていた時期もありましたが卒業を優先して諦めた過去があります。(ちなみに専攻は放射線工学でした。)

いまだに未練が残っているのかもしれないですが、ロケット関連や宇宙関連について造詣を深めていきたいと思いこの本を手に取りました。

この本は、主にロケットの推進機構すなわちロケットエンジンについての構造、日本のロケットの歴史、開発プロセス、開発の苦悩に至るまでロケット開発の概要を知ることができます。

ロケットはいかに軽量で燃料の噴射速度を上げることが重要になります。
それが宇宙空間内で推進力を得ることになります。
地球の重力を脱するためにはとてつもない推進力が必要です。

燃料の種類は水素が主流になりますが、他にも石油系の燃料など様々な種類があるようです。水素はパワーが得られますが、水素の密度が低いのでタンクが大型化してしまうというデメリットがあります。
また、燃料は液体で充填するため液体水素は20Kまで冷やす必要がありますが、
燃焼時には一気に3000Kまで上昇します。
そのためロケットにかかる熱応力が凄まじく、亀裂が入ってしまうことが多々あるようです。

日本のロケットエンジンはかつてはアメリカからエンジンを買ってきて使っていましたが、メーカーとの契約で勝手に改造や修理ができないということがあったのでその後自前で開発するようになり今では世界レベルになっています。

また、ロケットエンジンはターボポンプと呼ばれる燃料タンクから燃焼室に燃料を噴射するためのポンプがキーパーツになります。
ターボポンプは毎分40000回転もの高速で燃焼中常に回転し続けています。

そしてわずか数百μmレベルの軸振動でも内部で接触して故障してしまうデリケートなものである上に、昇圧する気体が水素と酸素という爆発の危険性が極めて高い気体であるため僅かな漏れも許されないという非常に要求される技術レベルが高いものです。
そのため研究機関でも民間でもターボポンプの開発には苦心しているようです。

ロケットの開発プロセスの章では、開発の苦悩が見てとれます。
ロケット開発は爆発という常に危険と隣り合わせである仕事です。
試験設備で一旦爆発事故が起きたりすると復旧にも多大な時間を要し、数ヶ月単位での遅れが生じます。技術者の方々はそうして長い年月をかけて地道に取り組んできました。

ロケット開発で殉職した技術者も多くいます。
命懸けで日本や世界の技術発展のために力を尽くしてくれた方々に敬意を表したいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?