しんぺいさんの酒蔵探訪記#5 「月桂冠・「月桂冠」」(京都府京都市伏見区)
バレンタインが終わり、いよいよ春へと向かう京都、京都の町中に行けばこの日はマラソンで大賑わい、その上、春節も相まって、多方面から多くの人が集中する。今、京都の寺院に行けば普段拝見できない文化財や立ち入れないエリアを眺めることが出来る。歴史や文化財が好きな人々にとってはこの時期は本当にたまらない、今年は「龍」にちなみ、相国寺の天井画なんか人気が高いでしょう。
僕の京都観光は最初は伏見から、京阪線の中書島駅で下車し、迷いもなくい「長建寺」を散策する。
京都で唯一の弁財天を本尊とする真言宗の寺院、現世利益の祈願を求め、多くの方がここを訪れる。手水が伏見の湧水と言うのがまた嬉しい、手に触れるだけでも心が清らかになりそうだ。春になると桜が満開、境内を覆いつくす桜吹雪は多くの人が穏やかにさせてくれるのであろう。
さて、伏見と言えば酒、多くの酒蔵が密集する。豊富な湧水、そして、厳しい寒さ、その上、水運の要所として、国内に伏見の酒を広めることが出来た。伏見の酒と言えば、代表的な銘柄はそう「あれ」、その酒蔵は寺の門の前に立てば、十石舟を越えて、レンガ造りの煙突と歴史ある木造建築が鮮やかに見える。これが今回の舞台である。
長命寺から、運河に架かる橋を渡り、直ぐに見える古き良き建物、「月桂冠大倉記念館」、これが今回の訪れた酒蔵である。そう、「月桂冠」である。じつはこの日記念館は改装工事中(3/2に行われた蔵祭りには改装が終了した。)と言う事もあり、今回は無料で入れました。
ここに入る時、月桂冠の歴史、また、月桂冠のこだわりを十分に学び、ここを出た後はその良さを感じながら満足して後にする時を感じましたが、いつもなら庭園で湧き出る水を戴けることが出来ましたがそれが出来なかったのが残念でした。非常に冷たく、飲み口の良く、体に染みる冷たさは何とも言えません。
創業時は「玉の泉」と言う銘柄だった。豊富な伏見の湧水を活かして、当時は多くの酒蔵が隆盛していたが、鳥羽伏見の戦いを経て、江戸から明治にかけては2軒しかなかったが、現在、減りはしているものの、30軒ほどの酒蔵が伏見の地に存在する。
長く伏見の歴史を見てきた月桂冠、13歳で跡を継いだ11代目の大倉恒吉がさらに大きく飛躍し、酒造研究所を設けるなど、大量生産にも着手した。この時期、名前を月桂冠として世に送り出し、交通網の発達の中で、電車の中で戴くお酒も世に送り出したのもこの頃であった。
さて、本来なら試飲機を設け、販売スペースを設けているんですが、これが改装工事で存在せず、その中で2種類の酒を試飲、「月桂冠本醸造特選」は香り豊かな味わい、呑み心地のある日本酒、「月桂冠吟醸レトロボトル」では米の旨味を出して、甘さを引き立てた日本酒、ただ、これでは物足りず、伏見の商店街へと足を運びました。
伏見には大手筋と言う京都でも指折りの商店街が存在します。その中で「油長」と言う、伏見を始め、京都の地酒やワインを試飲できるスポットに足を運びました。伏見の地酒とちょっとした肴、お酒が好きな人にはたまりませんね、折角、月桂冠を訪れたので、その酒を戴きたい、その中で気になったのが「純米にごり原酒」、この時期にしか出回らない日本酒であり、何より、月桂冠のにごり酒と言うのは珍しいものを感じた。そして、迷いもなく、これを戴きました。にごり酒特有の雑味はなく、非常に飲みやすく、フルーティーな味わいで、すっきりとした味わいを楽しめました。この日お通しにでた山ごぼうと豆腐の相性がよく、濃い味付けの鍋や天ぷらと共に戴きたい。
歴史の長い月桂冠、かつて月桂冠の本店は今は「伏見夢百衆」、今は中でお酒を呑んだり、お酒や伏見の土産を買ったり、さらには、コーヒーを戴きながらほっこりとした時間を過ごせれる。伏見の名水で淹れたコーヒーはまた絶品、柔らかい味わいで、ほっとさせてくれる。そこに広がるレトロな空間、ゆっくりと雰囲気を過ごせることが出来た。
3/2に伏見一帯で酒蔵開きが行われ、11月の酒呑みイベントでは多くの方が訪れ、伏見の雰囲気を満喫させてくれる。非常に魅力ある町です。
みなさんも伏見に足を踏み入れてください、そして、「月桂冠」を是非味わってください。
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