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行方知れずの友人

行方知れずの友人がいる。
彼女が苦しんでいたとき、たくさん話を聴いた。
いよいよ住む場所もお金も頼る人もいなくなっていた時に、相談も受けた。使える制度を調べたり、やけにならないよう注意深くブレーキをかけようとしたり。時間もかけたし、考えたし、心も痛めた。でも、具体的に申し出ることができたのは引越しの手伝いくらいだった。正直、お金を貸して欲しいと言われるのではないかと恐れていた面もある。元夫との話し合いに同席してほしいという要望には、沿えなかった。どんなふうに巻き込まれていくのか怖くて、前には出て行けなかった。

その後、連絡が途絶えたままだ。メールを送っても返信はない。もうⅠ年半になる。肝心なところで助けになれなかった私を見放したのかな、と思う。口ではなんとでも言えるけど、私が恐れを抱えて踏み込めないでいるのも、彼女は感じ取ったのかもしれない。

この年の瀬にふと、彼女のことを思う。生きていく道を見出していてくれたら、と思う。無事でいてほしい。今はnoteにこれを表明することしか、できずにいる。

自分は暖かくて安全なところにいながら、どうして本当に彼女の心配をできるのだろう。守られた場所から何を言っても響かないかもしれない。でも、私だっていつ彼女と同じように路頭に迷うか知れないのだ。

手先が起用で、繊細な感性を持ち、編んだものはどれも優しく立派だった彼女。それを生かしたい、と言っていたな。生かせる道を、見つけていてほしい。