【モヤカラ♪ vol.17】他者の靴を履いてみる
数年前、真夏の新宿で友人と待ち合わせをしたことがあります。映画を観る約束をしていたのですが、友人は会うなり言いました。
「まず百貨店に行きたい。とにかく靴を買いたいの!!!」
足元を見ると、ウエスタンブーツでした。
この暑い日に? しかも不快指数マックスなくらい湿度が高いのに?
聞けば、雑誌でパリのオシャレ特集を見て、「かわいい~♪」と思って、ブーツを履いてきたのだとか。
「あれは湿気の少ないヨーロッパだからできるオシャレだったんだねー」
完璧に用意された研修も、かっこいい仕事ぶりも、事情が違えば合わないことがあります。
ブレイディみかこさんの著書『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』には、こんな英語の格言が紹介されていました。
「他者の靴を履く(=相手の立場に立ってみる)」
相手の立場に立ってみると、景色が一変してしまう。
4月3日に配信した第17回「モヤモヤをカラッと♪」のゲスト・武井香織さんは、人事部から事業部へと異動になり、まさに景色が一変したそうです。
武井さんが経験したパラダイムシフトとは!?
「モヤモヤ」を「カラッ♪」とさせよう
毎月第1・第2月曜日の22時10分から、「モヤモヤをカラッと♪」というTwitterスペースを開催しています。
略して「モヤカラ♪」。
毎日、仕事をしたり、子育てをしたり、友だちと話したり、ひとりでご飯を食べたり。生活する中で、「モヤモヤ」することがあります。
「そういう言い方ってどうなの!?」
「なんだかエラそうなんですけど、何様!?」
「モヤモヤ」には、自分の「パラダイム」が関わっていることが多いんですよね。
人は、「パラダイム=ものの見方や思い込み」によって思考し、選択し、行動しています。でも、自分がどんなパラダイムを持っているかは、なかなか意識できません。
そこで、「パラダイムシフト=パラダイムを自覚して、世界の見え方が変わった瞬間」をうかがい、明日のワクワクにつながるヒントをお伝えしています。
時間がない!学びたいと忙しいの葛藤
4月。新人たちを迎えたり、昇進した人がいたりして、たくさんの研修プログラムが実施される時期です。
EC事業を営む会社の人事として、採用や研修に携わってきた武井さん。企業理念を伝える研修をはじめ、マネージャー育成や、1on1のワークショップなど、多くの社内研修を企画されたそう。
経営者と「こういうスキルを身につけておいてほしいよね」「いま組織にこういう課題があるから、こんなテーマでいこう」とすりあわせをし、熱心に取り組んで来られたそうです。
ですが、今年2月に事業部へと異動になりました。
むかしの経験が活かせるからと新規事業に抜擢されたそうですが、ECを取り巻く環境は数年で大きく変わっています。
あれも覚えなきゃ、これをやっとかないと、あぁこの勉強も必要なのか、などなど、仕事と勉強に忙殺されることに。
そこへ、研修担当者から研修開催のお知らせが……。
「そんな時間、ない!!!」
事業部の一員として研修の知らせを見たとき、思わず飛び出した言葉でした。そして、ふと気が付いたそう。
いままで「必要なことだから」と考えて研修を企画していたけれど、もしかしてみんなに負担を強いていたのかも……!?
これまでと立場が変わり、実際に「他者の靴を履く(=相手の立場に立ってみる)」状態になって、パラダイムが変わったわけです。
こういったパラダイムの違いは、研修だけでなく、バックオフィスと事業部の対立「あるある」かもしれません。
「自分を育てる」という第II領域
4月から社会人デビューしたという方、おめでとうございます!
これでようやく「勉強」とはオサラバだーと思ったかもしれませんが、残念なお知らせがあります。
社会人になってからのほうが、「学ぶ」ことは多いのです!!
もちろん、仕事に関するすべてのことが「初めて」なのですから、一から教わることもいっぱいなんですよね。
それよりなにより、「自分をどう育てていくか」という視点で投資することが必要になるのです。
武井さんが担当してこられたように、社内研修が整備されている企業もあるでしょう。ただ、ここでひとつ大きな問題にぶち当たります。
研修を受けるより、クライアントへのメールを先にやってしまいたい……。
研修という自分への投資は、とても重要なのですが、緊急度の低いものです。
緊急度が低いということは、後回しにされがちです。一度延期になった自分とのアポは、きっと再び後回しにされます。そして、永遠に手を付けられないままになる……。
『7つの習慣』ではこの領域を「第II領域」と呼んでいます。
重要だけど緊急ではない=「第II領域」をいかにつくるか。そして先送りせずに実施するか。これはビジネスパーソンにとって、永遠の課題ともいえます。
ひとつ提案したいのが、「第II領域」と自分の価値観を合わせることです。
「モヤカラ♪」のパーソナリティである、むらけんさんが、『7つの習慣』の一節を紹介してくれました。
武井さんは長年取り組んできた人事の仕事から、新しい業務へと異動されたわけですが、このとき「楽しみ!」と感じたとお話されていました。
自分が人生をかけてやりたいと思っているのは「後世の人が楽しく仕事をできるような環境をつくり、人を幸せにする」こと。人事の仕事なら社内のメンバーを育成することだし、事業部の仕事ならお客さまに価値を提供することになる。
「人を幸せにする」という価値観につながっているなら、新しい環境も「楽しみ!」と受け入れやすくなるし、それに関連することを学びたくなります。
自分をどう育てていくか。
自己投資としての「第II領域」について、一度考えてみませんか?
まとめ
「学ぶ」ことが重要だと、頭では分かっていても、目の前の業務に負けてしまいがちです。
でも、「第II領域」としての自分への投資と、価値観を合わせることで、学びに対して積極的なマインドが生まれるはず。
社内研修を企画している部署があるなら、自分が学びたいことを提案するのも、ひとつの手かもしれません。
また、バックオフィスと事業部は、対立しがちと言われますが、お互いに「他者の靴を履く(=相手の立場に立ってみる)」ことで、風通し良く対話できるようになれば、ひとつ上のシナジーが生まれる可能性だってあるでしょう。
ぜひ、この3つの視点を取り入れてみてください。
「楽しみ!」と笑顔で新しい環境に飛び込んでいけますように。
みなさんの4月を応援しています!
次回の「モヤカラ♪」は、4月10日です。みなさんの「モヤモヤ」が、「カラッと」なるようなトークをお届けしたいと思います。お楽しみに!
今回のトークはこちらから聞くことができます。ぜひ!
「7つの習慣セルフコーチング」の公式サイトはこちら。
講座内容はこちらに掲載されています。
「モヤカラ♪」過去の放送はマガジンにまとめています。