「勉強」について考えてみた①~「ビリギャル」小林さんと「9浪」濱井さんの対談を読んで
同業に近い立場としてビックリしたのが、先日の老舗受験予備校「ニチガク」の閉校のニュースでした。報道されている内容でしか掴めていませんが、かつてからなかなか厳しい業界ではありますので、新興企業が勃興してくる中で古くからの伝統だけでは選ばれにくくなってきているのかもしれません。このあたりはもう少し情報が集まり次第、改めて考えてみたいと思っています。
さて、今回はやはり元(まあ、今もそれに近い業界ではあるのですが)関係者としては気になる「勉強法」についての話題です。ビリギャルで一世を風靡した小林さやかさんと9浪して早稲田大学に入学されたという濱井さんの雑誌での対談が非常に興味深かったので、こちらを深掘りしていきたいと思います。なかなか示唆に富んでいて面白かったです。それでは一緒に見ていきましょう。
正しい勉強法よりモチベーション指導
私も教室長当時は、この部分に力を入れていました。結局は「素直な子」が伸びるんですよね、本当に。こちらの言ったことをとりあえずはまず「受け入れてみる」そしてその上で、「自分自身で改善改良できる」生徒が伸びていったように思います。ですので、小林さんが話されているように、スキルとしての勉強法の部分を理解していたとしても、コアの部分で本人が受け入れているか否かで吸収力が変わってくるんだと思います。ま、実際の統計データではなく、あくまでも肌感覚ですけどね。
坪田先生は著書も読みましたし、テレビのドキュメンタリー番組も拝見しましたが、モチベーションアップが非常に上手いと思いました。きっと小林さんの「やる気スイッチ」にしっかりONしたんだと思います。
その人の信念やマインドセットがパフォーマンスに影響する
指導する側としては、とにかく「褒める」ことに注力していました。もちろん「お世辞」ではダメですよ、いくら子どもさんでも、そのあたりは見抜きますからね。とはいえ、一方で「人間は誰でも褒められたい」生き物だとも思っているので(かくいう私がそうなので・・・笑)、小さな「褒めポイント」を見つけて、めちゃくちゃ大きく「褒める」。すると嬉しくなるし、また褒めて欲しくて頑張ろうとする・・・もちろん、双方の人間関係も大事ですけどね。
ですからスラムダンクの安西先生の名言「あきらめたら試合終了ですよ」はコロンビア大教育大学院の「認知科学」的にも正しいということなんでしょうね。あの一言でミッチーはラストでスリーポイントを決めてMVPを獲得するわけですから(もちろん物語ですけどね。笑)
日本の学生は自己肯定感が高くない
まあ、これについては日本人らしい「謙遜の文化」も大きく影響していると思うので、私自身は時々マスメディアで報道される「世界の若者の自己肯定感比較調査」に関しては若干「眉唾」で捉えています。私の知る海外なんて微々たるものですが、それでも欧米(時にアメリカ)の自己アピール文化は一緒にいると疲れますからね(共感される方・・・いらっしゃいませんか?)。もちろんそういう文化を否定するわけではなく、時には羨ましくもあり、憧れもあるのですが、ずーっとああいう環境だとそれはそれでしんどいかな、と。やっぱり日本の緩ーい、のんびり文化もまた良い感じだと思います(が、これだと国際競争的には勝てないんでしょうけどね・・・涙)。
西洋と東洋の文化の違い?
うーん、これは小林さんの進学された学部の影響も強いのかな、と(あくまでも勝手な印象ですが)。まあ、先述のように東西の文化の違いもあるでしょうし、環境の違いもあるんだと思います。中国の競争社会は日本の比ではないようですし、米国アイビーリーグの学生さんたちだって、学力のみならず体力であったり、交友関係、さらには親の財力云々までもが競争社会でしょうから、それはそれでしんどいですよね・・・汗。
中韓のような激しい受験戦争には懐疑的です
これは体感的に実感があります。恐怖心だと短期間では成績が伸びますが、長期的には伸びないか、もしくは成績が低下するような気がします。この場で詳細は書きませんが、親子間の考え方の違いによって結果的に子どもさんが苦しんでしまった・・・というケースも実際に見てきました。もちろん昔よりは親御さんが率先して「この学校に入りなさい」という方針のご家庭は私が在籍していた当時には下火にはなっていたように思いますが、今でもそうした考えだったり、または低学年化しているようにも聞きます。
可愛い我が子であっても別人格ですからね、やっぱり本人が「学ぶ楽しさ」を体感した生徒さんだったり、頑張りを周囲に認めて貰える(褒めて貰える)ような環境が醸成されていると、自己肯定感も上がり、さらに頑張れるような気がします。まあ、そんな教室を作っていこうと思って取り組んでいたので、「ビリギャル」だったり、坪田先生の著書には相当助けられました。この対談を拝見しながら、懐かしく当時を思い出しました。といいつつ、もう一回あの業界に戻りたいか・・・というと、それはまた別の話かな、と(笑)。