【TRAVEL】広島・呉弾丸旅行~ひろしま美術館/大和を見てから「ZIPANGU展」で感じたこと
前回に引き続き、広島・呉弾丸旅行のレポートです。呉市にある「大和ミュージアム」と「てつのくじら館」を見学した翌日、広島市内にある「ひろしま美術館」へ足を運んで来ました。広島城や原爆ドーム・平和記念公園にも近い広島の中心にある広島銀行が設立した美術館です。企業メセナとでも言うんでしょうか?こうした文化事業に力を入れているというのは非常に素晴らしいですね。
最近では千葉県佐倉市にあるDIC川村美術館が来年で休館という残念なニュースも飛び込んできています。収蔵品が世界レベルで貴重な作品ばかりなので、ぜひとも存続してほしいものです。さて、話をひろしま美術館に戻しますが、こちらもまたコレクションがなかなかの逸品ぞろいで、いつか行ってみたいと思っていた美術館の一つでした。そして今回はなんと日本の現代アーティストを集めた特別展「ZIPANGU~平成を駆け抜けた現代アーティストたち」という展覧会を開催していました。草間彌生さん、奈良美智さん、村上隆さんといった超有名アーティストの作品も集められており、かなり興味深かったので、今回はそちらのお話をしていきたいと思います。
ただし、後半は私にしては少しセンシティブなテーマとなっております。お読みになった際に不快なお気持ちにさせてしまうかもしれません。あくまでも個人的な意見ですので、作家さんのことを否定したり批判する意図ではないということを予めご了承ください。(アートには好き嫌いが出ますからね)
「ZIPANGU~平成を駆け抜けた現代アーティストたち」展
前日の「大和ミュージアム」に行ってみて山崎貴監督の特別展があることを初めて知ったように、この「ひろしま美術館」でこうした特別展があるということを知らず、行ってみてビックリ。現代アートにはあまり詳しくない私でも知っているようなビックネームがずらりと勢揃いしており、かつ、日曜だったのですが、そこまで混雑していなかったので、ゆっくりと鑑賞することが出来ました(これが都内の展示会などでは超激混みだったりしますからね・・・多分)。
実は写真OKだったようなのですが、前述の通り、そこまで現代アートファンではないので、今回は写真は撮りませんでした。が、先ほども紹介したとおり、相当有名な方々の展示が多く、圧倒されました。ちなみに上記ホームページのサイトには展示されている作品が紹介されておりますので、ご興味のある方はぜひご覧下さい。結構ビックリですよ。ちなみに私は岩崎貴宏さんの「リフレクション・モデル(羅生門エフェクト)」という作品に心惹かれました。
どうして芸術家はそういう発想になるのだろうか・・・?
ここからはちょっとしたエクスキューズです。というのも前日に戦艦大和を中心に大東亜戦争を戦った兵士の方々、そして戦艦を作り、さらには国を挙げて戦争に参加せねばならなかった方々の壮絶な生き様を様々な角度から見学してきたわけです。そりゃ誰だっておおよそほとんど全員が戦争なんか行きたくないですよ、本音では。それでも面だってNOと言えず、国の存亡を懸けた戦いということで、次の世代に国を残したい、という気持ち一心で戦いに挑んでいった多くの方たちに対し、現代の我々が軽々に「戦争反対」などと、どの口が言えるのだろうか?ということです。
安全地帯から「戦争反対」を唱えても・・・
というのも、展示されている作品にはそうした「戦争反対」を表現したものもいくつか出品されていました。繰り返しますけど、誰だって反対ですよ、多分。嫌ですよ、戦争なんて。でも、それが許されなかった時代があったということ。そしてもし、自分がその時代に生きていたら、一人だけ反対と言う勇気があったのか?というと、私にはないです、ハッキリ言って。現代のような一応平和(ただし、平和は戦争と戦争の間だ、という説もありますが)な世の中に暮らしながら、つまり自分たちは安全な場所に置きながら、他人事のように戦争反対と唱える作品を発表するのも、どうなんだろう・・・?と前日との対比として強く感じました。
私もこの山の一人なんだな・・・と思うと・・・・涙
なかでもそう感じたのは会田誠さんのサラリーマンがピラミッドのように横たわって山となる作品と山口晃さんの作品でした。会田さんはご自身で解説を書かれていて「僕が決してなることのないサラリーマンたちを描いた」というようなことを仰っていました(記憶につき若干曖昧です)。が、私も一人のしがないサラリーマンとしては、こういう風に描かれるのはちょっと悲しいな・・・と思いました。もちろんこういう作品を発表するな!などという気持ちは全くありませんが、我々のような一般の会社員たちが働いて国や県、市町村に税金を納めているから世の中が回っているわけで、アーティストさんたちもその一員ですよね、だとしたらもうちょっとリスペクト心があってもな・・・とちょっと悲しい気持ちに。(個人的感想ですのでご了承ください)
山口晃さんの作品が素晴らしかっただけに・・・
そして山口さんですが、この方の緻密な作風、とても素晴らしくて好感を持ち、しばらく細部に至るまであちこちを時間掛けて眺めるくらい気に入りました。中でも有名な東京五輪パラリンピックのポスターは良かったです。山口さんのタッチや画風、本当に素晴らしいと思いました。が、ここでも山口さんがこのパラリンピックのポスターを手がけるまでの心の葛藤をイラストと文章で紹介されていたのですが、いろいろと問題のある東京五輪に自分が手を貸すことへの思いを綴られていました。
もちろん赤裸々に、ご自身が評価されることは嬉しい(さらに財政面でも)、とはいえ、自分としては開催に賛同していないプロジェクトに参加するのはどうなんだ・・・ということが書かれていたわけですが、これは展示しなくても良かったのかな、と思いました。私はシンプルに山口さんの絵が素敵だなと思ったわけで、ご自身の主義主張を表に出さなくてもよかったのでは、と思いました。特に安倍元首相を揶揄する表現はちょっと・・・残念だった気がしました。(繰り返しますが、あくまでも個人的な感想ですのでご了承ください)。
常設展、コレクションが素晴らしかった件
後半、映像作品などもあったのですが、唯一team Labの作品は別として、あとはひたすら暗いテーマの作品が多く、割と見ていてしんどかったです。それだけにteam Labに救われた感はありましたね。
そしていよいよ常設展です。こちらはフランス印象派を中心に、ポスト印象派、新印象主義、フォービズム・・・と、日本人なら割と好きな方の多い作家の作品が多数展示されていました。詳しくは上記サイトで確認して欲しいのですが、モネやルノワール、ゴッホにマティス、ピカソ、モディリアーニ・・・と大御所の作品がずらりと勢揃い。しかも繰り返しになりますが、割と混雑なしにゆっくり鑑賞できる贅沢。ひろしま美術館、この常設展を見るだけで価値があると思います!しかも自分のスマホにアプリを入れるだけで、詳しい解説を見ることが出来、これもまた良いサービスだと思いました。
広島城・原爆ドーム・平和記念公園も徒歩圏内です!
正確には広島城→ひろしま美術館→原爆ドーム→平和記念公園という流れです。恐らくきっと難なく歩ける距離ですので、ベンチで休憩も入れつつ、散策しながら川沿いを散歩するのも良いと思います。ということで呉に始まり、思いがけず現代アートに触れ、ラストは戦争の悲惨さをダイレクトに感じ、心を揺さぶられる旅となりました。