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【ビジネス本再読】長谷部誠「心を整える~勝利をたぐり寄せるための習慣」③絆を深める

久しぶりの再読シリーズです。引き続き長谷部誠選手の「心を整える~勝利をたぐり寄せるための56の習慣」を読み進めていきたいと思います。今こそ多くの人に改めて読んで欲しいなと思う一冊です。繰り返しになりますが、若干30前半の時期にこれだけのことを考えていたとは・・・!さすがすぎますね。


集団のバランスや空気を整える。

僕はずっと自分が取り組んできたスタイルを変えず、なるべく全体を客観的に見まわして、チームに足りないことを探し、チームを整える存在であろうと思った。声を出す選手が少なかったら、どんどん自分が声を出す。逆にみんなが熱くなっていると思ったら、自分は冷静になる。何か思いを抱いていそうな選手がいたら、汲み取る。みんなを引っ張るリーダーというよりは、組織の乱れを正していくイメージだ。南アフリカで初めて代表のキャプテンを経験させてもらったことで、自分がキャプテンだろうが、なかろうが、常に選手というのは自覚を持って行動しなければいけないということに気がつかされた。

「心を整える~勝利をたぐり寄せるための56の習慣」長谷部誠著より抜粋

リーダーシップの形は千差万別。リーダーの数だけ手法は違っていいと思います。私も若いときは、先輩のモノマネをして見事に失敗し、それからたくさんの本を貪り読みながら、見よう見まね、トライアンドエラーを繰り返しながら、自分なりのスタイルを作っていったことを覚えています。長谷部選手にとってはここに書かれているようなスタイルが合っていたのでしょう。どこかチーム全体を俯瞰して見ることの出来る、監督の右腕となって選手たちとの「つなぎ役」という感じでしょうか?しかも他のメンバーからも「長谷部の言うことなら聞くか」という信頼を得ていたのでしょう。何より長谷部選手の実直なキャラクター故でしょうね。


注意は後腐れなく。

悪いものは悪い。遅刻した人間はルールを破ったんだから、遠慮する必要なんてない。言うべきことは言うべき。それが僕の考えだ。ただし、こちらが偉そうに注意する権利はないし、上から目線だったら相手にも伝わらないだろう。選手同士は年齢に関係なく平等だし、誰が偉いなんてない。気さくに、それでいて真摯に思ったことを言い合える関係を築くのがプロフェッショナルであり、僕の理想のチーム像だ。

同上

注意をするというのは本当に難しいですよね。特に令和の昨今は「ハラスメント」なども盛んに言われてますし、どちらかというと、リーダーよりもフォロワーの方が力を持っている面もあるようなないような・・・汗。ですので、今、まさに様々なチームでリーダーを務めている方は本当に大変なご苦労をされていることと思います。自分が先輩たちに教えてもらった通りの手法は、今の若手や部下には出来ないことも多いのではないでしょうか?

長谷部選手の場合、当然全員がプロフェッショナルたちの集団ですから、こうした対等な関係が理想ではありますが、市井の様々なチームはそうはいきませんからね・・・私もいろいろ失敗してきたので(時にはカッとして・・・ということも)なかなかしんどいなぁとしか言えません。とはいえ、理想としては長谷部選手の書かれているような関係は築けたらいいだろうなと思いますね。

仲間の価値観に飛び込んでみる。

ヴォルフスブルグに移籍した当初、心がけていたことがある。それはどんなに疲れていても、「チームメイトから食事に誘われたら、絶対に断らない。」ということだった。正直、言葉が理解できないのに一緒に食事をするのは辛かった。ある意味、試合より疲れる。大音量のせいでドイツ語もうまく聞き取れない。けれど、ピッチから離れて一緒に時間を共有することで、チームメイトの一面が見えてくる。文化や背景が違う国を超えて、信頼関係を築くのは難しいと感じる時もあるけれど、失敗してもいいから、まずは近づいてみることが大切だと思う。相手だって、こちらが興味を持つとうれしいものだ。キャラクターを知り、絆を深めることで、それがピッチでも生きる瞬間があるだろう。

同上

言葉も通じない、習慣も異なる環境に飛び込む、というのは本当に勇気がいることだと思います。日本国内であっても、新しい環境に馴染むのには時間が掛かるものですよね。しかし、長谷部選手はこうやって自分の殻を破って、積極的にチームに溶け込もうと努力されたんですね。きっとメンバーもそうやって自分たちの仲間になろうと頑張る長谷部選手を好意的に感じていったのでしょう(もちろん長谷部選手の人柄は言うまでもありません)。一匹狼気取りで、群れずにいるのは一見「楽」な面もありますが、やっぱりどこかで仲間と他愛ないコミュニケーションを欲していたりしますよね。ちょっとの勇気は常に持っていたいものですね。

全然別件ですが、どこぞの首相が会議前にスマホに熱中し、見かねた周囲の首脳たちが声を掛けに来てくれたのに、座って握手・・・という残念な光景が全世界に流れてしまいましたが、彼こそ長谷部選手の精神を参考にしてほしかったものです、プライドが邪魔したのかもしれませんね(涙)。


常にフラットな目線を持つ。

アスリートにとって「自信」はガソリンのようなものだ。自信が背中を突き動かし、高い壁を超えるエネルギーを生み出してくれる。ただし、いくら自信を持ったからといっても、「上から目線」には気をつけなければならない。自信が生まれたからといって偉くなるわけでもないし、ましてや成功や勝利は自分一人の力で勝ち取ったわけでもない。

ただ、だからと言って「下から目線」になってもダメだ。相手に媚を売ったり、ゴマをすったり、下手に出るのは自分自身を貶めることになってしまう。コミュニケーションにおいては、どちらも対等な関係であるべきだ。ドイツのサポーターが気さくに選手に話しかけているのを見ると、「素晴らしい関係だなあ」と感心させられる。誰に対しても視線をフラットに保つ。そうすれば余分な軋轢も生まず、より安心して仕事に打ち込めるのではないだろうか。

同上

どの業界でも「大物」ほど偉ぶらない、自然体であるように思います。その一方で「小物界の大物」ほど、「俺を誰だと思ってるんだ!」(←いや~、知りませんけど・・・みたいな笑)的スタンス。「実るほど垂れる神戸と稲穂かな」ではないですが、常に謙虚さを持っていたいものですね。一方、頭を下げるのが「演技」っぽい人もいますよね、あれもまた鼻につくんだな、これが。やっぱり自然体に限りますね。そういう意味ではドイツ人サポーターと選手との関係は素晴らしいですね、互いに敬意を払いつつ、気さくにコミュニケーションを交わす・・・民度の高さを感じます。


群れない。

僕はみんなで食事に行くのは嫌いじゃない。人と話すことで刺激を受けるし、自分が知らなかったことに出会うこともできる。ただし、いつも同じメンバーで食事に行くとなると話は別だ。同じメンバーだと結局、最後は「愚痴大会」になってしまうという印象があって、そういう不満の解消法は好きではないからだ。僕は常にみんなと信頼関係を築きたい。では、どうして派閥に属さないのか?それは「グループに甘える」関係になるのが嫌だからだ。僕は全員と信頼関係を築きながら、それでいて特定のグループに属さないというスタンスが好きだ。もしそれが実現できれば、たとえどんなに強い逆風が吹こうとも、自分の芯も、チームの芯も簡単には揺るがないのではないだろうか。

同上

冒頭の繰り返しになりますが、この本を書かれたのは長谷部選手が30代前半だというから驚かされます。当時の私は、チームで飲みに行ったり食事をしたり・・・というのが大好きな時期でした。決まって仕事の話、特に愚痴大会になりすぎていたようには思いませんでしたが(ま、思い出は美化される、という点をご了承ください笑)、こういうことをしたいね、とか先々の話もしていたと思います。ま、とはいえ、だいたい同じメンバーでした。

そんな私も40代になり、そろそろ50の壁が見えてきた年齢に達したわけですが、改めてこの本を読んだときに思ったことは、当時から長谷部選手は確固たる自分があったということ、そして選手同士でつるむことを好まなかったのだと思います。これはプロ選手としての矜恃かもしれませんね。私の場合は(と、比べることすら烏滸がましいのですが)とにかく常にいつ壊れるかわからないチームビルディングに日々取り組んでいた、という感じでした
。そのためにはチームへの投資だ、ということでなんだかんだで飲んだり食べたりしていましたね、当時は若かったですし。

ただ、今となってみると、一緒に連れ回されたスタッフ陣はめんどうだったんだろうな・・・と思いますね、これは反省。仕事が終わったのに、仕事の話かよ・・・と思われていたんだろうな・・・とか。ま、それくらい私なりに本気で取り組んでいたんですが、それこそ「熱さの押し売り」になっていたのかもな・・・と今更ながらに若干反省しています(今更かよ!しかも若干って!というツッコミが入りそうですが・・・笑)。でもまあ、それくらい人生懸けていたんですよ、当時はね。

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