RENT is Back! 多くの人に観て欲しい最高傑作のひとつだと思います!
俳優の山本耕史さんが主演していることでも話題の「RENT」を見てきました。ちょうど同年代の山本さんですが、彼が20代の頃に日本語版に出演された話はとても有名ですね。そこからさらにお芝居、特にミュージカルにも挑戦されるようになったきっかけの作品というようにご本人も仰っていたように思います。山本さんと自分を重ねるなんておこがましいにもほどがあるのですが、私もこの「RENT」という作品に強い衝撃を受けた一人です。今回はそんな私も大好きな作品の一つである「RENT愛」についてひたすら語っていきたいと思います(笑)。
出会いはロンドン・ウエストエンドでした
1996年に初演を迎えた作品なのですが、私が知ったのは2002年でした。ちょうどヨーロッパを回っていたときに、イギリスのロンドン市内あちこちに「RENT」のポスターが貼られていて、なんだか面白そうなミュージカルがウエストエンドで開かれるのか、ということで全く予備知識なく観たのが最初でした。当時は英会話修行期でしたので、はっきりいって細かな部分など聞き取れるはずもなく、ただただ役者の演技(セリフよりもアクション)と音楽を頼りにストーリーを追っていった感じでした。しかし、そんな状態でも素晴らしい音楽に圧倒され、めちゃくちゃ感動したことを覚えています。即日、市内のCDショップ(HMVだったかな?当時はまだまだCD全盛期だったんです)に速攻駆け込み、CDを購入したことも覚えています。
やっぱり「Seasons of Love」ですよね!
中でも一番感動したのはもちろん2幕スタート時の「Seasons of Love」です。初めて見たときはどうだったんでしょうか?そこまで歌詞のすべてが分かったわけではないのに、とにかくこの曲の素晴らしさだけは鮮明に覚えています。そしてもちろんラストの「Finale B」。主演メンバーが一同に介して歌う「No day but today」というフレーズは忘れられないですね、「今日以外の日はない!」本当に素晴らしい。たしかあまりに感動して、また別の日にチケットを取ってもう一回観たような気がします。なんでしょうね?自分でもよく分からないくらいの衝撃でした。
ロックがメインで舞台もストリートっぽくてカッコ良かった!
多分、これまで(といってもそれほど数は多くないですが)観たことのあるミュージカルとは全く違ったのが衝撃的だったんだと思います。まず音楽。ロック調のめちゃくちゃカッコいい音楽に乗せ、役者たちが歌い踊る展開が素晴らしく、さらにはストーリーもまた当時としてはセンセーショナルな内容を含めながらも、普遍的な仲間との友情や愛情を、全編を通じて様々なスタイルの音楽に乗せて歌われていく・・・というもの。1幕ラストの「La vie Bohem」で盛り上がった後の、2幕開始でゴスペル調の「Seasons of Love」で始まる・・・というのも斬新でした。
その後、NYや日本で何回も観ることに。そして「映画化」も
そしてその後は、ニューヨークを訪れるたびに(といっても2、3回ですが・・・)ブロードウェイのネダーランダー劇場に通い、さらには日本公演があるたびに何度か観ていました。そして2006年には「ホームアローン」や「ハリーポッター」シリーズのクリス・コロンバス監督によって映画化もされました。なんとオリジナルメンバーが多数出演したことでも話題に。興行的には大成功とまではいかなかったようですが、私としてはとても好きな作品でした。なんと監督ご自身も「RENT」の大ファンだったそうで、そうした原作愛に溢れる素晴らしい作品だったと思います。
作者ジョナサン・ラーソンの「魂」が込められた唯一無二の作品
これは後から知ったのですが、この作品がプレビュー公開されるその日に亡くなってしまうという本当に残念な悲劇があったそうです。この作品ができるまでに彼が貧しい生活の中で、ものすごい努力を重ね、少しずつ形にしていき成功を掴む寸前までいった・・・という、なんとも言えない辛いエピソードがこの作品にはあったのです。ちなみにこの作品ができるまでの葛藤を描いたのが「tick, tick…BOOM!」という作品で、こちらもミュージカル版と映画版が発表されています。私は映画版しか観たことがないのですが、「RENT」のこうしたサイドストーリーを知っていると、より一層楽しめる内容になっています(しかも、初演の役者たちがカメオ出演しています!)
いつの時代も変わらぬ普遍的なストーリー
久々に「RENT」を観て思ったのがこれです。いつの時代も変わらないんだよな、ということ。と、同時にジョナサンの描いたストーリーが、いかに時代の先端を行っていたんだろう、という点もまた驚きましたね。今では多様な愛のかたちも当時よりは受け入れられているように思いますが、90年代当時はまだまだ偏見も根強く、センセーショナルな内容だったと思うのですが、彼は決してそれを「特別なこと」として表現するのではなく、ただ必死に時代を生きた一人一人の人間として描いているように思いました。そんな彼らが偶然出会い、恋に落ち、そして別れを経験する・・・そんないつの時代も変わらぬ若者たちの一日、一日を必死に生き抜く様子を克明に描いていました。なんだか20代当時の必死に生きていた熱い日々を私自身も思い返しながら観ていました。
山本耕史さんが素晴らしすぎた件!
以前から演技派(そして最近ではマッチョキャラ?)として有名でしたが、改めてこの作品を観て山本耕史さんの素晴らしさを再確認しました(ファンの皆さん、スミマセン。なんだか上から目線な表現になってしまい・・・)。まずは英語のセリフが周りと違和感なくできていること、そして歌唱力です。失礼ながら、ブロードウェイミュージカルの日本語版で日本人キャストになると、歌で興ざめって経験ありませんか?もちろん出演者のファンであれば問題ないんでしょうが、やっぱり本場と比べると・・・という気がしてしまう方なんですが、山本さんの場合は全くそんなことなく楽しめました!相当練習なされた、というエピソードをご本人も語っていらっしゃいますが、本当に頭が下がります。そしてモーリーン役のクリスタル・ケイさんもまた素晴らしかったです!
若い方々にも、もっともっと観て欲しい!
これは私の主観でしかないのですが、今回見たところ、私世代か、それよりも上、さらにはちょい下世代の方々が多かったように思います。きっと私同様、かつての「レントヘッズ」だった方々かもしれませんね。なんだか同窓会のような気分で楽しかったです。が、それだと単なる懐メロ的に昔を懐かしむだけになってしまうので、ぜひとも若い方々、特に10代、20代の方々にも観て欲しい作品だと思っています。感受性が高く、これからまだまだ未来有望な(・・・というと、だいぶ自虐的に聞こえてしまいますが・・・涙)若い世代の方々こそ、この作品から受けとるパワーってものすごいんじゃないかな、って思いました。ちょっとチケット代は学生さんには値が張るかもしれませんが、きっと得られるものは値段以上の価値があると思います!
最後に・・・今回の字幕、とても良かったと思います!
これまた上からトークになりますが、字幕のレベルが回を重ねるごとに上手になっていくな、と思いました。かつて今はなき、新宿の厚生年金会館(古っ!)で開かれた際に初めて「日本語字幕付き上演」を体験したのですが、「うーん・・・」というレベルで残念だったことを覚えています(ま、会場も古かったですしね)。それから数回日本で観て、今回、だいぶ年数が経ってから再び観たわけですが、いやー、レベル高くなったなと感動しました。やっぱり「生Seasons of Love」は必聴の価値あり。・・・と言いながら、次の休みは映画版「RENT」と「tick, tick…BOOM!」、さらにはブロードウェイ版の最終公演DVDの三本立てを画策中。そしてもちろん通勤の道中は「RENT」を聴いて余韻に浸っております。見終わったそばから、また観たくなるという・・・笑。