見出し画像

【ビジネス本再読】「EQ:リーダーシップ」②~共鳴型リーダーと不協和型リーダー

今回も引き続きダニエル・ゴールマン氏の名著「EQ:リーダーシップ」を読み進めていきたいと思います。ちょうど世間は衆議院選挙間近となり、報道も過熱してきているようです。当然、各政党にはリーダーがいて、各候補者たちもまた一つの選挙区などではリーダーなわけで、しっかりチームとしてまとまっているな、という陣営もあれば、大丈夫かな?と不安になる陣営もまたあるわけでして・・・。そんな時期に再読してみると、なかなかいろいろ考えさせられることがたくさんありました。それでは一緒に考えてみましょう。


共鳴型のリーダーたち

「共鳴」が起きていることを示す兆候のひとつは、リーダーの明るく熱意に満ちたエネルギーを増徴し延長する。共鳴は、システム内の雑音を最小化する。EQの高いリーダーのもとでは、メンバーは互いに心を許しあってアイデアを共有し、学びあい、強調して決断を下し、仕事を成し遂げる。何よりも重要なのは、メンバー同士が感情レベルで結ばれていると仕事がより意味のある目標になる。仕事がうまくいったときの高揚した瞬間を共有しあう喜びは、誰もが知っている。こういう気持ちに後押しされて、集団は一人では到底不可能な目標を達成することが出来る。絆を作り上げることが出来るのがEQの高いリーダーである。

「EQ:リーダーシップ」ダニエル・ゴールマン著より抜粋

これは仕事に打ち込んでいる(いた?)方なら一度や二度は味わったことがあるのではないでしょうか?それはリーダーシップかもしれないし、フォロワーシップかもしれません。チームで何かを成し遂げ、高揚した瞬間というのは何物にも代えがたい、脳内からドーパミンが大量放出され、一種のハイ状態になりますよね。これがずーっと維持できれば良いのですが、メンバーに入れ替えがあれば、維持は難しいですし、何よりリーダーがモチベーションをキープするのが難儀だったりしますよね。とはいえ、私も何度か体験したことがありますが、こうした瞬間は本当に楽しいものであり、当時のメンバーとはいつ再会してもきっとそのときと同じようなテンションで意気投合できるくらいの「絆」は今も築かれているように思います(わたしだけかもしれませんが・・・笑)

不協和型のリーダーたち①サイコパス気質

不協和を招くリーダーにはさまざまな種類がある。共感能力にかけるリーダー、不の感情を増徴させる信号ばかり発するリーダー、彼らはEQを欠いているだけである。また、部下を怒鳴りつけ侮辱する暴君タイプや、部下を病的にまで操縦しようとするタイプもいる。負の共鳴を行使して組織を率いるリーダーは、必ずトラブルを招く。たとえ短期的に業績が上がったとしても、リーダーがもっぱら負の感情の範囲で共鳴をあおり続ければ、結果的には集団を疲弊させることになる。そのようなリーダーは有毒な感情をばら撒くばかりで、他人の感情を受け止めることが出来ない。

同上

これはモチベーションアップの話の際にも触れたことがあるのですが、「短期的結果」を求めるのであれば、「恐怖」で縛る、という手法でも一時は成果が出ることもあるんですよね。ただ、これは長続きできないんですよ、当然ながら。だって嫌じゃないですか、シンプルに。ましてや「ハラスメント」や「コンプライアンス」に厳しい現在なら尚更ですよね。それでも一向にこうしたブラック上司は減らないし、日々、こうした問題が話題になるというのはなんとも悲しいことです。そして怖いことに上司自身がそうしたことに気づいていない(ま、気づいてやっていたらもっと怖いですけど)というサイコパス気質だった・・・ということも。ただですね、言い訳ですけど、何でもかんでも上司のせいか、というと、部下も大概だったりするんですよ・・・ということもちょっと言いたかったりします(経験談・笑)。

不協和型のリーダーたち②「的外れ」タイプ

「的外れ」なタイプもある。本人としては前向きの共鳴を求めているのだが、部下達が負の感情にとらわれていることに全く気づかないのだ。言い換えれば、従業員が組織の現実に怒りや不安を抱いているのに、リーダーはそれに気づかず明るいメッセージを送り続け、結果として誰一人共鳴しないというケースだ。自分の考えにおぼれるリーダーもしばしば『的外れ』となる。そうなったリーダーは、自分に成功をもたらしてくれる人の懸念に耳を傾けなくなり、不協和間を増幅させていく。

同上

非常に言葉を選ばず言うと、「やる気のある無能者ほど厄介だ」という話ですね(もしかしたら自分もそうだったかも・・・涙)。自分としてはチームを鼓舞し、成果を出すために取り組んでいるんだけど、EQが足りないために、周囲への共感が出来ず、結果として浮いてしまうという悲劇。私の場合はその次の「自分の考えに溺れるリーダー」というのは、そういう傾向がなかったわけではないので、反省しきりです。「自分はこう思う!」という仮説を立て、周囲を巻き込んで実行するわけですが、まあ、成功率は50%くらいですかね、まあまあ失敗もありました。周囲はどうだったんでしょう?まあ、どうせ言っても聞かないからやらせちゃえ、って感じだったんだと思います。そう考えると、フォロワーたちの方がずーっと優秀だったわけですね(涙)。

リーダーシップと脳のしくみ

リーダーは人々にモチベーションを与え、方向を示し、意欲を駆り立て、話を聞き、説得し、そして何より共鳴を引き起こすことによってビジョンを実現していく。

「わたしたちは知性を神とあがめることの内容に気をつけなくてはならない。知性は強い腕力を持つが、人格を持たない。従って使えることはできても、導くことは出来ない。」(アインシュタイン)

共鳴を生むリーダーシップは、考える脳と感じる脳の共同作業ということになる。

同上

かつてセブンイレブンを率いた鈴木敏文さんの著書をいくつも読んでいた際に、たしか鈴木会長は「お客様の目線で」という言葉を嫌い、「お客様の立場」で考えると言うことを徹底させた、というようなお話があったような気がするのですが、まさに「相手のことを相手の立場にたって考える」ことの重要性がここでは謳われていますね。「感じる」と「考える」・・・たしかにリーダーに(というかチームメンバー全員ですね)必要な感情です。

自分の感情を認識する

「自分の感情を認識する」ことはすべてのEQの基礎である。自分の気持ちを認識できなければ、それをコントロールできないし、ましてや他者の気持ちを理解することも出来ない。EQの高いリーダーは、自分の内なる信号に敏感である。自分の抱いている感情が自分自身にどのような影響を与え、自分の仕事ぶりをどのように左右するかを知っている。こうした感情の自己認識が出来ないリーダーは、怒りを爆発させるだけで、どうして自分が感情に降り流されるのか理解できない。感情の自己認識は、共感能力においても大きな役割を果たす。自分自身がどう感じているか認識できない人間に、他人がどう感じているか理解できる道理はない。

同上

これは8割同意、残り2割で「異議あり!」というのが私の実感です。もちろん自分の感情を認識し、特にマイナスの感情を抑えて振る舞う、というのが教科書的には正しいと思います。しかし、私自身は9割感情で出来ているといっても過言ではなかったので(笑)、そういう意味ではめちゃくちゃ分かりやすい人間だったと思います。まあ、これは前述のように部下というかメンバーに恵まれていたので、こうした分かりやすいキャラで「あ、今、機嫌が悪いな」とか「今は元気そうだな」と相手が即分かった方が、何かとスムーズに(もちろん部下たちが、ですよ)物事が進んでいた面も会ったように思います。繰り返しますが、本当はもっと常に冷静沈着に振る舞うことが大事だということは分かっているんですけどね。これは双方に信頼が生まれていた(繰り返しますが、本当は双方、というより私が部下に恵まれたというだけですが)だけかもしれません。

話を戻すと、怒りを制御できず、常にキレ散らかしているリーダーだったら・・・やりづらいですよね。一緒に仕事をしたくないですし、そもそも一緒にいたくないですよね。私はここまでではなかった・・・と思いたいですけどね、どうだったんでしょうかね?ま、話を冒頭の選挙の話題に戻しますが、開票日に喜怒哀楽悲喜交々の光景が繰り広げられるわけですが、それぞれのチームがどうだったのか、なんてところにも注目してみると、各候補者がどういうリーダーだったのかが垣間見られるかもしれませんね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?