青少年的人生論
私はその日、若者のすべてを知る
早朝5時過ぎの国道はまばらなゴムの音を、
昼に気づかれまいと思い込んだまま楽しむ
少し冷えたメロディーが豪華に飾り付けると
生の悦びが殴りつける
そしてわたしは淋しくなるのだ
友人と夜通しで騒ぎ倒し、朝を迎えた。
カーテン越しの朝靄は、珍しく憂鬱、懐かしい感覚だった。
非常口のピクトグラムを羨ましく思ったことがある。
きっと、彼にとって朝は希望なのだ。
朝を迎えるものと夜を抜けるものとは、非常口を認識すること以外、心が通わない。
外へ出ると、少し肌寒かった。
景色が漠然とする季節になっていたことに気づかなかったのは、常に漠然としてしまうほど幸せな季節に潜っていたからかもしれない。
あなたは元気にしてるかな、そう思った。
帰路、あなたを重ねる。
なんでもないものに意味を与えてくれた日々に腹が立つ。
どんなに温くても、誰かを傷つけることってできるんだね。
そうさせるきっかけが自分だったということに気づくのは春が立つ頃だった。
歯を激しく握ると細やかに擦れた
震えて歯痒くなる予定の筋肉は、
その時ばかりは無力だった
私は本能を凌駕していた
外では風が吹き荒れ、緑が揺れていた
頭の中で言葉を遊ぶのを止められずにいると
私は頬を掻いていた
煩悩が私を凌駕した瞬間だった
約半年が過ぎた。
冬の記憶は、春空に舞う雪が自身を桜と勘違いしていたことぐらいだ。
光がこぼれ落ちないように生活を続けていると、いつの間にか行き詰まっていた。
息詰まった、とても苦しい日々。
ただ穏やかに生きていたいだけなのに、
ただ心で生きていたいだけなのに。
激動に刺される時、わたしは静に襲われる。
板挟みに昂るパトスは、願いとは裏腹のものであった。
苛立ちは溢れ出してしまうものだ。
歯の擦れ合う音すら私の目を覚ませないほどの苛立ちだった。
なにもうまくいかない。
皮肉にも、菜の花が咲き乱れる季節。
明るさを伏し目に、葉が擦れ合う音を聞く。
私は頬を掻いていた。
追記
数年前からの日常の記録から一部を抜粋し、物語仕立てにしてみました。
初めての試みで拙い文章ですが、自分なりに遊び心を入れてみました。
「青少年的人生論」としてシリーズ化するので、また覗きに来てもらえると嬉しいです。