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価値観を仕事にすることの難しさ

最近、長く関わってきたプロジェクトが終了した。いわゆるクライアントワークではあったが、受注発注の関係を超えて、共同運営として数年間コミットしてきた。丁寧に育ててきたブランドだった。

しかし、それが突然終わりを迎えた。担当者が変わり、体制が見直しになった。新しい担当者曰く、単体ではリソース的に回せないので、別のものとまとめて、外部に任せて運用することになったと。

久しぶりに残念な打ち合わせだった。先方曰く、もう社内決裁も済んでおり、変更はできないという。弊社の担当ディレクターは悔しさを滲ませていた。ずっと天塩にかけて育ててきて、ようやく軌道に乗ってきたタイミングなので、その気持ちは痛いほどよく分かる。

ニューピース社では、「価値観を仕事にする」をミッションに掲げている。すべての会社や商品、地域には独自の価値観があるはずで、それを取り扱う仕事をしようと。また、そこに自らの価値観も重ね合わせて、自分の人生の一部としてブランドを育てようと。

ただ、現実は、大なり小なりこういう話は少なくない。最初は、想いある人と立ち上げるが、大きな組織や行政だと大抵3年ほどで異動になる。後釜に付く人に、なかなか想いは引き継ぎされない。より効率的に楽に回そうとする。そのタイミングで歯車はズレ始める。

そもそも熱い想いを持った人と仕事させてもらってること自体、恵まれたことなのかもしれない。だからこそ、そういう人とやっている間に、先々まで仕込んでおく必要がある。成果を出すことは勿論、体制が変わっても続けられる仕組みや契約など。近い課題感や経験がある方とぜひ勉強会をしたい。

そういう意味では、富山県のブランディング「寿司といえば富山」は10年構想だが、縦割りを超えた専門部署を立ち上げ、新田知事に直接本部長に就いてもらったのは良かった。ブランディングという時間のかかる仕事には、トップのコミットメントが必須だから。(それでも知事が変わったら話は変わるが…)

結局、最後は人なんだな。社内外問わず、仕事における価値観を共有し、信じ合ってリスクを取れる仲間を何人持てるかが、仕事の体積を決めるのだろう。