生まれ変わっても鍼灸師になりたい 〜好きなことを仕事にするときに必要な覚悟〜
わたしは鍼灸施術を仕事にしています。鍼灸師はわたしの天職だと思っていますし、そのことを幸せだと思います。
動けなくなるまで鍼を打ちたい、お金にならなくても鍼を打ちたい、生まれ変わっても鍼を打ちたい……
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でも、わたしが鍼灸師になろうと思ったのは28歳のとき(2004年)です。
それまでは鍼灸師という職業があることも、国家資格であることも、専門学校などの養成機関に通って修了しなければいけないことも、開業しても年収は日本人の平均所得に達しないことも知りませんでした。
27歳のとき、前職のシステムエンジニアが自分に向いていなかったーー能力面でも性格面でもーーことから自律神経失調症になり、新橋の鍼灸院で施術してもらいました。
そのとき体が楽になり、鍼灸や東洋医学、さらには鍼灸師という職業に興味を持つようになりました。
「針金一本で、健康にできるものなのか……」
特に、痛くもなく凝ってもいないところに鍼を打って体がよくなるのが、とても不思議だったのです。
また、鍼灸院に流れる時間が、ゆったりしていたんですね。
ゆっくり、と言うより、ゆったり。
費用対効果、生産性、「使えるひと/使えないひと」といった競争と選別の世界ですっかり疲れていた身には(「それが面白いんじゃないの」と燃えるひともいるんでしょうね)、そういうことを忘れられる時間と空間は本当にありがたかった。
そして、こういう時間と空間を作りたい、一つの世界、空気感を作りたいーー鍼灸師として仕事したいという思いが大きくなっていきました。
向いていない仕事をしていると、あさっての方から天職がやってきたーー今思えば、人生に数回しか訪れないであろう、幸せな偶然の一つでした。
2005年に会社を辞め、鍼灸の専門学校に通って、2008年にはり師、きゅう師の免許をとりました。
この3年間しか勉強できない、と真面目に勉強したおかげで首席卒業できました。40人程度の小さな学校で首席でもね、というのはありますが。
その後、鍼灸接骨院で働き(その前に、大学院に行くもうつ病になって中退したりもしましたが)、2011年に出張鍼灸専門で開業、2015年に店舗開業して今に至ります。
鍼灸師になってから、別の仕事の方がよかったかと後悔したことはありません。
この仕事につくと、技術的にも人間的にも成長するのを実感できます。患者さまがわたしを育ててくれたのです。
この仕事についていなかったら、わたしは精神的にもっと幼稚だったろうことは言えます。
感謝しかありません。
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以上、個人的な経験からではありますが、
天職は見つかるものだ、が持論です。
見つけるもの、ではない。
今わたしは45歳で、まあ40年も生きているといろんなことが見えてくる。世の中理不尽なことが多いけれど、それも含めて実は割合よくできていて、
しかるべき所に、しかるべき人がおさまっていく。
「自分にとっての『しかるべきところ』はここだ」と感じられる世界が見つかったら、貧乏になろうが、友達をなくそうが、その世界を突き進むべきです。
もっとも、あれこれやっているうちに「人生をさしだしてもいい仕事」が見つかることもある。まずは今の仕事を頑張るべきかもしれません。それが自分に向いているかどうかはさておいて。覚悟を決めれば、何でも楽しくなるもの。楽しくないのは覚悟が足りないだけだったりする。
あなたが、
「好きなことをやらせてもらっているんだから貧乏なのは当たり前」
「好きなことをやらせてもらっているんだから孤独になるのは当たり前」
「好きなことをやらせてもらっているんだから末路哀れは覚悟の前」
と覚悟を決められるものに出会えるよう、応援します。
この文章を読まれる方は、仕事を探しているか、今の仕事は違うなと思われている方だと思うので。
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天職なんて見つからなくていいんです。本当は。あなたが幸せになればそれでいいのです。「まあ、こんな人生も悪くないかな」と思ってくれたらそれでいいのです。ヒントは、誰かを幸せにできるかどうか。(小声)
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