【映画感想】 破墓(パミョ)
個人的には『アシュラ』『コクソン』などが公開された頃に(十年ぐらい前か)韓国映画を見始めて、『殺人の追憶』などの過去作などを掘り返しつつ、新作映画が上映されるたび、期待してみたものの、『ザ・キング』『ザ・メイヤー』など滑っているもの多くあり、韓国映画だからと言っても、毎回、いい映画が見られるわけじゃないんだな…。ということがしばらくして分かってきた。
その後、毎年、二、三本のいい作品があり、そんな感じで韓国映画を見続けてきたが、ここ数年は一本も面白い映画がないことが続き、映画が公開されても、あまり韓国映画には期待しなくなってきている。
しかし、今年公開の『ソウルの春』は久々にちゃんと面白い映画で、この『破墓』にはちょっと期待していた。
ある一家が代々、後継が奇病にかかることから、巫堂のファムリにその原因を突き止めてくれと依頼が来る…。先祖の墓が問題だと気がつき、そこに風水師のサンドクが合流することに…。
(こういう物語の説明をしっかりするレビューって、なんだか読みづらいのはなんでなんだろう)
『コクソン』以来の雰囲気のあるホラーで、出だしは良かった。
絵作りは日本の作品ではなかなか及ばない重さがある。韓国映画界はハリウッドにスタッフを送り込んで、現地で学ばせたみたいな話があるが、そのためにいい映像を撮れるのか。
チェ・ミンシクとユ・ヘジンが出てくると、また、話が面白くなりそうになってくる。十年ぐらい前だと、ここに細い頃のマ・ドンソクなどがいて俳優の層が厚かったのだけど。
しかし、ホラーな雰囲気の底に、怖さがそんなにないように感じなくはない。
そして、ある一家に災いをもたらす原因のあいつが現れて…。
レビューでこの辺りはうっすら分かってはいたが、流石にまたか…。とがっかりはした。
しかも、二メートル台の巨大な武将の霊が現れてどう思えばいいのか。
素直に「オモロー」と言っとけばいいのか。なかなか難しかったですねえ…。
日本の映画に出てくる霊は物体として存在しつつ、呪いなどで人を殺めるものの、実力行使できるものは少ない。(ちゃんと日本のホラー作品を調べてないですが)
イギリスの映画の霊もそんな感じだと思う。アメリカなどの大陸は外敵のイメージとして、地続きでやってくるのか、船に乗ってやってくるのかの違いだと睨んでいる。誰かがそうなことを言ってたかな
映画では直接攻撃しないイメージの日本の武将が、半島ではあるけど、大陸の韓国映画の霊として直接攻撃を仕掛けてくる。
霊は豊臣秀吉の朝鮮出兵で死んだ武将の霊かと思いきや、後の朝鮮併合ぐらいの時に、旧日本軍が武将の遺体を埋めた云々の話になっていって、ちょっと話がわかりにくかった。
しかし、韓国に住んでいれば、その歴史の中で、武将の霊が現れるリアリティーはあるのかもしれないが、日本にいるとあまりよくわからないかもしれない。
こういう物語を作るってことは、日本ってまた何か仕掛けてくるんじゃないか、という心理が隠されているのかもしれない。そう考えると、ますます、「オモロー」と言って映画を楽しむことはやっぱりできないものですよ。
しかし、武将の霊はああ勇しくていいが、『非常宣言』の日本の首相とかあんな悪役然とした立派な態度の人はいないから!と韓国の人に言いたい。(顔が変に赤かったり、ガラガラ声だったり、声がやっぱり変に高かったりする人ばっかりだから!)
韓国では大ヒットらしいものの、自分にとっては「またチェ・ミンシクの映画滑ってるな」と思ってしまう内容だった。
近年の韓国映画について、一般のレビュー、または評論家などの映画評では『さすが韓国映画』なる言葉で、自分がいいとは思えない映画を褒めるのをよく見かける。
しかし、語られている内容がよくないものや、差別的に感じられるものもある。
そういった問題を無視して、韓国というと異常に反応する人などのためか、『さすが!』という一言で済ませてしまう評論家やライターの人が多いので、近年の韓国映画でおかしいところをちょっと指摘したい。
キル・ボクスン
殺し屋の主人公が色々な仕事をしてきたという回想で、頭にターバンを巻いた人を銃で撃つというシークエンス。普通に差別的だと思うし、しかもギャグっぽいところが不快だった。では、他の国の殺し屋映画の回想で(流石に日本は外すが)韓国の民族衣装の人間を撃つのもありということですか…。
在日の人への悪い感情もよくわからない。まあ、韓国でよくないビジネスをする人もいるとは思うが、日本でも差別される人をああいう役にするかな。
アクション映画としては、ジョン・ウィックワナビーすぎて恥ずかしくもあった。『ベイビーわるきゅーれ』の方が変な憧れもなく、独創的で良かったのは言うまでもない。
極限境界線
タリバンの人質となった韓国人を救出する話で、アメリカがアフガニスタンに侵攻し、韓国軍がそれに追随して(させられて)、軍が駐留しているために起きる話で、主人公の外交官は、アメリカの政策の尻拭いをさせられている感は拭えない。それなのに、そのことについてのアイロニーもなく、熱血漢的に任務を遂行しようとする。
相手のタリバン兵も何も考えていない、ただの悪役にしかないっていない。
アメリカの失敗した政策を、間接的にも肯定する映画を作るのは、韓国ぐらいではないかと思う。
モガディシュ
現地のソマリア人が主人公たちを襲う、人間性のないただの悪者にしかなっていない。
社会問題はそれほど語られず、結局は怖いゾンビか化け物から逃げるだけの、鬼ごっこのような話になっている。(それも差別だと思うんだけど)
アクションでその点を誤魔化されているのだが、評論家などはまるで指摘しない。
そのくせ一応、人種やジェンダー問題について、後出しで語るだけになっている。
文章をぶつ切りに書いているので、意味が通じてんだかわからない上、書くのがめちゃくちゃ疲れたのでやめますが。マ・ドンソクの『犯罪都市』シリーズについても考えることはあり、(書くかどうかはわかりませんが)今回はこれで終わりにします。