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人が育たないのには原因がある。人材育成を「成功」させる評価制度と5つのポイント

株式会社JQ 代表取締役社長の下田です。

前回の記事で、弊社が未経験の人材を採用して一人前に育成するステップをご紹介しました。
これは、育て上げたい職種に合わせて「素質のある人材を採り」「シンプルなタスクで基礎力を鍛え上げ」「周りを巻き込めるようにする」ステップでした。

<JQの人材育成メソッド図解>

このステップは重要なのですが、実はどれほど育成ステップを作り込んでも、それを支える評価制度がなければ機能しません。

そこで今回は、JQ人材育成メソッドの基盤にある、「レビュー&明確な評価制度」について紹介していきます。

確実にスキルアップする仕組みは評価制度にある

今回ご紹介する評価制度は、「上司や案件に左右されず、メンバーが確実にスキルアップするためにはどうしたら良いか?」と思考し、作った評価制度です。

この作成背景には、私が外資コンサルにいた時に感じていた問題があります。

一つはスキルの伝達方法がOJTによる徒弟制度のみだったために上司によって成長度合いが左右されてしまうこと。もう一つは、何をどう改善したら良いのか曖昧で、スキルアップが見込めない形だけの評価基準になっていたこと。

これらの問題点を排除し、確実にスキルアップできるように作成した評価制度の仕組みが下記の図です。

【明確な評価基準】
この仕組みで一番重要となるのが、“明確な”評価基準かどうかです。JQでは、PMに必要なスキルを基に作成した「スキル評価シート」を作成しました。PMに必要なスキルを網羅的にチェックリスト化し、「基礎スキル」「応用スキル」「業務知識」に分類して評価シートに落とし込んでいます。

【評価基準を基にした評価と改善フロー】
評価フローとしては、スキル評価シートをもとに毎月一回上司と評価対象者でレビューを行い、上司からフィードバックを受けます。
評価対象者はそこでPMとしての不足点や改善点を把握し、次月の目標(改善スキル)を2つに絞ります。2つに絞っている理由は、多すぎるとどれも中途半端なスキル向上、場合によってはどれもスキルアップできないままになってしまうからです。案件の状況を見ながら優先度の高いものを次月の目標に落とし込みます。そこで決めたものは、さらに具体的なアクションプランに落とし込み、トレーニングシートに書き込みます。
そして、そのトレーニングシートに書いたアクションプランを現場実務で実践していくという流れになっています。

一見シンプルな制度なのですが、重要なポイントが5つあります。「作成」「レビュー」「運用・改善」のカテゴリに分けて順番にお伝えします。

評価シート作成時のポイント

以下は、実際のスキル評価シートの一部です。

内容をカテゴリに分けて、さらに具体的な細かい評価項目を設けています。

この評価シートを作成するにあたって、気をつけるべきポイントが2つあります。

①曖昧さがないこと

評価基準に曖昧さが残っていると、評価が評価する人によって変わってしまいます。曖昧さは属人性を高めてしまので、明確な評価基準のない徒弟制度と同じような状態になります。そうすると、良しとするスキル基準がバラバラになり、成長度合いや成長内容にバラツキが生まれてしまいます。これらを防ぎ、正しい評価とスキルアップができるよう、曖昧さは極力排除しましょう。

②評価項目があるべき姿から落とし込まれていること

評価項目は、必ずあるべき姿やゴールから落とし込むようにするべきです。JQの場合、プロジェクトマネジメントをするPMとして、どんな人物でどんなスキルを持っているべきかというあるべき姿から項目を洗い出し、網羅的にチェックリストにしています。全てのスキルや知識を見える化したものなので、一個一個クリアにしていけば確実に素晴らしいPMになれるのです。

この項目は、評価シート作成以前から取り溜めていたナレッジ集から多く引用している部分もあります。会社内にそのようなスキルやナレッジがある場合には、そこから落とし込んでみるといいかもしれません。

レビューと目標設定時のポイント

レビューと目標設定の際にも気をつけるべき点があります。

③目標は具体的なアクションに落とし込むこと

レビューの際、「このスキルが低いから、次月はここに気をつけよう」というフィードバックと目標設定で終わってしまいがちですが、これはNG。これではスキルアップは望めません。もっと具体的なアクションにまで落とし込んであげるべきです。

例えば、メンバーが決められた期限までに適正な資料を作れないという問題があったとします。この時、「期限を守るようにしよう」ではダメです。
具体的なアクションとして、「アウトライン(資料で何を書きたいのか)作成、たたき作成、一次レビュー、本格作成、二次レビュー、これらの工程ををすべてGoogleカレンダーに登録するようにしよう」と、ここまで詳細に落とし込むのです。こうすれば、改善につながります。

やりすぎでは?と思われるかもしれませんが、ここまで具体的にするからこそ、正しいスキルが身につけられ、確実にスキルアップしていけるのです。

運用・改善時のポイント

④運用する!とコミットすること(させること)

「運用におけるポイントはありますか?」と聞かれることがありますが、ポイントはズバリ、「運用する!」とコミットすること(させること)です。

このような制度の運用がうまくいかない理由の大半は、運用されなくなることにあります。
「作っても誰も使わない」「最初の1回目でうまくいかずそのまま使われなくなる」という事態を防ぐため、社長自身がコミットする、実施者にコミットさせることが超重要です。私はこの制度を定着させるために、逐一指摘してきました。こればかりは、権力を行使したパワーマネージメントです。

逆にいうと、そのくらい徹底しないと根付かないものですよ。

⑤改善改定は年に一度にすること

JQではマネージャー以上の職種で定期的にミーティングを行うのですが、そこで「評価しづらい点はないか」「改善点はないか」と随時話し、より良い評価制度にすべく改善に努めています。ただし、評価シート自体に変更を加えるのは年に一度のみ。メンバーに混乱を招かないためです。

以上、JQの「人を確実に育てる」評価制度についてご紹介しました。

この評価制度により、着実にメンバーのスキル向上が見られるので、今後も改善しながらより良い評価制度にしていきたいと思っています。

評価制度の作成や運用で悩まれている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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