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【2024年度版】カスタマーサポート用AIチャットボット導入検討の手引き *随時更新*

カスタマーサポートにおけるAIチャットボットの活用に付いて概要をまとめたいと思います。※本記事は、2024年度版に更新しています


【前提】生成AI活用よりも先にカスタマーサポートの全体戦略を整理することが重要

生成AIはあくまでツールであり、全社戦略に基づいたコンタクトセンター構築の指針が重要です。こちらは生成AI全盛の今でも変わらない根幹です。

生成AIが全盛の『今こそ』根幹のCX戦略を立てましょう!!

昔のAIの活用は、部分最適な考え方で、チャットボットをシンプルに導入すれば事足りました。今は、シンプルなFAQナビゲーション型のチャットボットを除き、コンタクトセンターの全体戦略、現状のサポートシステム、顧客データ基盤などを鑑みた、全体最適を目指した取り組みが求められます。

(1)コンタクトセンターの顧客はどこまでか?

第一歩として、コンタクトセンターの顧客はどこまでか?という定義をしておきましょう。

具体的には、サイレントカスタマーを対象にするのかどうか?というのが1つの分かれ目になりそうです。

一言でいうと、コンタクトセンターのカバーする顧客の範囲を、『困っている人全体(問い合わせをしてくれる顧客+サイレントカスタマー)』とするか、『問い合わせをしてくれる顧客』に留めるか、の決定です。

顧客の問題解決をどこまでカバーすべきか?

この『カスタマーサポートとしての顧客はどこまでか?』の範囲によって、実行すべき顧客は変わってきますのでしっかりと検討しておきましょう。

(2)顧客の困りごとのタイミングを理解する

次に、コンタクトリーズンを深堀りします。現在のコンタクトリーズンを分析しながら、顧客が『いつ』『なぜ』困るのかをカスタマージャーニー上で整理しておくことをおすすめします。

特に『When(いつ)』の概念をコンタクトリーズンに取り入れるのは大事です

(3)生成AI含むAIで解決すべき領域を決定する

昨今のAIブームのおかげ?で、大量のQ&Aコンテンツが量産され、結果的に顧客が自分に最適なコンテンツを探せないという問題が起きています。

多すぎるコンテンツは『顧客の探せない』問題を引き起こし、結果的に効果がでないチャットボットが出来上がる結果につながります

無駄なQ&Aコンテンツを増やさないためにも、コンタクトリーズンのうち、自動化したほうがいい領域と、人のままがいい領域の一定の整理を行いましょう。

その際に、『顧客が知りたい情報が定型or非定型』な切り分けだけでなく、心理的なサポート依存度も考慮すると、いい分類ができると思います。

サポート依存度、という視点を加えて整理すると施策で下手を打ちにくい

また、現在は、『大量のコンテンツを容易してAIで検索させる』という考え方から、『最適で少量のコンテンツを、都度AIでレコメンデーションしていく』という設計方針に変化しています。この方式を採用するか否かで、『セルフサービスの利用促進』の進み具合は大きく変わるので要注意です。

同じQ&Aコンテンツでも、用法容量を守るだけで成果が数倍になるケースもあります

(4)投資対効果(ROI)を高くするには、データ連携が必須

先程の図の右下、『顧客の困りごとに対して、1to1の回答ができるか』は、自動化の投資対効果に多大なる影響を与えるケースが多いです。

顧客の情報がどこにどんなかたちで補完されているか?や、うまくチャットボットとAPI連携できるか?の検討を省かないようにしましょう。

データ連携はあくまでHowの1つだが、もっとも投資対効果になるケースが多い重要項目

ROIの結果に最もインパクトがある検討項目といってしまっても差し支えない、AIチャットボットの検討の最大論点になるケースが多いです。

(5)生成AI型のチャットボットがいい?それとも定型AI型のチャットボット?

定型AIチャットボットと生成AI型チャットボットのカスタマーサポートにおける利活用のメリット・デメリットを以下にまとめます。

定型AIチャットボット:

メリット:

  1. 回答の正確性が高い(人間が事前に用意した回答のみを提示するため)

  2. 回答の一貫性が保たれる

  3. 導入・運用コストが比較的低い

  4. 制御が容易で、予期せぬ回答が出にくい

デメリット:

  1. 柔軟性に欠け、事前に用意された回答以外への対応が難しい

  2. 複雑な質問や文脈に応じた回答が苦手

  3. ユーザーとの自然な対話が難しい

  4. 大量の質問・回答データの準備が必要

生成AI型チャットボット:

メリット:

  1. 柔軟性が高く、事前に用意されていない質問にも対応可能

  2. 文脈を理解し、より自然な対話が可能

  3. 大量の質問・回答データを事前に用意する必要がない

  4. 継続的な学習により、性能が向上する

デメリット:

  1. 回答の正確性が完全には保証されない(ハルシネーションの可能性)

  2. 回答の一貫性が損なわれる可能性がある

  3. 導入・運用コストが比較的高い

  4. 予期せぬ回答が出る可能性があり、制御が難しい

カスタマーサポートにおいては、定型的な質問への対応には定型AIチャットボットが適しており、より複雑な質問や文脈に応じた対応には生成AI型チャットボットが適していると言えます。ただし、生成AI型チャットボットを導入する際は、ハルシネーションへの対策や、人間との協調を前提とした運用体制の構築が重要です。

また、両者の長所を組み合わせたハイブリッド型のチャットボットも有効です。定型的な質問は定型AIチャットボットで対応し、より複雑な質問は生成AI型チャットボットで対応するという役割分担により、効率的かつ効果的なカスタマーサポートが実現できると考えられます。

【まとめ】カスタマーサポートにおける生成AIの活用:2024年の戦略的アプローチ

以上、いかがでしたでしょうか?

新しい課題が追加!!

2024年、カスタマーサポートの分野で生成AIの活用が急速に広がっています。しかし、生成AIを導入すれば全ての問題が解決するわけではありません。効果的な活用のためには、以下の3つの点に留意する必要があります。

1. 2024年も変わらずCX戦略の策定が根幹

生成AIはあくまでツールであり、カスタマーサポートの成功には、全社的なCX(顧客体験)戦略の策定が不可欠です。コンタクトセンターの目的や顧客範囲を明確にし、顧客の困りごとを深く理解することが、生成AIを含む全ての施策の出発点となります。

2. 2024年もデータ連携なくして大きな成果なし

生成AIの効果を最大限に引き出すには、顧客データ基盤との連携が鍵を握ります。顧客情報を適切に活用することで、より的確で個別化された回答の生成が可能になります。データ連携は投資対効果(ROI)に直結する重要な要素であり、軽視することはできません。

3. 生成AIと定型AIの選定・組み合わせが新しい課題として登場

2024年の新しい課題は、生成AIと定型AIの選定と組み合わせです。定型的な質問には定型AI、複雑な質問には生成AIと、両者の長所を活かしたハイブリッド型のチャットボットが理想的です。ただし、生成AIのハルシネーション(幻覚、妄想)への対策や、人間との協調を前提とした運用体制の構築が不可欠です。

まだまだ変化が激しい状況ですが、、、この状況を一緒に楽しんでいきましょう!


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